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Happy Words Story 100 Vol.01

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「あなただけの癒し」のためのHappy Words Story 100 ~私を幸せにした100の言葉~。 完全オリジナル。 「何気ない言葉が人を幸せにする。」 そんな幸せを感…
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#読書記録

EP036. プレゼンとても良かったよ

今日は経営層向けのプレゼン。 新規事業を次のステップへと進めるためにはなんとしてもこの経営会議を通さなくてはいけない。 このプレゼンを取り仕切るのは私。チームリーダーとしてメンバーを率いて、厳しい条件を乗り越えながら半年間育ててきた案件だけに気合いが入る。 このプレゼンの準備はメンバー全員で取り組んできた。 しかし、最初から上手くチームがまとまっていたわけではない。 締め切りまで残り三週間の頃。 もう仕上げに入っても良い時期だというのに、なんと上層部から方針変更の指示

EP035. 私、パパに着いて行きたいの

「お前、それは無理だって。父親が子供を引き取るのって大変だぞ。」 「もちろんそれは分かってる。でもな、あの子は俺にとって宝なんだよ。」 「まぁ分かるけど、どうかなぁ。そもそも娘が父親に着いていくって言うのかも疑問だし、奥さんも黙ってないだろう。争うのか?」 「一人娘だしなぁ。正直なところ本人がどう言うかは分からない。それに何年も妊活した末にようやく出来た子だから、妻がすんなり認めるとも思えないからなぁ。」 「俺にできることはそんなにないと思うけど、学生時代の友だち

EP034. 家族を救っていただきありがとうございます

当社では年に数回、中途採用の募集をかけている。 私は人事部の採用責任者。 求人サイトの選定から広告、配属予定部門のリーダーと共に選考まで担当する。 今回は、次年度に進行予定のプロジェクトで中核メンバーとして期待できる人材を確保するために求人募集をかけた。 今日はその採用面接。6名の候補者で合同面接を行った。 面接のポイントはリーダー性と技術力。 裏付けのある技術力をもってリーディングできる人材かどうかだった。 「部長、今日の候補者はどうでした?6名の中で気になる人材は

EP033. あなた頑張ってるわね

「今日の晩御飯、何にしよっかなぁ。」 夕方のタイムセールに合わせて買い物に来るのが日課。 抱っこ紐で抱いた可愛い娘と一緒の買い物は楽しい。 もちろん娘は何もまだ話せないから会話は楽しめないけど、ノンバーバルコミュニケーションって言うのかな?言葉はなくても何か通じるものがある。 これが母と子のつながりなんだろうな。 娘がどう思ってるのか聞けないから本当のところは分からないけど、きっとそうだね。 「野菜が安いなー。ねぇ何が食べたい?」 娘に聞いてみる。 まだ離乳していな

EP032. それ以上頑張らなくてもいいですよ

「今回の改善はこれが限界かなぁ…。」 この部署では社内向けの業務改善コンサルを実施している。 私の担当はクリティカルな業務の分析や非効率な業務の効率化がメイン。 該当部署では気付かない、他部署からのまっさらな視点をもって各業務の必要性を一から見直す。 一発改善で大きな成果を上げると脚光を浴びるけど、多くの場合は小さな改善を積み重ねて成果を作っていく。実はなかなか泥臭くて地味な仕事。 業務改善ではマクロ的視点とミクロ的視点の両方からの分析が大切だけど、今回の仕事は特にミ

EP031. 瞳がキラキラだね

「こんなところにメリーゴーランドなんて珍しいね。」 「ほんとだねー。移動遊園地なのかな?」 「イルミイベントで来てるみたいだよ。」 「そうなんだねー。イルミがキレイだな。」 「うん、光を集めたみたいだね。」 「ほんと、夜のメリーゴーランドはオルゴールみたい。」 「乗ってみる?」 「ううん。私ね、メリーゴーランドは観るのが大好きなんだ。」 「乗るんじゃなくて?」 「そう、観るのが好きなの。」 「じゃぁ、少し観ていく?ちょうどベンチもあるし。」 「いいね

