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小説「武光と懐良(たけみつとかねなが)敗れざる者」48


第九章   大保原の戦い


八、
 
大保原において、激戦は続いている。
赤星武貫(あかぼしたけつら)の一隊は武光の部隊の後方に回り込んで背後を守ろうとしている。敵は何重にも展開して押し寄せてくるかのように思えた。
「棟梁武光様の部隊を守るのじゃ、よかか、決して我がてがらに走るなよ」
手勢を慎重に動かした武貫は武光隊の背後に迫ろうとする敵勢を発見した。
「あれがおいたつの獲物ばいた」
にやっと笑って、かかれえ!と叫んだ。
武貫の軍勢が敵勢に突撃し、乱戦となった。
「おいな菊池有武が一子、赤星武貫たい!我が首を上げて見せようという志あるものあらば、相手してやるたい、かかってこんかあ!」
古風なスタイルにこだわる武貫は勇者との一騎打ちを望んで呼ばわったが、敵は名乗りもせずに打ち掛かかってくる。カッとなりながらも、そいならそいでよか、どいつもこいつもひねりつぶしてくれようわい!と思って太刀をふるった。
一人馬から叩き落し、一人を太刀で切り伏せ、一人を打突で振り落とし、暴れまくった。
だが背後から縄を投げられ、絡めとられて引きずられ、落馬させられた。
その縄を鎧どおしで切り放って立ち上がった赤星武貫に、騎馬武者が突っかかる。
地面に回転して太刀をふるって馬の足を斬りつけ、騎馬武者を転倒させる。
それへ躍りかかって首をはねた。
その背中に矢が数本射こまれた。武貫が矢を引き抜こうと体をよじった時、駆け寄ってきた騎馬武者が飛び掛かって共に転がった。相手を蹴り放して太刀で斬り付けた。
「行け、棟梁、武光殿、少弐が首を上げよ、その邪魔はさせぬでな!」
武貫は死力を尽くして暴れ回る。大勢を殺した。
太刀で刺し、抱え込んで相手の首をひねって殺した。
鼻がそがれ、砕けた歯が飛び散り、足がちぎれて折れた骨が飛び出した。
それへ新たな騎馬武者が飛び掛かってきて再び転げた武貫。
相手を叩きのめして立とうとするが、その背後から斬りつけられた。
それを太刀で払って退かせるも、脇から来た太刀が武貫の喉首を貫いた。
同時に二人の雑兵が駆け寄り、体当たりで大鎧越しに武貫の体に太刀を突き刺した。
「雑兵めらが、ぬしらなんぞに倒されるとは、赤星武貫、不覚じゃわ」
雑兵たちを突き放すが、新たな敵のなぎなたで足を斬られ、がくりと膝をついた。
次の瞬間、誰かの太刀が一閃し、武貫の首が胴から離れている。
赤星武貫の壮絶な戦死だった。薄れゆく意識の中、武貫の脳が一瞬感慨を持った。
おやじ有武の後を追い、菊池の為に力を示したかった。
それがかなったのか否か、おやじ有武が裁定してくれるだろう、あの世で。
京へは行けなんだな。武光様のお供で。かの地で暴れたかったわい。
地面に落ちた時、武貫の顔は笑っていた。
生と死とが交差しながら果てることなく狂気の宴が続いていく。
 
緒方太郎太夫はやっと大保原のいくさのただなかに駆け込むことができた。
美夜受の赤い帯を握りしめたまま。
その帯を胴巻きの下にしまい込み、太郎は武光の姿を求めた。
まず武光を見つけ、武光を守るために戦う。その一点に気持ちがはやっている。
だが、そのいくさ場は広すぎた。戦い合う兵士の数も前代未聞に多い。
右を見ても左を見ても、誰が見方で敵か、判然とさえしない。
仕方なく太郎は走った。
抜いた太刀でかかってくるものを振り払い、邪魔を排除してとにかく走る。
武光はどこなのか。見当もつかない。
 
