デッドボールは打者の能力と関係があるのか

2021シーズンのNPBの行方を占うため過去3年の指標を見ていて、特に四球率,三振率,本塁打率,BABIP等を見ていたのですが、極端にデッドボール(以後死球)が多い打者がいることに気づきました。

代表的なのが千葉ロッテ・中村奨吾選手で、

2018:639打席 22死球   2019:586打席 12死球

中村選手のタフマンぶりはロッテファンには有名らしく、グッズも制作されているようです。

ロッテが中村の「死球Tシャツ」を受注販売 本人も「まさか出るなんて…」

死球を得る割合が打者の能力や方針と関係しているのならば、四球,三振,本塁打,BABIPのみを用いて打者の能力を図ろうとすると、中村奨吾選手のような死球で多く出塁する打者を過小評価してしまいます。

そこで、2018,2019シーズンのパ・リーグの成績を使って死球率が打者ごとにどのように推移しているのか簡単に調べてみました。

両シーズンで300打席以上立っている打者のみを対象としています。(そのため試合数が少ない2020シーズンの成績は用いませんでした。)

死球率=死球÷打席

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画像1

横軸が2018,縦軸が2019です.

死球は投手のミスの要素が大きいものだと考えていたのですが、シーズンを通じた割合で見ると打者による差がはっきり出る傾向がありました。

相関係数r=0.75 ですから、強い相関と言って良いと思います。

メンバーで言えば、中村奨吾選手の他にも鈴木大地選手、荻野貴司選手らが上位に位置しており、当時のロッテはチーム全体で死球率が高くなるような方針を取っていたのかも知れません。

ロッテの他には西武・山川穂高選手、オリックス(当時)・ステフェン・ロメロ選手、楽天(当時)・ゼラス・ウィーラー選手など右の強打者が並んでおり、全体的にも右打者のほうが多くの死球をもらっている印象があります。

上の画像だと1%以下の範囲が見づらいので拡大してみましょう。

画像2

西武→楽天の浅村栄斗選手は間違いなく「右の強打者」ですが高くないように見えますね。清田育宏選手もロッテ・右打者と死球が多い要因が揃っている割に低く、2018シーズンは303打席で死球0です。

他に明らかに見えることとして、キャッチャーの死球率は低いです。今回該当したのは西武・森友哉選手、ソフトバンク・甲斐拓也選手、ロッテ・田村龍弘選手の3人ですが、2018甲斐選手と2019田村選手はともに死球0で、森選手も0.35%→0.36%(ともに2つ)と低く推移しています。

キャッチャーは守備の負担が大きいポジションなので、出塁するメリットより故障のリスクを大きく見積もってなるべく避ける判断をしているのかも知れません。


死球率は打者の能力、あるいは方針に結構強く依存しており、ある年に多く死球で出塁した打者は翌シーズン以降も死球を多く得る可能性が高いと言えることが分かりました。打者の成績を占うためには、四球率ではなく四死球率を使ったほうが良いかも知れません。

今回は打者から見た死球について2018年と2019年のパ・リーグの成績を使って簡単に調べてみましたが、投手成績からみたり他のリーグ、年度について調べてみても面白いと思います。あと左右による違い、捕手の死球についてもう少し細かく見てみようと考えています。

こちらからは以上です。

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