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湯たんぽがうれしいわけ 2月−3

 学校の保健室に勤務している友人から聞いた話です。冬はおなかが痛い、だるいと保健室にやってくる生徒が増えるので、湯たんぽを作ってあげるのだそうです。すると、たいていの子は湯たんぽを抱えると痛みやだるさを訴えるのをやめ、満足げに教室に戻っていくのだとか。

 しゅんしゅんと湯気を立てるやかんのお湯を湯たんぽに入れ、布でくるんで渡す。受け取る子は湯たんぽと一緒に、先生がそれを作っている時間の暖かさも受け取るのではないかと思います。冬の暖かさって、こうした気持ちの部分もとても大きい気がするのです。

 誰かのために、ちょっと暖かいこと。その人を待つ間の、小さな気配り。もちろん、自分自身のために作ってあげたっていいのです。「大事にされている」と思えること。それだけで、ちょっとからだや気持ちが楽になること、意外に多いんじゃないかなと思うこのごろです。

 さて、ちょっと余談ですが、湯たんぽはストーブや電気アンカよりエコだと思う方が多いのでは。でも、湯たんぽに入れるお湯をガスやIH,電気ケトルで水から沸かして入れると、1回あたり約2.5~3円かかります。中に入れた水をその都度捨てると、その分の水道料金もかかりますね。これを毎日、6ヶ月続けると540円ほどかかることになります。
 一方で電気あんかは1時間あたりの電気代が約0.01~0.15円。電気あんかを「弱」で8時間、毎日6ヶ月(シーズン中と考えます)使ってもたったの14.4円ほど。実は525.6円も湯たんぽのほうが割高なんです。

 昔のように石油ストーブの上にやかんが乗っていて、常にしゅんしゅんお湯が湧いている状態なら、湯たんぽはとってもエコでした。でも、一から「湯を沸かす」前提で使うと、エコ視点では電気アンカのほうが消費エネルギーは少ないのです。ちょっと意外です。

  だから、ゆたんぽはエコだから使うというよりも、やわらかい温かさを抱いて眠る心地よさを大事にしたいなあと思うのです。ちょっと手間をかけて、誰かに、自分自身に、その温かさを手渡すことの素敵さ。自分の中のそんな気持ちを、冬は大事にしたいなあと思っています。

izoomimomose 2020

 

 

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