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マッパGO!GO!GO!

タイトルからの出オチで申し訳ない。

ひょんなことから友人の生活スタイルを聞いた。結論からいうと、彼は家にいるときはなるべく裸で暮らすようにしているのだという。

以下は彼の独白である。


裸でいると気持ちいいんだよ、ホント。別に変な性癖とかじゃなくてさ、もう純粋な気持ちでの裸生活。はたから見ればヘンだろうなって重々承知の上だけど、でもそれ以上に得るものがある。人生観変わるといっても過言じゃない、マジで。

裸で過ごすことのメリットは、なんたってその開放感だね。なにも身にまとわないことの身軽さ。服を着ていることの圧迫感がないってのが、あれほどまでに気持ちいいってのは、やったことのある人なら絶対わかってもらえるはず。

別に倒錯的な嗜好でやってるわけじゃないから、誰かに見てほしいとかそん考えはまったくない。見られたら恥ずかしいでしょ。だからもちろん一人でいるときしかそんな格好はしない。

誰かが突然訪ねてきたらどうするって? 姑息かもしれないけど、玄関に服を置いている。それにいざとなればシャワーを使うところだったって言えば別になんの問題もないはず。

もちろんそれでも見られるかもしれない。でもそんな状況で感じるスリルがいいってのもあるかも。見られちゃったらどうしようっていう感じ。あと、やっちゃいけないことしてるかもっていう感じね。日常からの脱却感ってやつ? うーん、そういう意味では倒錯なのかも。

デメリットはね。考えてみれば、室内は空調もきいてるし、そう、特にないね。メリットしかないよ。

服を着てないことでいつも思うのは、自分の肉体を実感できてるってこと。ソファーや絨毯なんかと肌が直に触れるでしょ。そうすると、ここまでが身体でここからが自分じゃない。そういう距離感を感じることができる。そのことで自分の範囲というか、自分自身を知ることができる。哲学にも通じるところが絶対あると思う。なんて少し言い過ぎかな。

『生まれたときはみんな裸』ってよく聞く言葉だけれど。陳腐ではあるけれど、そのとおりだと思う。

裸でいることのほうが自然にみえるってのはあると思う。中途半端になにかを身につけてるのってヘンじゃないかな。例えば裸なのに靴下だけつけてるとか、ネクタイだけつけてるとか。ヘンでしょ?

いろいろ言ってみたけれど別に裸生活を正当化する理論武装をする必要なんかない。 まず脱いでみるべし。それだけで十分。とにかく、一回でもいいから裸で生活することを勧めるね。普段の生活からは得難い貴重な体験ができるし、世界観変わると思う。まあそんな感じかな。


なにかどこかがおかしい。そう、おかしいというのは確かなのだが。
と、この話を聞いたときに思ったものだった。

ちなみにこの話を聞いたのはかなり前のことである。

彼は今でいうところのラ族というわけで、最近ではそうへんな話でもないのかもしれない。そして近年の夏の暑さでは、そういうライフスタイルもありだなあ、とさらっと思えたりもする。

初出タイトル「マッパGO!GO!GO!」99年10月17日 初出
24年7月26日 改稿

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