颯天を駆る武光のすさまじいスピードと勢いは誰の追随も許さない。
それだけに単騎敵勢の中に駆け込んでしまうことになり、危ういことこの上ない。
だが、何かに守られているように武光は突き進み続ける。
既に矢を何本も受け、太刀に斬られ、颯天は血にまみれていた。
一切にかまわず、武光と颯天は荒れ狂った。
だがついに致命傷の傷を負い、颯天の肉体が限界を超えた。
颯天の意志に関わりなく、颯天の身体は地に倒れ、その足が空を掻いた。
転がり落ちた武光は体を回転させながら立ち、颯天に駆け寄る。
「颯天!」
わずかな瞬間、両者の目と目が見つめ合った。
「さらばだ、颯天!」
武光は颯天の急所を刺し貫いて殺し、すぐさま踵を返した。
別れを惜しむ時間はない。
「武光、おいがぬしの首ばもろうたつばい!」
駆け寄ってきた少弐の武将武藤某の馬上から打ち下ろしてきた太刀をかわし、そのたずなを取った。そのまま馬を引き倒し、武藤を刺し殺して馬を奪い、飛び乗るや再度突撃した。
「いつの為に惜しむ命ぞや、兵ども、我と共に一人残らず討ち死にせよ!」
と叫んだが、誰に届いたかは定かでない。
また突っ走り、敵を打突で跳ね飛ばす。
何度も馬を射倒されながら、そのたび敵の馬を奪って敵陣深く切り込んで、雨のごとく矢を浴びた。だが、「今こそ命ば投げだす時ぞ!」と叫んでまた馬を駆る。
そんな青色の騎士、武光の姿が望見されて、自軍を奮い立たせ、敵には恐怖を与えた。
それでも矢が射かけられ、太刀が浴びせられ、槍が付きだされた。
中には馬を狙うものが出てくる。
再び馬を討たれ、もんどりうって地面に転がる。
さらにまた主を失って行き暮れた馬を捕まえ、たてがみを掴んで引き倒し、跨り乗ってから立ち上がらせ、腹を蹴った。
「少弐頼尚はどこじゃあ!?頼尚!」
少弐頼尚を求めて狂ったように突撃する武光だった。
蛍丸が相手の眼球を貫き、顎を割り、腕を切断した。
血が吹きあがり、武光の頬に飛び散った。
殺しまくる武光は鬼神だった。
それへ一騎駆けで駆けより、脇から打突を食らわせたのは少弐の侍大将の一人だった。
再度馬が倒され地面へ転がった武光。
蛍丸は既にどこかに飛んでいる。
それへ太刀を打ち下ろす敵に対し、その太刀を掴んで引きずりおろす武光。
「せからしかぞ!」
組み打ちとなったが、敵勢が群がりかかってくる。
最初の相手を鎧どおしで喉を突いて殺し、次の武士に向かった。
掴んでは倒し、喉を割いて殺し、足をかけてつっ転ばせては喉ぼとけを突き抜いて殺した。敵は次から次へと襲い掛かってきて、次第に体力の限界が近づきつつある。
果てしなく敵が押し寄せてきて、武光は意識を失いかける。
力にもスタミナにも尽きる時が来る。
それでも武光は戦い続けた。
血にまみれた顔で喚き、ねじ倒し、首を絞め、殴りつけ、蹴りつけた。
意識が飛びかけている。それでなお武光は荒れ狂った。
武時の炎に包まれる姿が脳裏にある。
うおおおオーっと吠えていた。
 
少弐頼尚(しょうによりひさ)は花立山の陣に逃げ込んでいた。
居所を掴ませないことで自分の安全を最後まで守りたかったのだが、菊池側に総当たりされて、戦線自体がじりじりと後退してきていた。
動けない。だが、このままではいずれ追い詰められてこの花立山が囲まれてしまおう。
そうなれば勢い付いた情勢を巻き返すことは難しい。
南朝軍がぐんぐん迫ってきており、怯えた頼尚は逃走を決めた。
「落ちる」
「え?」
と副将忠資(ただすけ)が訊く。
「わしは落ちる!」
頼尚の体がガタガタと震えている。
「はようせい!」
忠資は内心、これだけの軍勢が北朝のために集まって命がけで戦っている最中に、総大将が自分だけ逃げだすなど、ありえなかろう、と思ったが、ぐずぐずしていれば自分も死ぬ羽目になる、と考えてあえて反対意見は出さなかった。
さっさと逃走準備を済ませて花立山を退散した。
あまりに慌てていたので白拍子や巫女の女たちは置き去りにされてしまった。
女たちはのちに菊池軍が襲って来た時もまだその場でうろたえていた。
忠資が、まさかこんなに早く使うことになろうとは思わず用意していた逃走経路は馬市から宝満川を渡り、大宰府に逃げ込む、というルートだった。逃げながら、忠資は少弐頼尚に説明していた。宝満が岳城も有智山城(うちやまじょう)もあり、大勢を挽回でき申すと。
「上出来じゃ、それよ、それ!」
武光への恨み、憎悪を満面に漲らせながら、頼尚は馬を駆った。
「覚えておれ、菊池武光!」
 
