立つ鳥跡を濁さず・・・か?

30くらいの男の子(まあ、58の私からすれば男の子)が不眠を主訴にしてやってきたのは、もう半年ぐらい前になります。聞けば職場でちょっとした紛失事故が起き、それを責められて職場から追い出しにあっているというわけです。一切仕事は与えられない、夜は頻繁に用もないのに職場から電話が掛かってくる、有休を取ろうとすると上司にしつこく理由を聞かれる、等々というのです。



どう考えても不当労働行為に当たりますから、労基署に相談するなり、必要なら労働紛争に強い弁護士を紹介してあげるから、と勧めたのですが、もじもじしています。内心「煮え切らない奴だなあ」と思いながら、「なんで躊躇してるの」と聞いたらその答が振るっていた。



「だって立つ鳥跡を濁さずと言うじゃ無いですか」。



跡を濁さずって、この人の場合もうさんざん会社が泥水を濁して引っかけてきているわけです。跡を濁さずもへったくれもないだろうと説得し、漸く労基署に相談に行かせました。それで労基署からこれこれを書類にして作ってこいと言われ、物事が進みかけたその矢先、今度は実家に帰ったら親からまた「立つ鳥跡を濁さずだからそう言うことは止めろ」と言われたって言うんですねえ。



それでまた本人を説得して、「人生ってのは戦う時は戦うんだ!」と発破を掛けて、この度やっと労基署の調停の日取りが決まったのですが、今時の若い子ってのは、こう言うものの考え方をするのかとつくづく驚きました。さんざん職場でイジメに遭っていて、職場は追い出すと決めてどんどん攻撃を掛けてきているのに、「立つ鳥跡を濁さず」。うーん、驚きました。



これではねえ、今時の若い世代がストライキもデモも白い目で見るわけですよ。こう言う発想をする人たちなんだなあ、あの世代は。私なんかある病院でいびり出されそうになった時がありましたがすぐ弁護士に相談し、結局600万和解でふんだくって辞めましたけど、だって職場が全力で攻撃してきているんですから、こっちだって戦うしか無いわけじゃないですか。あとはもう幾ら取って辞めるかでしょ?と私は考えますけど、そういうのがあの世代からすると「立つ鳥跡を濁している」ってことになるんですかねえ。



なんで医者がこんなことやってるんだろ。

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