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魔人 6 我々の世界は崩壊する

「魔人殿」

前回

「人間生きている間
我々のささやきばかりを求めて他人より裕福さや幸せを享受した場合、
彼らは、死んだ後我々魔界の支配下に入らざるを得ない」

と教えてくれました

では
私のところに現れたのも
魔人世界への勧誘ですか?

最初はそんなところもあった
しかしあなた様に関しては
神様から
「試す」試みがあったのだと思う

どんな?

ハッキリとは分からんが

この者は
真実を求めているのか
それとも
単にこの世の評価や力を求めているのか

そんな所
力よりも術そのものを知りたいと答えた

そんなことを求めた
人間は今までいなかった

魔人であるオレも神様もためらったが渋々了承したのも前代未聞だ。

もし我々の術を持って我々の世界に来たとしたら、我々の世界は崩壊するだろう。

えっ
どうして?

少し複雑だ
もし貴方様が人間世界で我々の術を人間に教えても理解されないだろう。
しかしこの魔人世界から人間に教え始めると人間の無意識から理解され変容してしまう。

そうなると
我々は終わる。
つまるところ
貴方様が真実と術を持って我々の世界に踏み込んでは困るのさ。

私も魔人世界には興味がないが
そんなものか。

今まで
悟りを開きそうな者の前に
神様の指示で現れた事は何度もある。

それは
神様からの試しでもある。多くの場合その誘惑には勝てない。

だが
ブッダやキリストのような高潔な者の前に現れ、美味い話を持ち込んだが、ただ「立ち去れ!」と言われ小さくなって失せた我々を想像できるか?

「その技術そのものの成り立ちから知りたい」などと言う人間は皆無だが、内心嬉しいところがある。

オレを見て怖がらず、
くれる者は何でもください!のような貧乏根性や損得や忖度感情もなく、平常心で
この世の有利な未来情報や知識さえ求めない者は人間にはいない。

なるほど

私は長い間自分をモルモットにして内側からの自身の気づきを探して来た。
ここに何かあると。その延長で良いのですね。

そうだ。
人間はその短い命の中で唯一やるべき事は

自身の気づきを拾い集めるべきなのだ。その一端を我々が援護しているのだ。

ならば
我々人間にとって
魔人様は魔ではない。

嬉しいよ
わかってくれて。






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