いつまでも蒸し暑さは去らず、陽は落ちなかった。
夕刻には大勢が決していた。戦っているものはもう誰もいない。
敗兵が逃げようと力なくさまよい、勝った側も追うに追えずよろばいながら仲間の無事を確認している。すでに戦意は消えて今敵に出会っても、もう戦う気力は誰にもない。
その大保原を疾走する一個の陰がある。
おびただしい死体が転がり、重症者が呻き、放心してへたり込んだ雑兵が泣いたりしている中、四方に目を光らせながら走るのは猿谷坊だ。
彼方に青く光る鎧が見えた。
武光が倒れている。
「武光様!」
駆け寄った猿谷坊は武光の息を見た。
「生きちゃあおる」
瞑目したまま武光が言って、猿谷坊はひざまづいた。
起き上がって猿谷坊を見てやっと、自分が生き残っていたのを武光は実感した。
「頼尚めが大保原を脱出いたしました、わずかな手勢で宝満川を越えて逃走、武政さまが兵を率いて追いかけなさったが、辛くも逃げおわされてしまい申した」
「そうか…」
武政は無事らしい、と知って内心ほっとした。
「われら鬼面党でどこまでも追いかけ、命を狙おうとも思いましたが、果たせませんでした」「…逃げおったつか、…少弐頼尚(しょうによりひさ)」
この時、武光は荷車に乗せられて来かかる親王に気づく。
「宮様!」
よろばいながら立っていき、重傷を負った親王に駆け寄った。
「お怪我をされましたな!?」
重傷ではあるが、命には大事ないと付き添う新田の部将が答えた。
「武光、…大丈夫だ」
武光は見返す親王をじっと見つめ、涙をこらえた。
生きていてくれた!体中の力が抜け、その腕を握った。
抱きしめてその生存を体で確かめたかった。
二人はしばし見つめ合っていた。
そのそばに血にまみれ、泥だらけの娘やえがおずおずと立っている。
武光は怪訝に見やったが、誰からも何も説明がなく、そのまま不問に付した。
他の荷車に五条頼氏と中院義定が乗せられているのを見た。
「おう、あなた方もご無事でしたか」
頼氏が頷き、中院義定が笑った。
武光は懐良を再度覗き込んだ。
「武光、…わしはやりきった、そうであろう?」
瞳が澄んで、懐良の迷いは消えている。戦い抜いたことで自信をつけている。
「…宿命に使われるのではない、かばねになった侍たちの魂魄までもわしそのものになる、…わしは行くぞ、武光、…必ず皇統統一を果たさずにはおかぬ」
「おやりになられるでしょう、あなたなら…」
笑みを見かわす二人が見つめ合う。
「武光様!」
声のした方を見やれば城隆顕だった。
「大勢は決し申した、…棟梁、我らは勝ち申したぞ」
血まみれの城隆顕が近づいてきて、太刀を差し出した。
見れば蛍丸だった。いくさ場の中で偶然城隆顕が拾ったのだった。
武光は受け取り、血にまみれた刃を確認した。
「預かりものじゃでなあ」
そう言って笑った武光の顔を見て、城隆顕はおや、と思う。
武光の顔から憑き物が落ちていることに気づいたからだ。
「…逃げた敵勢に追っ手をかけぬでもよか、それより今宵は十分休息せよと総員に下知を出せ、酒をふるもうてやってくれ」
武光がさっぱりした顔で言い、城隆顕は「ははっ」とかしこまった。
