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CAFE_nerd:恋するロースタリー

ご注意ください:
こちらは「男性同士が惹かれ合う」BでLな沼に耐性がある方向け二次創作です。個人が趣味の範疇で妄想を書き起こした物語ですので公式とは一切関係ございません。また、お目汚し等への責任は負いかねます。
迷い込まれました場合は直ちにご退出頂き清浄な空気を吸って下さい。

※画像はSS名刺メーカー様より。お世話になっております。
L版SSメーカー sscard.monokakitools.net / Photo by Mike Marques on Unsplash
※2021年未完の作品で、ラストは私にも分かりません。
とりまデータ救出本日はここまで。
モチーフについて詳細は敢えて伏せます。絵付きの記事から設定など何となくお察し頂けましたら嬉しいです。沼向けというよりnoteはサラッと在りたい。


1.

「あの、何だか手伝わせてしまって…今日のご予定とか良いんですか?」
「特にこれと言った用も無い。」
「週末なのに?」
「週末だからだ。」
「先生って普段、お休みの日とか何されてるんですか?」
「…期限に追われる予定が無ければ何とはなく。寝て起きて、読み物があれば、大抵の時間はそれに費やすか。」
「食事は?」
「はて…」
「はてって!」
「こうして生きてはいる。何か口に入れてはいるのだろうが記憶に残るようなモノでは無いな。その点、君の豆は主張が激しい。」
「え?」
「気がつくと、一服しているし…その度に此処を思い出す。」

此処をと言うより、目の前の青年をと言った方が正しいのだろうが、語弊を招きそうで辞めた。


「手が止まっているぞ。」
「あ、はい。やだなぁ器用な人って、ハンドピックちょっと教えただけなのに僕より精度高い仕事するんだもん。毎回甘えるようになったらどうしよう。」
「別に構わん。」
「だ、駄目ですって!先生が本当に忙しい時に僕の納品も重なって呼び出すの癖になってたら困りますよ、きっと。」
「良い気分転換になる。遠慮せず声をかけたまえ。何より」

好きなのだ。

拳ひとつ分の距離で隣に座る青年が瞠目して普段目立たない翡翠の煌きが零れ落ちるのかと思った。

「出来の悪いモノを摘み出す作業が…」


半拍置いて伝えた真意が、逆に虚構めいて聞こえる。


2.

「カフェインの有用性について一般に多く知られ裏付けがあるものは記載の通りだ。次回、構造と作用機序を。以上」

無駄を嫌う性格と見た目が因果か「冷酷無慈悲」だの、よく知りもしない連中が生み育てた評判は良くも悪くも扱いに窮する生徒の存在を自身の講義から一掃した。そもそも薬学に興味を持つ類など、騒がしさからかけ離れるかわりに妙に偏屈な者の集まり。とゆう見解は…身を持って知る所以である。

ところがある日、おざなりに締めくくった授業から立ち去る多くを見送った最後列に熱心に板書を写す若者を見つけ、「同類」とは思えない何かを感じた。

身近な題材ともなると普段より食いつきが良いのは手応えとして感じていたが、少々度がすぎる。何か時間に追われでもしている様なメモの取り方も、顔も、見慣れない。


「…不安なら写真にでも撮ったらどうかね。」
「写真、あ!そうか。」
「配布物の内容とそう変わらんが、書き取りたいなら午後まで残してやっても良い。」

後始末を任せようと氏名を聞くと、子供のように竦み上がった青年は頭を下げた。


「すみません!…僕、此処の学生じゃないんです。」

長らく廃材置き場であった学部棟の裏手に珈琲焙煎所を構えた主人はなるほど、学生に混じってしまえば何の違和感も無い年頃で、聞き捨てならないと腕組みした大人相手に事情を説明する様子など、本人が思うより場に馴染んでいた。

「ご挨拶と、ちょっとした売り込みに事務の方に顔を出したら…その、珈琲をよく召し上がる先生が居るって聞いて、少し覗いたら、商売柄絶対聞き逃せない!と思ってしまう内容だったので…ゴメンなさい!」

「…薬学の知識は?」

いや全く。と首を振るのが好奇心旺盛なだけの子供なら早々に追い帰した。そうしなかったのは、ひとえに愛飲するモノに深く関わる彼の職業のせいだ。煤避けの為に被っているのだろう前びさしのキャップを取った髪から既に、無視出来ない香りが漂っていた。



To be continued…


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