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主体・主語の意識と問いのデザイン

問いのデザインについて考える前に、まず日本語の特徴として、主語や主体が省略されるということについて、考えてみましょう。

主語・主体とは

皆さんは、日常のコミュニケーションで主語や主体を意識して会話をしていますか?
多くの場合、主語や主体を言葉にせずに会話をしています。
日本語は性質上、主語や主体を明示しなくても、意図が通じるようにできています。

たとえば「多くの場合、主語や主体を言葉にせずに会話をしています」という文章の中には、主語は書いてありません。
でもこれを読んでいる皆さんの多くは、無意識のうちに「私たちは」という主語を補足して読んでいるのではないでしょうか?

もしかすると、その先の「日本語は……」という部分から「日本人は」という主語を補足された方もいると思います。ここでは「私たちは」「日本人は」でも、どちらでも意味が通じますし、大きな問題にはなりません。

文章と会話の違い

文章よりも会話の方が、さらに主語や主体が省略されることが多くなります。また、直接的・具体的な言い方をすることが失礼とされる場合もあります。そうなると主語や主体をあいまいにして、相手に「察してください」ということになってしまいます。いわゆる忖度するということですね。

限定的で変化の少ない関係やコミュニティなら、その場の「察してください」という暗黙のルールにのっとって、あいまいに話すことがスマートかもしれません。たとえばお父さんが「あれ取って」と言ったら、お母さんが「はい」と阿吽の呼吸で新聞を渡すというような状況は、その関係に双方が満足していれば、円滑なコミュニケーションだと言えるでしょう。

現代に求められているコミュニケーション

しかし変化のスピードが加速している現代では、多様な経験、価値観、バックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションを取っていく必要に迫られています。

会話する相手、問いを投げかける相手は、「自分とは違う」のですから暗黙のルールは存在しません。「察して」もらえるとは限らないのです。あなたの投げかけた問いや言葉は、相手にどう届くのでしょうか?

たとえば、誰に何を考えてほしいのか? 誰に何を行動してほしいのか? 主語・主体を意識することで、スムーズなコミュニケーションを取ることができます。また、自分の中の考えも明確になる効果があるでしょう。



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