「それより宮様のお手当じゃ、一刻も早く」
城隆顕は親王を菊池へ護送しろと幹部に命じ、山鹿で温泉治療をという。
武士団が親王を菊池へ連れて去り、やえが黙ってついていった。
良氏と中院義定を乗せた荷車もその後を追っていった。
それから城隆顕はおもむろに赤星武貫(あかぼしたけつら)の戦死を武光に伝えた。
武光は一瞬絶句した。
「…そうか、武貫が死んだか」
生命力にあふれたあの大男が今朝はいたのに、今はもう存在しない。
改めて大保原を見まわした。
伊右衛門が死体となって横たわっていた。
「伊右衛門!」
口の中で叫んだが、伊右衛門の死は武光の力をさらに奪った。
おびただしい犠牲者のむくろが見晴るかす限り転がっている。
宮方死傷者は約三千。
武家方は死傷一万一千余。
勝てるはずのないいくさに勝利していた。
武光はぐったりとして、疲れの底なし沼に身体をまかれたようだった。
大保原全体に血の匂いが充満し、肉の匂いが這いよる。
首を持って大喜びで駆けよってくるものもある。
これからは将士や兵士たちの時間だ、首実検をして恩賞を与えねばならぬ、と思った。
当日だけでは足りないので、軍忠状を出させ、これから何日間もかけて褒美を考えることになろう。大将首を拾い歩くものがあり、いずれ首検分の号令が出される。
軍忠状と照らし合わせて正しく評価してやらねばなるまい。
それが終われば片っ端から火をかけて野ざらしの遺体を火葬に付す。でなければひと月の後まで死臭が立ち込め、この土地は使い物にならなくなる。
此度のいくさは領地どりではないので、地元のものを生け捕って売りさばくことは禁じてあったが、すでに田畑は荒らされ、家は焼かれ、里人の死者や難民が続出していた。
幾多のいくさを経験してきたが、今回は何かが違っている、と思った。
―大勢が死んだ、わしが号令をかけたからだ、
わしはなぜ号令をかけた?―親王様には喜んでいただけた、だが!
―このいくさ、親王様をお支え申す純粋な気持ちからだけだったろうか?
あの博多の夜から逃れたかったからではないのか?
親父殿の、菊池を頼むといった言葉一つを生きるよすがにしようとしたからではなかったのか、親父殿を炎の中に見殺しにした悔いを拭い去りたくて。
それをわしのえにしとなして良かったのか、えにしなどではなく、わしの妄念がわしを支配して突き動かしたからではなかったのか!?
いや、それさえもえにしというものなのか、と、こんなことを考えたのは初めてだった。
「生きるとはどういうことだ、死ぬとはどういうことだ?戦いとは…」
鎧を脱ぎ捨て、武光は近くを流れる小川に歩み寄っていく。
夕日に染まり、血まみれとなった武光は小川で血刀を洗い、大刀洗の地名を残した。
太刀を洗っていて、ふと見やった。
山に落ちる夕日の朱色が光芒となって大保原を貫いた。
美しかった。
その瞬間、ふと武光の脳内で何かが弾けたような気がした。
少弐貞経の悪魔の顔が脳裏から静かに消えていった。
なぜか涙があふれだしてきた。笑い声を漏らしている武光。
小川に腿まで浸かりながら、拾った蛍丸をぶら下げて、武光は涙を流しながら笑った。
 
