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#CTO3年生と考える 効果的な1-1面談とは

Scoville CTOのいわーく(@iwark02)です。

僕はScovilleにおいて1人のエンジニアでもあり、複数のプロジェクト・メンバーを管理するマネージャーでもあり、CTOでもありますが、最近はチームメンバー数の増加に従ってマネジメントについて考える機会が増えてきました。

そこで「CTO3年生と考える」シリーズとして、皆さんと一緒にマネジメントについて考える企画をしてみたいと思います。
僕はマネージャーとしてまだまだヒヨッコですので、是非#CTO3年生と考えるで皆さんの意見お聞かせください!
(頂いた意見を元に、記事を更新しています。ありがとうございます!)

第一弾はメンバーをマネジメントする上で欠かせない1対1での面談「1-1面談」の効果を最大化させるためには、というテーマで考えていきたいと思います。

※フラットな組織構造にしているため普段はあまり「上司」「部下」という表現を使わないのですが、この記事においては分かりやすさを優先して使っていきます。

(マネジメントについて、とても素敵だった本を貼っておきます↓)

★ 【考察①】1-1面談の目的

これが今回メインの考察になるんですが、1-1面談の目的について、僕は次のように考えています。

■ 1-1面談の目的
① 組織のビジョンの共有と推進
② 部下の「組織内で果たす役割」の設定
③ 部下と上司のゴール設定と、それによる成長速度の最大化
④ 部下との関係性向上
⑤ ネガティブな事象の早期発見と解決

スクラム開発におけるプランニングとレビューをまとめて行うようなイメージが近いです。
特に部下の成長のためのプロジェクトという一面で切り取ると、アジャイル形式に進めていくことは理にかなっているように思います。

■ 組織のビジョンの共有と推進

1-1面談の場は、組織のビジョンやバリューの浸透の場として活用できます。
定期的に行われるこの場で、改めて組織の向かう先や、その一員として求められる資質やスキルについて確認しましょう。

面談対象の部下が面接官の役割を果たすことがある場合は、特に入念に行いましょう。

また、組織の一員としてふさわしい行動は褒め、ふさわしくない行動は叱るべきです。
(その際には、④部下との関係性向上で得た情報を元に、どんな褒め方、どんな叱り方がその部下にとって最適な効果をもたらすか判断します)

■ 部下の「組織内で果たす役割」の設定

①で整理したビジョンやバリューを元に、その部下にいま求められている、フォーカスすべき役割についてディスカッションをしましょう。
組織から求められている資質やスキルは何でしょうか。今どのように自分の能力を開発しようとしているでしょうか。

ここでは組織の歩む方向と部下の歩む方向を限りなく近づけ、部下の役割が定義されている状態を作ります
今持っている役割を列挙するわけではなく、あくまで「あなたが果たすべき役割とは」に関するすり合わせです。

例えば、僕は(今の)自分に求められる役割について、次のように定義しています。
前述の通り、僕は1人のエンジニアでもあり、マネージャーでもあり、CTOでもあるため、それぞれの役割が入り混じったような内容になっています。

岩崎の役割(2019年1月作成)
・ソフトウェアエンジニアとして、実際のプロダクトでコードを書くこと、学ぶことを続ける
・技術的な負債を発見し、分析の上、解決する
・ソフトウェアエンジニアとマネージャーとの良いバランスを探求する
・プロジェクトがコアな機能や要素を見失わないように成果物を調整する
・プロダクトのスケジュールと成果物、リスクについて会社にシェアをする
・チームの各個人と頻繁にコミュニケーションを取り、組織がそれぞれに求めるスキルや態度、成果を共有し、それぞれの目標達成を支援する
・チームやプロジェクトの生産性を下げる問題を発見し、解決する
・チーム全体の能力を大きく向上させるためメンバーを教育/採用する
・全社的な問題を発見、解決するため各部署と連携する
・会社の成長を妨げる最も大事な問題にフォーカスし、解決する
・組織の技術的なロードマップを引く

評価シート等で、ポジションに応じて要求されるスキルやスタンスが定義されている組織も多いかと思いますが、ポジション単位ではなく各個人に目を向けて取り組むべきだと考えます。

これらの役割は、各個人の能力やスタンス、組織状態などに依存します。
役割のすり合わせの際「なぜあなたにそれを求めるのか」がクリアになっているとモチベーション向上にも繋がります。

■ 部下と上司のゴール設定と、それによる成長速度の最大化

各個人の役割が定まったら、それに対して明確なゴールを設定し、部下が最大速度で走り出せるようにします。
個人的には、必要に応じて上司側にもその部下をサポートするためにできることをゴールとして設定すると良いと思います。
向かう先は、個人の成長を通じた組織全体の成長です。双方にゴールを設定することで「同じことに向かっている」と目線が揃うのも大きなメリットです。

上記で作成した役割を元に作っていきます。例えば僕の場合は次のようになりました。(一部省略)

岩崎のゴール(2019年1月作成)
・(開発中プロダクトの)バックエンドAPIの開発
・他部署と連携しつつ成果物設計と継続的なデータベーススキーマ設計
・インフラ設計、構築、運用
・ログ設計、可視化、アラートの仕組みなど作成
・プロジェクトの技術的負債の発見と分析、解決
・既にプロジェクトで使っている、個人的に弱い技術へキャッチアップし、コードレビューに絡めるようになる
 (まずはElm、Rust、Graphql、Dockerあたりを使って簡単なアプリを作成する)
・Jiraやgithub、Slack等を用いたチームやプロジェクト状態の定量的な可視化に取り組む
・Scovilleの技術ブランド向上のためnoteやブログを通じた発信
・採用チャネルの拡大
・インターンが自走してプロダクト開発を行えるよう教育
・各メンバーとの1-1面談の習慣的実施/改善
・新しいメンバー加入時のオンボーディングシステムの設計

