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気ままに一首評_005

手羽先を拳銃としてわたくしはあなたの不幸を奪う強盗
「氷柱」工藤玲音

なんてヘンテコでコミカルで幸せな強盗なんだろう。鬼気迫る感じが、、、ない。全然ない。
手羽先を向けられた人は、何もできず両手を上げたまま、呆然としている間に不幸を奪われてしまう。そして幸せだけが残る。

拳銃の代わりが手羽先なのが良かった。
手羽先の“手”や“羽”が軽やかさを醸し出していて、死を連想させる拳銃と良い対比になっているし、手羽先の“先”は手羽先を突き立てられた先にいる他者の存在がうっすら仄めかされている。

強盗であるはずなのに“〇〇として”や“わたくしは”と言ってしまうあたりは、悪に染まりきれない、根の育ちの良さみたいなものを露呈してしまっていて微笑ましい。

“わたくしはあなたの不幸を奪う強盗”
嫌でも不幸を奪っていくと考えると少し怖い。
だけどそんなこと言ってみたいし、言われてみたい。

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