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音ゲーマーとサウンドクリエイターの1つのゴールの話

こんにちは、いずみんです。音ゲーは好きですか?僕は好きです。
音ゲーは曲や譜面を作る人がいて、それをクリアしようと頑張るプレイヤーがいる。最難関の曲がクリアされてしまえば、さらなる難度の曲をプレイヤーは望みます。その先に何があるのか。今回はその答えの1つの話です。

音ゲーにおけるインフレ

2003年に発売された「太鼓の達人あっぱれ3代目」で初出の「さいたま2000」という曲をご存じでしょうか。この曲は元々難しすぎるという理由で手加減された譜面が収録され、★10のボスとして君臨していました。しかし2021年現在、本気を出した譜面ですら★7に格下げという扱いを受けています。

このような現象は珍しいことはなく、様々な音ゲーで起こっている現象です。それを嘆いたとあるDDRというゲームのコンポーザーの方が言いました。

「このまま作り続けたら、どんどんBPM(曲のテンポを表す数値)が伸びるばかりで、MAX300がやがて10000とかいう数字になる。でも、それをクリアーできるのは日本でひとりだけ、ということにもなっていたかもしれない。」

といって、とある曲を作り上げました。それが「MAX.(period)」という曲です。この曲は最後のつもりで作ったというタイトル通りで、譜面は超高難易度でした。以下が譜面で、途中には今は簡単すぎる最初期のボス曲の譜面が入り、最終的には誰もまともに踏めないくらい加速するという構成になっています。

この曲が収録されてから一度このゲームは3年半サービスを休止していました。そして復活するのですが、この曲は収録されずでした。どうやらせっかくの復活の際にこの終わりを表す曲は縁起が悪いと思ったようです。

その"結末"を越えていけ_。

2006年7月26日、DDRは復活して再度稼働することとなりました。しかし、そこにMAX.(period)は収録されていませんでした。そうして時は過ぎ、いつしか「MAX.(period) が収録されるときDDRがサービス終了するときだ」という噂が流れました。
そうして時は過ぎ、2014年3月5日に「Replicant D-ignition」というイベントが始まりました。このイベントのボス曲としてMAX.(period)が登場したのです。

ついにこのゲームも終わりかと言われましたが、そこから3週間後の3月26日、さらにもう1つ先のボス曲が登場します。その曲こそが今回紹介したかった「Over The "Period"」という曲です。


これが世界で一番最初にその曲をプレーした方の動画です。MAX.(period)を好スコアでクリアする必要があるため、ひと繋ぎになっており、並大抵の方ではプレーすることすら出来ませんでした。肝心の曲は2:50くらいから始まりますが、最初の1ノーツ目でFailedですね。

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このゲームにはタイミングに応じて判定があるのですが、PERFECT以上を取らないと強制的に終了する仕様になっています。結局、この曲をまともに踏める人は当分現れませんでした。

それから約1カ月半後の5月1日、先ほどの譜面より2ランク簡単な譜面がプレーできるようになり、それをきっかけにこの譜面の攻略が進み始めました。当時YouTubeやTwitterでプロの方が情報を共有しながら何歩まで進んだ、という情報を見るのが楽しみでした。

そして5月18日、ついにクリア者が現れました。そのときの動画がこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=X4dkZZ-EqYk

見てもらえればわかるかと思いますが、何度も何度も速度が変化しています。こんな初見殺しのギミック満載の曲をよくクリアする気になりますよね…。ってなわけで登場してから2カ月たってようやく曲の全貌が明らかになりました。

そうして、コンポーザーとプレイヤーの戦いは幕を閉じました。とあるコンポーザーが嘆いていた、誰も楽しめなくなってしまうゲームではなく、あえて難しくすることで、全世界の人をも巻き込むくらい熱狂的なコンテンツを作ってしまうなんて凄いとしか言いようがないです。

この曲の作者もこの様子をハラハラしながら見ていたようで、本当の意味で皆が楽しむゲームになったと思うと、感慨深いです。
↓作曲者コメント

というわけで今回は自分の好きな曲について語ってみました。ここまでバックボーンがある曲もレアなのですが、本当に名曲なのでよければ一度聞いてみてください。



参考文献:https://dic.nicovideo.jp/a/over%20the%20%22period%22(ニコニコ大百科)

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