ここからさらに粒度の細かいTo-Doに落とし込んで、プロダクト開発と同様に見積もりを行い、大まかにスケジュールの見通しを立てましょう。

次の1-1面談までをスプリントの期間として、次の1-1面談ではこれらの内容をレビューし、必要に応じて役割やゴールを再設定します。
(1-1面談の頻度にも考察の余地ありますよね。メンバーによっても異なるでしょう。これは色々試してみようと思っています。)

■ 部下との関係性向上

質問を通して部下のことをもっとよく知り、関係値を向上させて普段のマネジメントに活かすことが目的です。
質問の仕方を工夫することで、部下の視座を上げることにも繋げられます。
例えばこういった質問が考えられます。

1-1面談での質問例
・そもそも、なぜこの会社/このチームで働くことに決めたのか?
・ここで働くことにどんな期待をしていたか?どんな意欲を持っていたか?
・チームへの加入体験(オンボーディング)はどうだったか?それを改善するとしたら?
・プロジェクトへの加入で、ドキュメントに不備は無かったか?もっと改善できるポイントはないか?
・学生時代に嫌いだった学校の先生や部活の監督はいるか?どんな振る舞いが嫌いだったのか?
・逆にどんな上司(学校の先生や部活の監督でも良い)が好きだったか?どんな振る舞いが好きだったのか?彼らはどんな褒め方をしてくれたか?あるいはどんな叱り方をしてくれたか?

プロジェクトのステータスを1-1面談で確認するのは基本的にアンチパターンかと思うのでお気をつけを…。

■ ネガティブな事象の早期発見と解決

チームやプロジェクトに何かネガティブな事象が起きるとき、大抵は小さな予兆がまずあります。
その予兆は、チームやプロジェクトステータスに現れることもあるでしょうし、メンバーの「ちょっとした不満や違和感」として表に出ることもあります。

1-1面談では、こうした些細なことを拾えると良いと思います。「実は家庭でこんな問題が…」とか「実はチームのあのメンバーが…」とか「実は他社から今多額のオファーを貰ってる」とか。

関係性を構築する方法は一緒にご飯に行くとか色々あるとは思いますが、どの方法でも上司自らが自己を開示しない限り、部下も自己を開示はしないだろうと僕は思っており、なるべくオープンな姿勢でいるようにしています。

以上、長くなりましたが、1-1面談の目的に関しての考察でした。

★ 【考察②】それは本当に1-1面談で話す必要があるか?

「プロジェクトのステータスを1-1面談で確認するのは基本的にアンチパターン」と前述しましたが、上記で4つ挙げたようなことは、果たして本当に1-1面談でやる必要があるのでしょうか?

例えば「頻繁にご飯に行ってる色々話しているから要らない」とか「Slackのチャット上で密にコミュニケーション取ってるから要らない」とか、そういった声もありそうです。「リモートワークの会社だから対面で話すことはほとんどない」とかそういうパターンもあるかもしれません。

1つ前提として、1-1面談の内容はGoogle Docs等を利用してお互いがいつでも参照できるような形で記録されているのが望ましいです。お互いが振り返りに使うことが出来るのはもちろん、上司側は人事評価でも役立つでしょう。
記録媒体として何が一番良いかは考察の余地があると思います。ひょっとしたらTrelloやgithubなんかも面白いかもしれませんし、最近弊社で本格的に使い始めたJiraを使うのも面白いかもしれないです。いくつか試してみようと思っています。

何にせよ、ご飯を食べながら話す内容を逐一記録を取るのは中々難しそうです。とはいえ、例えば部下が「お酒でも飲みながら話しましょう」と提案してきたら、是非付き合って、後から記録を残すとか、そういうのもナシでは無い気はします。

また、もう1つのポイントとして話す内容がセンシティブであればあるほど、相手の反応は大きな情報になります。
フィードバックにおいて褒めることも叱ることもあると思いますが、その際に相手の表情や言葉の抑揚、体の動き、空気感からも、どのような反応なのか情報を得ることができます
チャットベースでのコミュニケーションだと勿論、ビデオ通話でもこうした情報は一部欠落してしまうだろうと思います。

★ 【考察③】1-1面談は本当に1対1である必要があるか?

1-1面談を始めた頃に僕が考えたのが「面談者として僕は果たして適切なのか?」ということです。
例えば弊社には機械学習を使った研究開発をするチームがあるのですが、僕は機械学習周りの知識は素人レベルですから、このチームのメンバーとの1-1面談をするのが僕で適切なのか。例えば誰かチームの人にも入ってもらった方が良いのではないか、そう考えました。

これに関しては実際まだ答えは無いのですが、少なくとも4つの目的のうちの後半2つ「関係性向上」「ネガティブな事象の発見と解決」は今のフェーズにおいて自分が適切だろうとは思いました。
前半2つの役割設定やゴール設定に関しては、専門性の不足等をもし感じるようであればメンバーを増やしてみたり、あるいは1-1面談を面談者の違う2つに切り分けてみる等、試してみようかなと考えています。

考察をしてみると「とりあえず試してみないとな」と思うことがいくつも出てきました。また試してみたら、何らかの方法で共有できればと思います。
是非、皆さんもこういったことを考えて試してみたとか、そういった話があれば共有してください!
@iwark02 または #CTO3年生と考える でお待ちしております!

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