EP030. 僕はね、本当に期待してるよ

「なぜこうなるのよ!」 悔しい。 涙が止まらない。嗚咽が止まらない。 鳴き声を出さずにいるのが精一杯。 「私は会社のことを考えて提言しているのにひど過ぎる。」 涙をこらえて目を閉じるとまたあの光景が浮かんでくる。 何度でも何度でも浮かんでくる。 悔しさが何倍にも膨らんでいく。 あんなこと言われる筋合いはない。馬鹿にするにも程がある。 総合企画部長はいつもそう。 役員だからって自分がどれだけ偉いと思っているのか知らないけど、上から目線で人を馬鹿にして、メッタ斬りにす

EP029. あなたと話すだけで心が楽になるわ

高台の病院にあるガーデンは太平洋を一望できる。 海に向かってポツンと置かれている白いベンチ。 ここからの景色は最高だ。 ゆっくりと海を眺める。 ここには時間という流れはない。 この瞬間を切り取った「今」がただあるだけだ。 太陽の光を反射してきらめく広大な水面を見つめていると、光の破片が心の中に入り込んでくる。まるで心の闇をスキャンして取り除いてくれているようだ。 この感覚をいつまでも味わっていたくて、私は一日の大半をここで過ごす。 私は心の療養のためにここへ入院した

EP021. ケーキ買ってあるから降りといで

私が一人暮らしをすると言って家を出たのはもう2年前。大学に入って2年目のことだ。一人娘の一人暮らしなんて認められないと父も母も大反対したけれど、家賃はもちろん、生活にかかる費用は全て自分で賄うからと、何度も何度も繰り返し両親を説得してようやく家を出た。 両親に不満はなかったんだけど、どうしても学生の内に一人暮らしがしたかった。自立してみたかったのだ。 一人暮らしは快適だった。 好きな時間に起きて、好きな時間に寝て、講義があれば大学へ行って、空いてる時間はバイトに入る。私

EP020. 三姉妹の中であなたが一番幸せよね

「お母さん、お茶入ったよー。」 たまに実家に帰ってきては母とお茶を楽しむ。 私にとっては母を一人占めできる大切な時間だ。 今日も母とお茶をしようと実家へ帰ってきた。 他愛のない話を楽しんでいた時、母が突然こんなことを言い出した。 「あなたは恵まれてるわね。」 「えぇー、そうかなぁ…。」 「そうよー。良い家族に恵まれてるじゃない。」 「でもね、お母さん。お姉ちゃんや妹の方がお金を持ってるよ。旦那さんはエリートだし。タワーに住んでる。それも高層階にね。」 私は三

EP019. 娘さんはもちろん、あなたも頑張っていますよ

「お母さん、今日も無理だよ。」 「学校に行けば友だちもたくさん待ってるよ。」 「でも今日も本当に無理。」 「今日も痛むの?」 「うん、痛いの。」 私の娘は生まれた時から股関節に問題がある。 学校に行けなくなるほど酷く痛むことがあって週の半分は学校を休んでいる。以前は週に一日休む程度だったのに、少しづつ歩けない日が増えて来た。 主治医の話によると、股関節の骨を削る手術が必要らしい。この手術は切開部が大きく出血も多くなるので、娘に十分な体力がつくまで成長するのを待つ

EP018. 好き嫌いでもいいんじゃないですか

頑張る自分へのご褒美と癒しと身体的・精神的デトックスを兼ねて、週に一度はこの整体サロンへお邪魔している。整体院とリフレクソロジーサロンがミックスしたような所。オシャレなだけじゃなく、技術力もしっかりしている。 今週はいつになくカラダが疲れていた。 仕事がとってもストレスに感じていた。 望まない方向に向かっている気がしていた。 「あのとき『嫌だ』ってはっきり言っておくべきだったな…。」 同僚が嫌だと拒否した仕事が私に回ってきた。本当なら指示された同僚がやるべきなのに。