ハガネの花
「お前、タレントの〇〇の振る舞い真似してるだけだろ?
ハガネってお前ホント、オリジナリティねえよな。」
1-トゲ-
カンタの言葉は、胸の奥までグサリとトゲが刺さったみたいな感覚だった。
「うるせえな...
お前みたいに正論かざして悪口言って、何も生産してないヤツに言われたくねえんだよ。」
口ではそう言い返した。
でも正論言って、言い負かそうとしてるのは
オレも一緒だった。。。
2-心地良い養分-
考えればアイツの言う通りなんだ。
自分に無い力を得るには
誰かのマネをして、演じて、
それを繰り返すうちに自分に馴染んで
演じなくて済むようになってく。
だから、そうしてた。
だけど、本当はそんなステージじゃダメなんだ。
カンタの言う通り、オリジナリティがない。
誰かのマネなんか、心地いいだけ。
でも誰かのマネが心地いいなんて
誰をマネてるか知らない人
マネてることをわかった上で、察してくれる人
の前での悦楽でしかない。
そんな小さなコミュニティを出たら
なんて2チャンの養分になるのがオチ。
そうだ、向き合うべきは自分。
オレならどうする?
誰かの生き方をパクって生きるな。
誰かをマネるな。
誰かを取り入れた、オレであれ。
オレは、オレが一番似合うんだ。
なあカンタよ。
いつも喧嘩ふっかけてきやがるお前が嫌いだった。
でも、オレは変わった。
お前はトゲのつもりで刺してきても、
オレはそれを養分にして
デッカい花を咲かせてやるからな。
誰かに似せた花じゃない。
オレという花を咲かせてやる。
それまで待ってろ。
3-ハガネに咲く花は-
桜並木。遠くなるカンタの背中。
何か呟いてるみたいだが、上手く聞こえなかった。
ハガネに刺さるといいんだけどな...。
-おしまい-
改(かい@3分で読めるおいしい物語)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?