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僕が漁師だったときの話(更新を終了しました)

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真鯛の養殖・定置網漁、海の上の仕事風景(※漁師を辞めたため、更新は終了しました)。
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2018年12月の記事一覧

年末も淡々と、仕事。漁師の風景。

師走という言葉通り、 年末はなにかと忙しい。 残りはあと3日。 真鯛や伊勢海老。 年末年始の祝い事にもってこい。 魚屋は忙しくなる。 大晦日まで休める日がない。 海の上の仕事も増える。 明日は1日で3000匹の魚を出荷する。 そのための準備で、 魚を取り出しする。 選別で魚をすくうための道具。 真鯛。 シマアジ。 ほかにもマハタ・クロソイ・カンパチなんてのもある。 問屋みたいな役割も担っている。 選別した魚は生簀に入れて、 船にくくって移動させる。 移動

漁村のたこ焼きパーティは、なんとも贅沢だ。

最近、 やたらと鵜が多い。 海に潜って魚を捕らえる姿は凛々しいけど、 真鯛養殖の生け簀のなかに入り込み悪さをするから、 漁師の点滴でもある。 さて、今日はツボ網の設置。 漁船から風景を眺め、進む。 小さな漁船(通称チビ船)に網を積む。 そして漁場へと向かう。 到着したら、  順番に網をおろしていく。 漁法を学ぶと、人間として一段と賢くなる。 魚の習性を利用して、 網のなかに魚が泳いでくるように仕掛ける。 人間の知恵を受け継いで自分で仕掛けた網。 その

海のなかに、植物の種を植えました。

漁業の現場は閉鎖的だ。 あまり世に知られることもない。 とくに都会で暮らしている人なんて、 糸切れほどの縁もないかもしれない。 だから、伝える。 それが僕にできる役割。 日が昇るのが遅い。 なんといってもきょうは冬至。 太陽の光はなかなか姿を現してくれない。 6時半を回れば、 ようやくあたりの風景がみえてくる。 海の上で働く漁師の姿と、 エンジン音をふかせて走る漁船。 僕もその風景の一部になる。 漁船の上。海の上。 自然のなかで働いている。 学生の頃から憧れ

漁師ストリートを歩け。

12月11日。 今日も出荷後から、船に乗って沖へ出る。 海の風景をみながら。 カモメが海を眺めている。 カモメは阿曽浦に9月頃から出現する。 寒い場所を求めて移動する渡り鳥。 彼らは寒くないんだろうか。 そんなことを考える。 人間よがりの視点な僕。 ちなみにこれはオス。 カモメはオスのほうがきれいな色をしている。 人間的な目線でみるとだ。 海の上のトイレ。 マガモもまた、寒い場所が好きだ。 この海では冬にしかみることができない。 メスにアピールするために

魚を殺して食べる。そんな当たり前な生活。

12月10日月曜日。 天気は晴れ。 朝から出荷。 どのくらいの真鯛を出荷するかというと、 今日は1500枚くらいだった。 僕のところの会社だけで1年間で約20万匹の鯛が世に送り出される。 それを一枚一枚手でカゴに並べるわけだから、 けっこう手間暇かかってる。 出荷作業中は忙しくて、 カメラを握る暇もない。 出荷無事終わり、 これから網をはる。 サイクルを大まかに説明すると、 汚れた網を陸にあげる。 洗う。破れを直す。染める。 そして再び、海に戻す。 張る網を船

網洗いと神さまの差し入れ。

12月8日土曜日。 漁師は土日が休みじゃない。 祝日なにそれ、おいしいの。 いやいや、魚の方がおいしいよ。 獲る漁業にしろ育てる漁業にしろ、 毎日海に出るのが基本だ。 社員は順繰りに休みながら、会社は毎日動いている。 僕は週に2日休みをもらっている。 恵みの雨。 この言葉は漁師にとって2つの意味合いがある。 ひとつめ。 雨が降ることによって 山のミネラルが海に注がれ、 栄養豊富な海で魚たちが育つこと。 そしてふたつめ。 雨が降ると作業ができないから、 仕

ありふれた漁村の日常を生きる。

おはようございました。 12月6日木曜日。 曇り時々小雨。 気温14/10度。 小潮。 本日は朝6時出勤。 微妙に明るく、逆に言えばちょっと暗い。 今日は志摩市にある渡鹿野島(わたかのじま)へ配達の日。 真鯛の出荷作業を途中で抜け出して、 ひとり軽トラに乗る。 配達のおっちゃん、通称よっちゃんが今日は休み。 だから僕が、代わりに行く。 道中ではラジオを聞いている。 普段、テレビも新聞もみない。 ラジオを聞いて、たまにとんでもなくビックリする。 ミクロの世界に染