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【一問一答】市長選挙の争点?「ゴミ袋無料化」は本当に市民が望んでいるか?

西条市長選挙において、新人の2候補はどちらも、市が令和5年度から導入したゴミ袋有料化の見直し、すなわち「再無料化」を掲げている。内容的には、「単なる再無料化」案と「無料時代の旧ゴミ袋の使用期限を撤廃し、令和7年度以降も使用可とする」案というふうに、若干ニュアンスは違う。

しかし、ゴミ袋有料化には、老朽化で建て替えが必要な道前クリーンセンター建設や、ごみ処理収入の15倍近くもかかる処理費用の補填費用の捻出といった側面もある。
無料時代のように全て税金からの補填となるとゴミを少なく出す人にも多く出す人と同じ負担を強いることになり不公平なので、多く出す人がより負担割合が高くなるように、処理費用込みのゴミ袋料金になったわけである。

市作成「新たなごみの減量に向けた施策について」より引用


ゴミ袋有料化を、市民はどう捉えているか

ゴミ袋有料化について、過去にアンケートを取ったことがある。
今から19年前、2005年のアンケートでは、有料化に「肯定的」な回答は、37%しかなく、有料化反対の49%が優勢であった。

広報さいじょう2005年12月号より引用

しかし、それから16年を経た令和3年のアンケートでは、有料化に肯定的な意見は69.6%と大幅に増え、反対意見は23.7%と、市民の考え方は正反対に変わっている。

西条市のごみ処理に関する市民アンケート調査結果(概要)(令和3年6月実施)より引用

環境保全の意識や、市財政が決して裕福ではないという認識が、市民に浸透してきたのだろうと推測する。

今の時代の市民の意識がこのアンケートの通りなら、街宣で「ゴミ袋を無料に戻す」と訴えても、あまり響かないのではないか。
まぁ、無料ゴミ袋の使用期限撤廃はまだわかるが、結局ゴミ袋収入の減少で、ごみ処理事業費用の税金補填によってゴミ量の少ない市民にも不公平にのしかかる。
なお、令和5年度のゴミ袋売上収入は約1億4,500万円とのことである。


有料化や旧ごみ袋の使用期限などは、市長だけが決めたのではない

そもそも、このような施策について、市長が独断で決めたわけでもない。15人の市民からなる審議会で話し合い、審議結果を市長に答申書として提出し、それを下に施策を決めるのである。
ようは、市民の代表者が方針を決めて、それに沿って市長が行政を動かしているのであり、決して市民の意向を無視しているわけではない。

既存の指定ごみ袋
家庭系ごみ有料化制度の実施により、前年度までの指定ごみ袋については、新制度による市民の混乱を避けるため、一定期間(2年間)使用できるよう検討すること

西条市廃棄物減量等推進審議会「ごみの減量に向けた施策について(答申)より引用」


いまさら「ゴミ袋無料」は時代の趨勢に逆行する

愛媛県下の20市町のうち有料ゴミ袋がないのは、四国中央市、新居浜市、松山市の3市だけだ。全国でも、有料の自治体は65%を超えて来ている。今後、古い価値観の方々が減り、学校等で環境問題について学習してきた今の子供達世代が大人になるにつれ、この傾向はますます進むだろう。

あくまで筆者の体感による感想だが、同じ市内でも周辺部の田舎の方ほど、ゴミ分別が不十分のように感じる。回収されずゴミ集積場に何週間も残されている違反ゴミをよく見る。
燃えないゴミに燃えるゴミのプラスチックや、資源ごみのビンが入っていたり、未だに電池やスプレー缶なども混在させているものもある。自治会の清掃に携わった際、ゴミ分別に対する意識の低さにうんざりとさせられた。
分別もきちんと出来ない人たちのせいでクリーンセンターが火事になるなど、我が市のごみ処理行政が圧迫している原因は市民のマナーの低さにあると感じる。行政を批判する前に個々の市民、自治会等の市民組織レベルで意識を変えていかないといけない。
ゴミ袋の有料化は、市民の「当事者意識」の萌芽につながっていて悪くないと思うのだが。