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【鑑賞日記】黄金町バザール2024を観に行った

黄金町バザール2024 —世界のすべてがアートでできているわけではない @黄金町周辺

黄金町バザールは年に一回のアートイベントですが、自分はこれまで基本的にトリエンナーレの年にしか行っていませんでした。
もちろん毎年開催していることは知っていますし、顔を出した年もありました。ただ、どうしてもなんでもない年にまでには、と足が遠のいてしまう。

毎年行くことでみえることもあると思うのです。一方、3年に一度の機会だからこそ街の変化がビビッドに浮き上がってくるということもあるとも思っていたり。

ともあれ、3年ぶりの黄金町はいつもどおりの雰囲気のまちでした。

アーティストが活動している空気はあって、しかしそれは表向きにはあまりみえてこず、閉鎖的ではないけれど、静かなまち。
まち自体の変化はそこそこあったりもします。具体的にはショップやサービスが微増している印象です。特に川につながるサービスはかなり豊かになったような気がする。
その分、アートが埋没している感じがしたのかもしれません。

今回の展示のひとつだった黄金町再生の歴史振返りをあらためて確認してみました。20年の歴史の蓄積を感じます。いろいろあったなあと思い出したりもします。
だが20年を経過してなお目にみえるかたちでの大きな変化にまではなっていない。この街の難しさを感じます。

さて今回のタイトル「世界のすべてがアートでできているわけではない」を思います。
黄金町は、アートの力でまちを変えていこうとした取組みです。そしてそれは少しずつ、着実にまちを変化させてきたのは事実だと思っています。

ただ、アートは変化への大きな推進力にはなりきっていない。
レジャーやレクリエーションなどの持つ起爆力や吸引力には敵わない。
結局、アートのチカラはいつの時代も脇役程度しかないのではないか。

自分にはそんな諦念がいつもあります。

今回の黄金町バザールを観て、個々の作品はやはり面白いです。ただ、バザールに訪れてきている人々もさほど多くなく、アートイベントしてはやはり寂しい。面白いのになあ、と思うのにそれが伝わっていない。
アートを認知してくれるのは多少なりともアートに関心がある人、視野に入っている人。

認識の限界はアートに限った話でもないので、過度な期待や願望は求めてもなあ、とも思うのでした。

まちのすべてがアートではない。それはこのまちだけの話ではないし、トリエンナーレのような大規模においても同じことが言えます。

それがこの企画展における答えなのではないでしょうか。

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