やっぱりトラックドライバーは優しい

いつもの運送会社で働いてきた。
今日は知らないタイミーさんが来る。
きっと男性だろう。こえええええええ。(人見知り)

トラックでいつものおじさんと話していたら、
「交通費引いたら全然貰えてないんじゃないの?」
と心配された。
私の家はここの隣の隣の区で遠い。
車で来ても1時間弱かかるのではないだろうか。
おじさんもそれを知っているので声をかけてくれたのだ。優しいな。感動。
わたしは正直に交通費だけで700円かかっていると話した。
ここの仕事は早上がりも多くて、
大体2000円前後のお給料だから、
計算したら悲しくなってしまう。
もしうちの母親や弟にこれを言ったら、
「あんたもうそんなとこ行くのやめなさい!」
と言われるに決まっているからとても言えない。


でもここはとても居心地が良いのだ。


人も優しいし、遠いのに通うのが全然苦じゃない。
だから本業の会社よりも通い詰めている。
他のおじさんにもとうとう「皆勤賞じゃないの?」と言われた。

昨日は工場で暑さに耐えながら汗を流していたけれど、
今日は念願のラップ巻きで汗をかいた。
わたしちょっと汗臭いかもと思うくらい。

わたしがなんとか並べた荷物はドライバーさんが置き直していたし、
いつもたいした仕事はしていない。
これでお金がもらえるなんてむしろありがたいと思わなくては。

知らないタイミーの男の人は、
ここに来るのは2回目らしい。
たぶんこの人はわたしに助けを求めている。
この会社は自分から聞かないと指示をもらえない。
わたしはあの人の仕事手伝ってきてと言われたけれど、たぶん2人も要らないだろう。
タイミーさんは突っ立ったままだ。
わたしは少し考えて、
ここで一番助けてくれる優しいおじさんに、


「今日のタイミーさん2回目なんですって!助けてあげてくださぁい!」



と声をかけた。
おじさんは「どの人?」と聞いてきたのでわたしが「あの方です」と教えてあげたら、
おじさんは指示を出し始めた。よかった。
わたしって優しいな。
なんか良いことないかな。


しかしわたしがこうやって人に優しくできるのは、
ここでいつもおじさん達に優しくされているからだ。



さっきの交通費の話もそうだけど、
わたしが1人でエアコンの室外機を何台も運んでいたら声をかけてくれるし、
台車に足をぶつけたら大丈夫?と言ってくれる。
人はそういう環境に慣れると、
困っている人には自然と声をかけるようになるのだ。
今のわたしはたぶん、
毎日クレームばかり浴びていた添乗員時代とは正反対の環境にいる。
きっと人相も変わっているはずだ。

今日は暇だったので、
帰り際いつも助けてくれるおじさんと話していたら、
「やっぱり女性がいるとみんなの雰囲気が違う」
と言われた。
わたしは自分が来ない日はここがどんな雰囲気なのかわからない。
ここの倉庫で女の人を見たことがあるけれど、
瓶底メガネをかけたかなりもさもさした人だった。
若くもない美人でもない仕事ができるわけでもないこんなわたしでも、
ここはきちんと女性扱いしてくれるし、

何よりも人間味を感じる。


わたしは「はぐれ刑事純情派」が大好きだ。
たぶん人生で一番見ているドラマだ。
だからここの人間味のあるドライバーさん達といるとホッとするのかもしれない。

今日は昨日と違って良い気分で帰れた。
好きな人のことでいつも死ぬほど落ち込むけれど、
わたしにはこうやって元気になれる場所もあって幸せだと思う。