大保原の一角では太郎太夫が行きくれている。
いくさが済んだらしいことは分かった。だが武光の居場所が知れない。
味方は勝ったのか。武光は無事なのか。
太郎太夫は歴史的現場に立ち会いながら、傍観者でしかなかった。
おびただしい遺体の群れを眺めて歩きながら、太郎は自分だけが世界から取り残されている気がした。美夜受の帯を掴んだまま、得体のしれぬ孤独感にさいなまれていた。
武光はどこにいるのか、それだけをぼんやり考えている。
 
後日、御船城に大保原の結果が報告されて、惟澄は、そうか、と思った。
「勝ったか、武光…、良かったのう、許せ」
道が分かれてしまったことを突き付けられた思いの惟澄だった。
戦後、武光は蛍丸を惟澄に返している。
結局、阿蘇大宮司家はどちらともつかぬ結果となり、その後、存在感を薄くしていった。
阿蘇大宮司家の内紛はさらに続き、やがて惟村は惟澄に棟梁の座を譲り、惟澄は阿蘇大宮司家の棟梁となったが、なお、足利側から阿蘇守護を叙勲されて受けたりしている。
最後まで南北両朝に日和見(ひよりみ)を続けた一族となってしまった。
正平十九年、一三六四年、惟澄は五十五歳で没することになる。
阿蘇大宮司家が南北朝期の歴史にその存在感を大きく残すことは以降なかった。
 
京都では大保原の戦いの報がもたらされ、足利義詮(あしかがよしあきら)は愕然となったという。北朝側が立てた天皇は後光厳天皇(ごこうごんてんのう)だが、その御光厳天皇は震えあがり、懐良親王の首を取れとヒステリックに叫んだと伝えられている。
「征西府を滅ぼせ!九州を叩き潰せ!」
九州の大勢は決した。南朝側に取られた、との思いがあったのだろう。
九州ある限り、北朝側の人々は安眠できない。
北朝の元に皇統統一が果たされるためには、なんとしてでも牧の宮懐良の首があげられなければならぬ。懐良を支える菊池武光の首があげられなければならない。
その日が来るまで、あらゆる手を打って押し込んでいかねばならない、と御光厳天皇は足利義詮に訴えたという。


《今回の登場人物》

〇菊池武光(豊田の十郎)
菊池武時の息子ながら身分の低い女の子供であったために飛び地をあてがわれて無視されて育つ。しかし父への思慕の思いを胸に秘め、菊池ピンチの時救世主として登場、菊池十五代棟梁として懐良親王を戴き、九州統一、皇統統一という道筋に菊池の未来を切り開こうとする。
 
〇懐良親王(かねながしんのう)
後醍醐帝の末子。南朝巻き返しの最後の希望となって征西将軍とされるも流浪の果てに菊池武光に迎えられ、やっと希望を見出す。武光の支えで九州を統一、やがて東征して皇統を統一するか、九州王朝を開くかの岐路に立たされる。

 〇五条頼氏
頼元の息子。
 
〇中院義定(なかのいんよしさだ)、持房親子
公卿武士、侍従。

〇城隆顕(じょうたかあき)
菊池一族の別れで城一族棟梁。抜群の軍略家で有能。最後まで武光に夢をかける。
知的な武将。
 
〇赤星武貫(あかぼしたけつら)
赤星の庄の棟梁。菊池一族の重臣で、初めは武光に反感を持つが、後には尊崇し、一身をささげて共に戦う。野卑だが純情な肥後もっこす。
 
〇慈春尼(じしゅんに)
武重の妻、息子の武隆を一五代棟梁に望み、様々に画策する。
 
〇慈春尼の娘・重子姫
懐良親王の妻となる。
 
〇緒方太郎太夫(おがたたろうだゆう)
幼名は太郎。武光の郎党。長じては腹心の部下、親友として生涯を仕える。

〇やえ
流人から野伏せりになった一家の娘。大保原の戦いに巻き込まれ、懐良親王を救ったことから従者に取り上げられ、一身に親王を信奉、その度が過ぎて親王と武光の葛藤を見て勘違いし、武光を狙う。
 
〇猿谷坊(さるたにぼう)
筑紫坊の相方で、鬼面党の首領の座を引き継ぎ、武光の為に諜報活動にあたる。
 
〇伊右衛門
武光の家来
 
〇少弐頼尚(しょうによりひさ)
武光の宿敵。

〇少弐忠資(しょうにただすけ)
頼尚の息子、北朝軍副将

〇恵良惟澄(えらこれすみ)
阿蘇大宮司家の庶子として阿蘇家異端の立場に立ち、領地が隣り合った武光との絆に生きる道を探そうとするが、阿蘇家のため、武光に最後まで同行することを果たしえず終わる。
 


 
 
 
 
 

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