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調剤薬局グループの不動在庫を5年間で5000万円解消した方法

今回はタイトルの通り、私が社内の不動在庫を削減するために行った取り組みを記事にしていこうと思います。
この経験のおかげで私の人生は少しずつ変わっていくキッカケとなったお話です・・・

調剤薬局グループに入社し4年目で薬局長になり初めて薬局長会議に出席しました。
その会議で1店舗当たり年間38万円の医薬品が捨てられていることを初めて知りました。
当時はグループで12店舗の企業でしたので年間450万円の医薬品が患者様のもとに届くことなくゴミとして処分されていたことになります。
その状況がグループ内で何年も当たり前に続いていました。

「勿体ない・・・」

素直に私は思いました。
今後、店舗が増えていけばますます無駄に薬が捨てられてしまう。
「今後の会社の発展のためにも皆がやらないことをやろう」
そう考えた私は社内の「在庫管理委員会」を引き継ぐことに決めました。

各店舗がそれぞれ情報を共有するために

まずは全店舗を「視える化」することから始めました。
当時の使用していたレセプトコンピューターはクラウド対応しておらず、PCを利用して他店舗の状況を知ることは出来ません。
なので各店舗のデータをまとめて共有できるようにする必要がありました。
まずは全店舗から「不動在庫リスト」と「直近3か月の医薬品使用量リスト」を毎月に送ってもらうようにしました。
それを私が一つのExcelファイルに集約してメーリングでファイル添付。
A店の不動在庫がB店で払出があれば色がつくように編集など、社内で取引があるものを簡単に視認できるように対応。
そのファイルを全店舗で毎月共有をすることにより「各店舗に何の不動在庫があるのか」と「各店舗で何の医薬品が払出されているのか」を視える化しました。
このデータを元に、自分の店舗で払出が止まってしまった薬も他の店舗で払出があれば譲渡依頼をし、他の店舗の不動在庫を確認し引取れそうな薬があれば譲受依頼をすることが可能となりました。
・・・・そうです、滅茶滅茶アナログなんです(笑)
ですが、当時はクラウドシステムが流通してなかったこともあり、誰かが人力で集計してまとめるしかなかったのです。
ですが費用対効果は抜群でより良い「視える化」を構築し続けることにより、より便利で簡単な不動在庫のやり取りができるようになりました!

システムの問題点と改善点について

問題は出来上がったシステムを運用していくためにも「不動在庫を解消しよう!自分たちの会社全体の問題だ!」というモチベーションを全社員に持ってもらうことでした。
そこで各店舗がどれくらいの金額を譲渡・譲受依頼をしたかを毎月データに集計し全店舗で共有することにより各店舗の不動在庫解消の貢献度を視える化しました。
数字が表れにくい薬剤師業務の中、この手法は若手薬剤師達のやる気に火をつけることができました。
若手薬剤師が率先して不動在庫に向き合ってくれたおかげで、そのやる気が若手→中堅→ベテランと広がっていき無事にシステムが回り始めました。
我が社の若手の優秀さに目を付けたということですね(笑)

結果

その結果グループ内の不動在庫は5年間で5000万円分が捨てられることなく患者様のもとに届くことができました。
グループの成長と共に店舗は増えて現在は23店舗となり不動在庫はどんどん増加していきます。
この取り組みがなければ年間900万円近くの医薬品が患者様のもとに届くことなくゴミとして処分されたかもしれません。
結果的に1店舗当たり年間38万円捨てられていた医薬品は年間13万円へ削減することに成功しました。
そして2018~2021の実績で4000万円の不動在庫を削減した実績で私は社内で最速・最年少の役員へと昇進をさせていただきました。
それだけ我が社のグループではインパクトがある出来事だったのです。

日本の調剤薬局の現状・・・

それでもグループで積極的に廃棄医薬品・不動在庫の解消に取り組んだとしても年間300万円近くの廃棄医薬品はなくなりません。
私はこれがグループ内で行える限界だと感じました。
それと同時に他の調剤薬局ではどのような現状なのかが気になりました。
調剤薬局、友人、取引先と調査したところ、現状はもっと酷い状況であることを知りました。
厚生労働省によると日本の調剤薬局ごとの年間廃棄金額は平均20万円程度と推計されており、全国の薬局数は約6万店にも及ぶため医薬品の廃棄による損失額は年間120億円。
不動在庫としておよそ400億円以上の廃棄予備軍が日本の調剤薬局に眠っていることになります。
国の意向で「かかりつけ薬局」や「オンライン診療」がますます発展していくと共に確実に薬局には不動在庫や廃棄医薬品が増える未来が予想されます。
この400億円を捨てずに使い切ることができれば、調剤薬局の業界をもっとより良い形に発展させていけるのではないかと強く感じました。

5年間、社内の不動在庫や医薬品廃棄に向き合うことによって、私の中で様々な思いが巡っていきました。
その結果、私の人生は思いもよらない方向に舵を切っていくことになるのでした。
その話はまた別の記事で・・・

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