見出し画像

ゆるキャン第3話【ふじさんとまったりお鍋キャンプ】 プロット分析

前回の記事を見直すと文章ばかりでパッと情景が思い出せないな〜と感じたので、今回からキャプチャを多めにしてみました。
みやすい! けど時間がかかる….

あらすじ

鍋を楽しむリンとなでしこ。一方野クルメンバーはキャンプ資金のためにバイトを始める様子。なでしこは早朝の富士山を見てリンのキャンプでそのまま寝てしまった。このキャンプはリンにとってとても思い出に残るキャンプになった。

アバン〜オープニングまで

家の倉庫で何か探しているらしいなでしこ。確か1話で「家にしまってあるテントがある」と話していたので、テントを探しているのだろうと推測できます。

(テントが)ない、ない、ない…から、あった! ….と思わせてどうもテントの機能を果たしていないらいしテントが登場する、下げて上げて下げてと、なでしこの元気の良さと合わせて話の緩急も細かくそそっかしい感じです。

空を見上げて「富士山….」と呟く様から富士山を渇望しているのだということがわかります。
ここで斉藤からのラインで凛のキャンプしている場所を教えてもらいます。
ここで前回の時間軸のなでしこ視点での話だということが分かります。

そのキャンプ場に行くためにどうやらお姉ちゃんの車に乗せてもらうようです。
乗せていってほしいということを頼まれたお姉ちゃんは「」がありますね。
ゆるキャンでは感情表現をあえて抑えることで深みを出す方法がよくとられている気がします。

ところで、お姉ちゃんは元々どこにいくつもりだったのでしょう。

車のシーンではアニメ+CGでゆったりとしたドライブを演出しています。
キャンプ本体だけではなく、行きや帰りの空気感も丁寧に表現しているのがさすがです。

キャンプ料金(2000円)を知った時のなでしこの「お姉ちゃん! …お金かかるんだって..」と笑顔で伝えるセリフは今回の話で一番好きなセリフでした。
「どうしよう…」でも「貸して!」でもなく、さりげない全くいやらしさのないおねだりの仕方から抜群の妹力が窺い知れます。
こんな頼まれ方をしたら誰だってお金払っちゃいますよね。

なでしこを探し回るシーンではキャンプ場の夕暮れの空気感と風景をしっかり見せています。

今回の話のテーマを象徴するセリフ「今からお鍋、やろ!」というセリフでアバンは終了です。

鍋の準備〜キャンプの蘊蓄まで

どう考えても二人分じゃない量ですよね。
なでしこの大食いキャラは燃費は悪くても絵として映えるのでお得です。
鍋を作るシーンもキッチンバサミで切るシーンの描写がとても細いです。

なでしこが「車中泊ってキャンプじゃないかなあ?」というぼやきに対して、「いいんじゃない? 車中泊の人も結構いるよ」とリンが返しています。

後でまとめでも触れますが、この「いいんじゃない?」というスタンスがこの回ではとても強調して描かれているように感じました。

お姉さんは富士宮の方に友達と遊びに行き、9時ぐらいに戻ってくるそうです。なんとなく気になる描写です。

ここからは少し小ボケを挟みつつ、カイロの貼り方についての豆知識口座が入ります。

面接〜野クルの野望

豆知識を挟んで物語が少し緩やかになったところに、千明(野クルのメガネちゃんです)が酒店のバイト面接を受けるシーンが入ります。
受け答えの声や立ち振る舞いで緊張している様が伝わりますね。
ここでも小ボケが入っているのですが、演出が丁寧だったので整理します。

まず、店長らしき人がP箱(お酒を入れるプラスチックの箱のことです)を、面がある方に返してから座る様子がわざわざアップで映されています。

その後、「その箱にでも座んなよ」と店主が言ったので千明は箱を座れる面に返そうとするのですが、その直後の会話に気を取られて箱を落としています。しかも意図的に箱を映さずに音だけでその様子を伝えています。

そのせいで千明は箱に座ろうとして箱にハマってしまう…というオチなのですが、小ボケなのに映像演出がなかなか細かいです。

オチの「助けてもらって、いいすか…」という千秋のセリフでは、店の外の夕暮れの空を映しています。
室内シーンでも自然の描写を入れる、というのがお決まりの手法だということにそろそろ気づいてきました。

その後あおいと落ち合い、お互いのバイト面接が合格であったこと、バイトはキャンプ資金のためであることが語られます。

その時自販機で飲み物を買っているのですが、その自販機上に「奉仕価格/ラッキードリンクショップへようこそ❤️/100円〜」とかなり毒々しく書かれています。
小ボケにしては中途半端な感じがしますし、シーン的に強い意味合いも感じなかったので地元ネタなのかな〜と推測しています。

彼女たちの物語上の目標「今年の冬こそはキャンプやるぜ!!」ということが示されてシーンが終わります。

鍋タイム

シーン切り替わりでは違和感が起きないように、まず場所と時間を簡潔に示すための夜の山の絵がさっくり挿入されています。

鍋シーンでは想像力を掻き立てられるように、暗闇と音だけでの演出が使われています。開けた瞬間は鍋視点での二人の覗き込む顔です。
何かを開けるシーン全般で応用することができそうな演出です。

