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【鑑賞日記】ホー・ツーニェン エージェントのAを観に行った

ホー・ツーニェン エージェントのA@東京都現代美術館

まあまあ長い映像作品群の展示とあってすべて観るのはあまりにも拘束性強すぎでした。上映スケジュールを上手いことリレーすれば全部観ることもできたのでしょうが、それでも3時間くらいはゆうに超えそうだったので、タイミングの合った作品を観ればいいやと割り切った鑑賞スタイルにしました。

映像作品を観るときにいつも思うのですが、ループで見れるのだからどのタイミングで観はじめてもいいのでは? というのは自分にとっては結構なストレスなのです。頭から最後まできちんと観れないのが苦手。だから映像作品にはあまり好意を持っていないのです。

そんなわけで本展での掌編作品はこころ穏やかに観ることができて助かりました。

で。数十秒程度の長さの断片的な作品は、長い映像作品のピースでありデッサンのような感じになるでしょうか。短いからこそ表現したいことが純化抽出されており、面白かったです。

通しで観ることができたのは、トラとシンガポールの歴史の話です。
全体としては面白かったんですが、ストーリー的にはエピソードがあちこちに飛びまくっていて、うーん。と思わなくもなく。
まあトラが可愛かったのでヨシ! 本展のキャッチアイコンの作品でもあるので、観ることができてよかったかな。

VR作品の体験。CGキャラクターの小難しい会談風景が中心なのですが、その話し合いの音声と人物の内面の声を聴く切替装置として、自分が速記する動作を用いるというのがギミックとして単純に面白かったです。
会談の内容自体も興味深いところもあり、ついつい会話を聴くのに没頭してしまいます。

また、立ち上がると舞台が天空に切り替わります。するとロボットと思わしき一団が飛んでいる真ん中に連れていかれます。これも意表をつかれて面白い。特に自分のすぐそばに出現してある程度動きがリンクするところなど、かなり胸熱感がありました。ロボットが自己解体していく様相もまた面白い。なんでロボットなのか、という疑問はないわけではないのですが。

さらに、寝転がると舞台は牢獄に。床に這う虫たちが気持ち悪い。自分も寝転んでいるので目の前に虫が這っている… 実体験ではできないイヤな感じを味わえるのは仮想空間だからこそ許される感覚ですね。

これらの舞台が切り替わる際の浮遊感/墜落感はVRならではの気持ち悪さがありました。何かのアトラクションのような感じです。実のところ作品自体が、哲学的、思索的を狙っているようにみせておいて、実はエンタメ志向だったのかも。

そう考えると今回の展示作品すべて、実は娯楽作品だったのかもしれない。と観終わってからあらためて思いもしました。

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