両国国技館|あかちゃんと散歩(東京編)
大相撲観戦。一度は行ってみたいと思うものの、相撲観戦初心者が行ってもいいのだろうか?楽しめるだろうか?ましてや、赤ちゃんを連れて…?そんな臆病な(?)わたしに、ある日ご加護が。「アメリカからお友達が来ていて、枡席がひと席あるので、来ない?」
行かない理由がない。もうすぐ7ヶ月のムスコと一緒に、一月場所(東京)に挑戦することにした。
五感が発達途上にあり、好奇心旺盛なムスコ・7ヶ月。いろんなものを見せてあげたいものの、やはり気になるのは、混み具合や衛生面。ベビーカーがあれば最悪おむつ替えはどうにかなるけど、抱っこ紐でしか入れない場所ならオムツ台がないところは、1時間と滞在できない。それに、荷物も多いし、タラタラ歩いているところにど突かれたりしたらたまったもんじゃない。
大相撲の1日は、長い(らしい)。テレビで中継されているのはクライマックスのほんの一部で、実は9時ごろから始まるそうだ。赤ちゃんの体力と、わたしの好奇心を考慮すると(考慮するんかい)、2時間勝負かつ横綱戦は外せないので、16時からの幕内取組を狙うことにした。
16時過ぎ。すでに会場の盛り上がりはまるでライブ会場のようで、グッズや弁当販売は盛況のようだ。「あと30分でグッズ販売を終了しますよ!急いで!」と声がかかる。グッズも弁当も買う気がなかったのに、「焼き鳥」や「幕の内弁当」に目を奪われ、早く選ばなきゃと、何故か焦る。枡席は、すでに熱気で仕上がっていた。広い会場の一番低いところ、土俵の神々しいこと。枡席は足の長いアメリカ人の友人にはいささか狭そうだけど、わたしが座布団に胡座をすると赤ちゃんは文字通り丸くおさまって、なんだか居心地良さそうにしている。周囲も直座りなので、取組もよく見える。なんだか、いいかんじだぞ…!
そうすると俄然気になるのが、ネットで調べて存在を確認した「ベビー休憩室」。国技館の入り口に、大きくわかりやすい字で「ベビー休憩室をご利用の方はお声がけください」と表示があったのは確認した。ほうほう、行ってみるか。
相撲は野球やサッカーと違って取組が短く、間を取れるので、中座しやすいところも赤ちゃん連れにはポイントが高い。実際おもったよりも赤ちゃん連れが多く心強かった。会場スタッフにベビー休憩室を使いたい旨申し出ると、専用エレベーターに案内された。階を移動すると、明らかに関係者ばかりが行き来するコンベンションホールのようなところに出る。おっと、ここは…?一瞬凍りついたものの、国技館マスコットキャラクター「あんこ山」「だいふく山」の案内板が無言で案内してくれた。ベビー休憩室はかなり広く贅沢なつくりで、どのくらい贅沢かというと、オムツ台とオムツ台の間隔が1.5mくらいあった(デパートやショッピングセンターで、隣のオムツ台が近すぎて気まずい思いをした方は多いだろう)。オムツは捨てられるし、奥には授乳室もあった。おしゃれでこなれた給湯器はないけれど、白いテーブルクロスが敷いてあるテーブルにいくつものポットが置いてある。清潔で心がこもっていて嬉しかったし、なにより結構大きめの「あんこ山」や「だいふく山」等身大POPが無言でおもてなししてくれた。
そんなこんなしているうちに、幕内取組は大詰めを迎える。会場のボルテージもますます上がっていった。「初心者でも大丈夫かな」問題は、インバウンドの復活で外国人来場者も多く、全く問題ないように感じられた。そうそう、外国人がいる席はどこも、日本人と外国人のグループという感じ。外国人観光客がもっと気軽に来れるようになったら大相撲はもっと儲かるスポーツになるかもしれないけど、そもそも正座で座ることを前提としており、小さい枡席に4人も大人が座る設定になっているし、実際一緒に観戦したアメリカの友人にも「どうしてまわしにロープがついてるの?」とか「焼き鳥とつくねの違いって何?」とか素朴な疑問があって、日本人じゃなくてもいいけど「日本語話者と一緒」くらいがちょうどいいのかも。わたしも海外で国技を観戦する機会があったらぜひ現地の友達と一緒に行くことにしよう。
鍛え上げられた身体と身体がぶつかって、土がつかなかった方が勝ち。シンプルで、美しい競技だ。初心者中の初心者なわたしが赤ちゃんと一緒に、手に汗かいて、握り拳をつくって、熱く応援した。
横綱の結びの一番まで観戦すると、あたりは真っ暗になっていた。混んでいるけれど、赤ちゃんがいて困るほどではなく、来場者のマナーも良く、十分に間隔を保って歩くことができた。ドアが多いので、ど突かれることもなくすぐに外に出ることができた。大満足。次は家族みんなで来てもいいな。
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