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2021年7月10日土曜日

今日はたくさん展示を見る予定でホテルを出た。
快晴。
7月1日から東京に来て、朝から晴れている日はあったろうか。
あったかもしれないが、とにかく幸先良い気がして、電車に乗る。

埼玉県立近代美術館のボイス+パレルモ展に行ってきた。
本物を見るのはいいなぁという言葉に尽きる。

見ている間、言葉をおぼえ始めくらいの子どもがよちよち歩きで展示室に入ってきた。
ヨーゼフ・ボイスのパフォーマンス映像から流れる不穏なアンビエントやインダストリアルや彼自身の声に合わせて、日本語とも日本語でないとも聞こえる幼子の若々しい声帯を通したボイスパフォーマンス。
よちよち展示室内を歩きながら、ちゃんと作品を見てずっと何かを言ってる。
素晴らしすぎて少し涙が出た。

森美術館のアナザー・エナジー展に行く。
大きなスクリーンの前で、セクシーでかっこいいキャミソールを着た女子たちの一人が椅子に座り、背中を向けて悩ましげなポーズを取り、他の子たちがスマホで撮るその撮影大会に巻き込まれる。
あらゆる作品がひしめく中でも、あらためて絵はいいなぁと思う。
インスタレーション、パフォーマンス、映像、プロジェクト、色々な手法が美術にはあるけど、いつも私の癒しになるのは絵だ。
そういうことをぼんやり思いながら、アナザー・エナジーを出て別室のMAMプロジェクト029:オスカー・ムリーリョを見たら本当に泣けてきた。
世界中のちびっこたちと描く行為を通した力強い共作。

火曜日に一緒に新宿で飲んだ沖さんがいらっしゃるMarueido Japanにもようやく行けた。
花房(鈴木)紗也香さんの個展「inside and outside」で、一日分の感動を込めて作品をひとつ買わせてもらった。
ホワイトキューブの空間の奥に、土壁と床の間のある空間があって、やっぱり床の間はプライベートギャラリーとして自宅にあるべきだなと作品を見るその横目で見る。
Marueidoで日野さんと1週間ぶりに合流して、表参道のMaki Galleryへブライアン・ハート個展を見に行く。

最近人の絵を見るのは、もっぱらInstagramに頼ってるが、彼が日本で個展するよと投稿したので、東京滞在中今日しか行ける日がなく、急遽。
ネット上で作品を見るのと、実際に見るのとで、印象が変わる人とあまり変わらない人がいる。
ブライアンの絵は、全く印象が違く、同じようにInstagram上と実物の受ける印象が全然違う人代表作家の日野さんと作品を見て、あれこれ言って、そのまま新宿へ。

またもや中華料理屋に落ち着き、この一週間のフィードバックを共有しつつ、エクスペンダブルズ2の素晴らしさについて力説される等。

作品や展覧会は物や現象でしかなくて、そこに人が集まってわあわあ言い合うことが本当に刺激的で楽しいと思う。
たまにハプニングが起きても、みんな自由に過ごしてくれればとても幸せな気持ちになる。
逆にうまく関われないなぁという経験をして帰ってくると、少し寂しい気持ちになる。
清濁合わせて人の感情と営みを何もかも肯定できるとしたら、何か作品、表現のある場なのかもしれない。
どうやら私は、そういうものを求めているらしい。

何とか宣言下で、20時過ぎてゆっくりできそうなお店は開いていない。
日野さんと別れてホテルに戻り、パートナーにLINEを送ると、お前今日は帰りが早いじゃないかと言われる。
あちらは友達と焼肉を嗜んでいらっしゃり、まだまだ遊ぶ気でいる様子なので、なんだか私もいい気分で寝床に入った。

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