鍋は真っ赤で「坦々餃子鍋」とのことです。
とても美味しそうですね!
もし自分だったらこのシーンでどの鍋をチョイスするかな〜と少し考えてみたのですが、ポイントとして

  • 調理が簡単

  • 絵として映えて美味しそうなもの

  • 少し意外性があると良い

  • (調理が簡単と少し被るが)鮮度が不安な生物系は避けたい

といったものを選びたいので、坦々餃子鍋のチョイスはベストだと感じました。

リンが初めての一口を食べるシーンでは固唾を飲んでなでしこが見守ります。緊張感が伝わりますね。
リンはなでしこのような豪快な食べっぷりではないですが、丁寧に味わうような食べ方をしていてキャラクターによって細かい描写の使い分けがなされています。

美味しそうに食べるシーンではしっかり尺を取って、どんどん鍋で暑くなって行く様を表現していますね。

餃子は50個入れたそうです。食いしん坊キャラとキャンプは相性がやっぱりいいですね。

ソロキャンプとグループキャンプ

鍋を食べている途中、サークルに誘われたのに嫌そうな顔をしてしまった事をリンが謝ります。
謝られても最初ピンときてないなでしこ、頭に手を当てながら困り顔で説明するリンと、個々のキャラをしっかり出しています。

ここで、リンがソロキャンプの方が好きなことを理解した上でなでしこが「またやろうよ、まったりお鍋キャンプ。そいで気が向いたらみんなでキャンプしようよ」というかなり寛容的な態度を示します。
普段(負の感情以外は)感情をあまり顔に出さないタイプのリンも笑顔でそれに返事をします。

少し真面目な話題の後はなでしこの大食いネタで場を柔らかくしていました。

その後はスマホのラジオでED曲を流す演出が入ります。
この曲は佐々木恵梨さんの『ふゆびより』という曲だそうです。

ED曲があえて挿入歌のように使われているので少し歌詞も確認してみました。

明かりを消して となりで眠ろう
たわいもないこと 話しながら
ひとりでいることの方が好きだった けれど

素直に受け取ると、ソロキャンばかり今までやってきたリンがなでしことのキャンプを楽しんでいる心境を重ねていると受け取ることができます。

ここで朝の富士山は幻想的だという情報をリンがなでしこに教えます。
ただし霧がかかるのは春夏だけだそうです。
日の出は6:00で、起きれるかどうか心配しているなでしこですが、リンは寝ていたいようで「起こすなよ」と釘を刺していました。
ここでも個人の意思の尊重のようなものを感じますね。

ラジオの終わりの挨拶「おやすみなさい」がとても良い入れ方だな〜と思いました。夜の寝静まった空気感がこれによってとてもリアルに伝わります。

AM 5:40のアラームに起こされるなでしこのお姉さん。
ここまで付き合ってあげてるのに物凄い愛情を感じます。
前回の登場シーンでは暴力シーンが浮いて見えたのが気になってしまいましたが、今回の描写では全くそういった感じがしませんでした。

なでしこの暴食ネタもツッコミもせず坦々と対処する様が家族という関係性を感じさせます。

リンの言っていた通り霧はかかっていませんでしたが、とても綺麗な朝日をなでしこは見ることができたようです。
一言「眩しい…」と感想を言ったのち、そのままリンのテントで眠ってしまいました。

後日学校にて

その時の思い出の写真を学校で見返しているリン。なでしこが時々映っている写真を楽しそう(?)にみている様を友人の斉藤に茶化されています。

ここで斉藤が「リンはこの時期しかキャンプをしないがなぜ?」と本質にせまる質問をしています。
この時期のキャンプの魅力を「いとをかし」調でリンがとつとつと話していく中で照れながら「汁物がうまい」と言っているので、前回のキャンプは相当楽しく心に残るキャンプだったようです。

斎藤もキャンプに興味があるようですが、寒いからあったかくなってからにするとのことです。ここでも自由意志!

会話シーン中スマホにはなでしこの寝顔が映っていました。

ここで前回のキャンプの朝のシーンに時間が巻き戻ります。
まだ寝ているなでしこを起こすシーンでは最後に「なでしこ」と名前を呼ぶセリフで終わります。
ここら辺の見せ方が完全にヒロインと主人公でした。

ところで時間軸に未来である学校シーンをあえて挟んだのは何故でしょうか?
自分なりに考えてみたのですが、リンにとってとてもかけがえのない時間になった、という事を補完する意味合いがあるのかなと思っています。

まとめと感想

まだ全体を見ていないので推測ですが、この回はゆるキャンの基本方針のようなものをしっかりと示したかなり重要な回なのではないでしょうか?
この回では全体を通して自己の意思や楽しみ方を尊重する、ということが全面に出ているように感じました。

  • 車中泊に対して「いいんじゃない?」というリン

  • ソロでまったりやりたい凛を尊重する周囲メンバー

  • 「早朝は寝ていたい」という気持ちを尊重して起こさなかったなでしこ

  • 寒くなくなってからキャンプしたいと意思表明する斉藤

このアニメの本テーマかもしれないですね。

また、キャラのセリフが小さな呟きであったり無言であったりと、感情表現が控えめであるのもゆるさが出ていてとても良いです。
アニメなどはわかりやすさのために過剰な漫画的表現になりがちですが、全体の雰囲気を重視していることが窺い知れます。

次回も楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?