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幻想薔薇断捨離

今現在、私の家のベランダにあるのは某フリマサイトで購入した今年の新種、アヴニール一鉢のみ。

ほかのミニバラどうしたの?と思われる読者さんはショックに思われるかもしれませんが、

はい、捨てました。

理由は二話の「取引」、三話の「ツンデレ」でも書いたように…

もう日当たりの悪さで代償行為でミニバラを育てる必要無くなったのと…

自分自信、黄色と赤のバラが大嫌い。ということに今年の春先に気付いていながら、勿体ない。の小さな執着ひとつで捨てきれずにいてそのままフラストレーションを溜めたまま偽善的な笑顔でにこにこ水やりするよりも…

毒親どころか歩く毒劇物だった大嫌いな母親が好きだった赤や黄色のバラは捨てちまってスッキリした方が楽。

を実行しただけの事です。

件の母親は私を妊娠中にストレス解消で花屋で買ってきたバラを花瓶に指してくんかくんかしながら昼寝をする事が楽しみだった。

という思い出話と、彼の人が癌で死ぬ直前に「お葬式にはお父さんが結婚記念日でくれた黄色いバラを祭壇に飾ってちょうだい」

と言っていたがいざその時になると葬儀屋さんと打ち合わせの段階でかなりの予算オーバーになるのでオプション通り菊と百合で飾って貰った。

彼の人が遺した借金の処理で頭が一杯だったし、もういない人の望みを叶えてあげる余裕なんて遺族には、無い。

思えば私にとってバラというアイコンは、
本当は無かった自分と母親との精神的な繋がりを象徴。と自分が勝手に思い込んでいた幻想だったのだ。

思えば彼の人は自分が作り出した幻想に酔って家庭を省みない父や住宅ローン返済を見ないようにして少女マンガやレディースコミックを読みふけり、

出来もしないのに私を私立のお嬢様学校に入れるだの、(現実は公立一本しか通う事を許さなかった)自分が持ってる黒真珠の指輪をあげるだの(実際は借金のかたに取られた)
だのを暇なときに私に話して聞かせ、幻想で娘を支配したかったのだろう。

「自分は母親に大事にされなかった。妹ばかり可愛がって事故で妹が死んだとき葬式で母親に『お前が死ねばよかったのに』と言われた」

ということを繰り返し聞かせられながら…だからって私はあんたが私にしてきた幼少時のネグレクトや「あんたみたいな小賢しい子生むんじゃなかった」発言は…決して許す気は無いよ。と思ってきた。

いくら自分の股から出た無料で出来た個体だからって、遺伝子的に適合する個体だからって、

自分の心の毒を我が子に輸血するのが無料で一番楽だから親の毒は子に受け継がれる。

ならば…

心に強毒を持ってしまった自分の代で絶ち切ってしまう意地と誇りは持っていたいので子を持たない決心をした。

コロナ禍のせいにして元旦に買ったお札やお守りもゴミ箱に突っ込んでテレビを寝室の隅にしまって自分が今まで持っていた幻想を全て棄てて「未来」という名の鉢ひとつしかない陽当たりの良いベランダで飲むコーヒーは、まことに美味い。

さよなら夢見る中年女。
あなたのことは記憶の墓場に葬り忘れ去っていってます。

薔薇にまつわるまことにひどい話だがこれが…五年間薔薇を育て続けた自己欺瞞に気付いて得た本音なのだから仕方がない。

これからは呪縛から解き放たれてガーデニングを楽しめばいいだけのことなのだから。

別に書かなくてもいいことなのだが、書くことで死ぬまで思い出さなくて済む事もある。

つまり何が言いたいのか、というと今現在子を育てている人たちよ。

自分が楽になるためと知りながらも子に自分の毒は注がないで欲しい。

こういう風に書かれたり既に実体験漫画にされたりしてどんな形であれ仕返しされるものだから。


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