子供の話しかしない人が苦手な話
私は子供が大嫌いだ。
小学生の時、友達の家の赤ちゃんが家に来て、私物をよだれまみれにされ、彼らが帰った後に死ぬほど文句を言いながらウエットティッシュで拭いていた記憶がある。
とにかく汚いのとうるさいのが駄目なのだ。
日本語が通じる小学生くらいならまだ面白いが、赤ちゃんをかわいいと思ったことは人生で一度もない気がする。(あぁ欠陥人間)
もちろん自分の子供が欲しいと思ったことも人生で一度もない。
添乗員時代は、同僚も子供嫌いが多かった。
ツアー中は客の子供と楽しそうに話していても、事務所では「私、子供好きじゃないから」と冷めた調子で話す先輩には驚いたし、
春休みなどのツアーは家族連れが来るため、子供料金の計算やバス席・食事の配慮など、いつもはない仕事がどっと増えるので(もちろん手当なし)、みんな文句を言いながらしていた。
私も子供向けツアーで一度だけ、朝の移動中にバスで子供が吐いたものを処理したことがある。
朝食バイキングで相当食べたのだろう、子供とは思えない量の吐瀉物だった。(食事中の方いたらごめんなさい)
しかしバスにはビニール袋が常備してあるため、手袋代わりに使えば素手で触らずに済んだし、突然の出来事でみんな黙るからその間に淡々と処理すればよかったので、突然バスで怒鳴りだす老人や私の顔を見る度にネチネチ文句を言ってくるババアの相手よりずっと楽だった記憶がある。(老害はゲロ以下の存在)
プライベートでも、添乗員は独身実家暮らしが多かった。
50代のおじさんおばさんでも独身実家暮らしの人がたくさんいたので、仕事に嫌気がさす前は私もこのままここにいれば結婚も一人暮らしもしなくて大丈夫だなと安心していた。(元々結婚願望すらない)
しかし退職して普通のオフィスワークに転職すると、関わる人のタイプが全く変わってしまった。
私よりずっと若い女の子でも、一人暮らしをしていたり、結婚していて小さい子供がいたり、シングルマザーの子もいた。
私が自分の仕事や趣味でいっぱいいっぱいになっている間に、普通の女の子は自立したり男性と結婚話を進めたり子供を作ったりしていたのだ。
驚きだった。私にはそんな暇はなかった。
私は仕事でいろんなところに行ったけど、この子達はきっとその間に男性と楽しい旅行に行っていた人達なんだと思うと、人種が違う気がした。
30代独身実家暮らしの女は、この職場では完全にアウェーな存在だった。
今の会社は自立できるほどの給料ではないし、きっと他の主婦達は子供がいないならフルタイムで働けよと思っているに違いないが、特に何も言われないので優しい職場だなと思う。
しかし耐えられないことが一つあった。
私は会話の二言目には子供や孫の話を始める人が心底苦手だ。
心が狭いのは自覚している。でも本当に無理だった。
なんで目の前の相手と話してるのに、見たこともないガキ…いや子供の話を聞かなきゃいけないんだろう。
「うちの子もね…」の一言が出ると、一気に話す気が失せてしまう。
そこから学校だのお年玉だのに話が発展していくと、とても独身にはついていけない。(いつの間にか自慢になってる人も少なくないし)
まだ子供に興味のある独身なら聞いてあげるのかもしれないが、子供嫌いの独身はなんかもう話しているだけで疲れてしまうのだ。(死んだ魚の目)
孫の話をする人なんて、「この人はきっと昔は彼氏や旦那の話をしてたのが子供の話になって、それがさらに孫の話になったんだろうな」と思うと、同情さえ湧いてくる。
この人はこの数十年間ずっと、自分の話題はなかったのかなと。
50年以上生きても他の人の話題しかない人生なんて、一体何が楽しいんだろうか。
わからない。本当にわからない。
今の会社に来てから初めて、自分の親が心配になった。
よそで娘の私の話ばかりしてないかと。
自分の親がそんなつまらないおばさんになっていたらがっかりだ。
せめて自分の親だけでも、自分の話題があるおばさんでいてほしい。
添乗員時代は乗務員さん達や同僚といつも客の悪口で盛り上がっていた。常に話題には事欠かなかった。(最低)
二度とあんな仕事はしたくないが、たまにあの馬鹿話が恋しくなる。
「こないだこんなクソ客いてさー」なんて、ドライブインの休憩室で無料のお茶を飲みながら大声でだべっていた時代は、きっともう戻ってこない。