副業はこんな日もある

今日は本業後にたまに行く工場へ。
ここは好きな人がいる工場の近くで、
スーパーと団地を挟んですぐ裏にある。
本当は向こうに行きたいのだけど、
行ったらわたしはまた彼のことで頭がいっぱいになってしまって遠征の準備が捗らなくなるので我慢だ。


しかしこの工場はわたしが副業で行った会社の中で2番目に治安が悪い。



おばちゃん…と言ってもおそらくまだ30代で、
わたしとそんなに変わらなさそうな女性達の言い方がめちゃくちゃキツいのだ。
わたしには何も言ってこないしむしろニッコリ笑って挨拶してくれるからなんとか行けるのだけど、
社員の男の子に「〇〇っつってんだろ!!!」と怒鳴りつけているのを聞いてしまったり、
他にもわたしにはとても真似できない、
普通は職場の人にそんな言い方しないよねって感じの信じられないくらいキツい話し方をしているのを聞いてしまってドン引きだった。

しかしここはいつもの運送会社よりも好きな人の工場よりもお給料が良いため、
わたしはこうやって渋々通っている。

遠征に行くまでにあと2回もここに来るのだ。憂鬱。
いつも運送会社に行く時間と変わらない時間に家を出てきたけれど、
やっぱり気が重くてとても行きたくない。
いつもの運送会社なら週に3回通っても全く憂鬱にならないのに、
あれはやっぱり特殊なんだなと思った。
でももし運送会社の募集がなくなったり、
募集のタイミングを逃したりしたら、
わたしはまたこうやってお金のためだけに渋々副業に出かける日々に戻るのだ。

そんなことを考えながら、
行く途中に金券ショップで今週末行くところのバス券を買った。
レジのおじいさんはわたしの行き先の隣町の出身らしく、なぜか話しかけられた。
隣町もわたしはヲタ活で何度もお邪魔している。
一体どのあたりの出身なのか気になったけれど、
他のお客さんもいたので聞けなかった。
おじさんは隣町のことを、

「バスも無くなって終わった街だ」


と言った。
わたしはあの街の名物が大好きで年に何回も食べるし、
ハーブティーの美味しい素敵なカフェもある。
今年は桜も見に行った。
休みを取ってお出かけしたいような街なのになと思うけれど、
何も言ってあげられなかった。
こういうときに上手い返しができるようになりたい!
しかし今日は日差しが強いから眼鏡に帽子にマスクに手袋までして完全に怪しい女なのに、
また知らない人に話しかけられてしまった。
わたしはやっぱり話しかけられやすい顔なんだなと思った。

工場に着いたら、
なぜか好かれている受付の事務のおじさんに、
「今日は眼鏡なんだ、珍しいんじゃない」と言われてしまった。
まさかやる気ないからとは言えないので、
「よく気づきましたね!」と笑う。
工場って事務の人は優しいけれど現場のおばちゃんはめっちゃ怖いところが多い気がする。

しかし今日は難しい作業もなく平和だった。
最後の方におばちゃんが大きい声を出したときは一瞬場が凍りついたけれど、
わたしはいつも通りノーダメージだった。
毎日あそこで働いてる人のメンタルやばいだろうな。
わたしなら吐きそうだ。

好きな人はきっともう帰ったんだろうなと思いながら1本裏の通りを歩いて帰った。
わたしはまた彼に会えるんだろうか。
今月は忙しいので、
最後に会ってから1ヶ月以上空けることになる。
また居なくなっていたりしないだろうか。
やっぱりこの街に来たら彼のことを思い出してしまうのだけど、
わたしは今週末も来週もここに来ることになっているのだ。はぁ。

帰り道にまたカップルらしき男女2人組に出くわしてしまった。
男の方が話しているからたぶん気がある感じだ。
わたしも夏の夜に男と2人で帰るような人生を送ってみたかったなと思った。
どこの街に行ったって、いくらお金をかけたって、
わたしの人生にそんなことは起こらない。

今の生活の何を変えたらわたしも男と2人で帰れる人生になるんだろうと考えたらまた眠れなくなるから、
ほどよく疲れていてよかったと思った。