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高知ひろめ市場vs姫路ひろめ市場  (比較レポート)

2008.5.31(レポート投稿文)

高知ひろめ市場と姫路ひろめ市場の比較対照・・・

1、明と暗(人間性・問題点)
最初に頭に浮かぶ問題点は、人間性(気質・性格・習慣・価値観)の違いを強烈に感じた事です。

約1年間の姫路での生活は・・・日々のストレスを積み上げた期間でした。
地域の歴史・風土・習慣・教育・物価などが異なる事で、日々の生活に障害・弊害になるとは考えもしませんでした。

2、企画から建築・開業までの違い
高知ひろめ市場は私が生まれ育った帯屋町商店街に隣接しています。私にとっては家の庭・慣れ親しんだ場所に造られています。

「街に来てもらう、楽しんでもらう、買い物してもらう、そして長い時間過ごしてもらう・・・ついつい足が向いてしまう」場所造りを基本構想にプランをした商業施設です。
私は高知ひろめ市場誕生までの25年間に、数多くの催事・イベントを行っています。
ファッションショー・スーパーカーショー・土曜夜市・物産市・カタログショッピング・テレビショッピング・よさこいイベント・ビンゴゲーム・・・などなど
催事等を開催する場合、商店街の店主(2~3代目)とのコミュニケーションタイムは家族といる時間より多く、気心の知りえた仲間でした。
また、商店街のお客さんも、商売やイベント・催事を通して何が売れ、何を喜び、何を探している・・・と、おおよそ想定できる商売感はありました。

そこで、私は『モノを売るだけが商店街じゃ無い』と商店街組合員に宣言して、『有限会社帯屋町2丁目』を組合員の有志に出資させ設立し、商店街の「空間と時間を売る!」電光掲示板事業(広告)を始めたのですが・・・大失敗(多額の未払い・負債発生)

「このままだと、やばい!」と考え、この『有限会社帯屋町2丁目』で出来る画期的な事業は無いか?四六時中考えていました。

ある日突然、過去に構想した企画が・・・私の頭に蘇ったのです。

それは、土地バブルが始まる頃に、商店街で『食の博覧会』を短期でなく半年・1年の期間で開催する計画を思い出したのです。・・・「これ、出来るかも!」と思って、再プランニングしたのが『高知ひろめ市場』の誕生させるきっかけになったのです。
(その後の展開は「note高知ひろめ市場誕生」で紹介しています)

そうです、私は高知ひろめ市場の立地条件・営業条件・集客条件・運営条件など、おそらく誰よりも詳しく、理解していた人間だったと思います。過去の体験・経験・失敗などが肥やしになり、幾つかの種が改良・変化・進化して新種の『ひろめ市場』が出来たのです。

ところが、姫路はどうでしょう・・・?
姫路計画(冗談話)は高知ひろめ市場が出来た平成10年から始まったのですが、姫路ひろめ市場計画推進者(姫路)とは、高知で年間数日、話し合いをする程度・・・この程度では人間性を理解するコトは無理でしたが、私は同じ城下町で中心商店街の中に位置し通行量も高知より多い、しかも高知より経済的に豊かな市場環境・・・と思い込んでしまったのです。

私は、この段階で、安易に成功間違いないと確信して、高知ほどの下準備(調査・評価・検証)をしなかった事は事実あります。

ただ、姫路ひろめ市場は簡単に決まった訳ではなく、地権者の説得に半年時間がかかり、また建築費・事業費も高知の1.5倍のコスト高!さらに元気がある出店者が少なかったコトも・・・

姫路ひろめ市場の立ち上げには姫路商工会議所が全面的にバックアップしていて、私が高知でひろめ市場を立ち上げた時とは大きく違い、先生・救世主・仕掛け人など、事業が完成する前から『スター』扱い・・・(こんな場所は、後が怖い!)

ともかく、商業環境を数字で確認しても高知より遥かに条件がいいデータだったので、『何とかなる!』と思い、高い建築費や贅沢な備品・装飾・・・そして各店の店舗内装(高知の3倍コスト)、また出店家賃も建築・装飾費用が影響し、高知の3倍ほどの家賃設定となったのです。(高知は6.5万円「4坪」 姫路は22万円「5坪」)

私は「これじゃ高すぎる」と思い、提言したのですが、「姫路の相場はこの位、問題なし」との回答でした。(ここにも私が物価常識を知らないコトが問題)
高知の場合は、如何に安く家賃を設定するか!がキーワードでした。そこで参考にした金額は1DKマンション家賃6.5万円が一般的相場だったので、基本金額にしたのです。
また、「出店しやすく、退店しやすい」を合言葉に出店者を募集し60ブースに対し150社のエントリーがありました。ところが姫路は同じく60ブースに半分の30社ほどが、仮エントリーの状態、しかも出店希望者のほとんどが素人の人達・・・「まずい」とこの時思いましたね。(商売知らない!?)

最終的に、姫路ひろめ市場は数店の空き店舗をイベントスペースと直営店舗にして開店したのです。(高知では無かったこと)
実際、いやな予感はこの時感じたことでした。でも商圏数字が不安より期待感にさせたのです。(データはあてになりません)

以上が建築・オープンまでの話です。

3、お客さんの違い(生活文化)
高知は皿鉢料理です。大きな皿に盛り上げた山海の幸をテーブル中央にドンと置き、後は自由に食する。(酒がメインの宴会食文化)
一人で食事をしていても、知り合いを見つけては呼び、集め、気がつけば6人・8人と集まり「ワイワイ・ガヤガヤ」と喋っては飲み、飲んでは喋り、また食する・・・これが高知の作法(食習慣)
また、アフター5は高知の人にとっては社交的文化時間「今日は何処へ飲みに行くっ!」が、毎日の挨拶で、生きがいなのです。「家に早く帰る…?」と言えば、必ず周囲から「どこか悪いの?病気?」言われます。また職場でも、「昨夜は面白かった・楽しかった」と会話が弾む中で、話に乗り遅れてしまうことが・・・つらい!
その為、高知のひろめ市場は絶好の高知の社交場的役割の場所なのです。(このひろめ市場から高知の夜社会が始まる)

ところが姫路は・・・私が開業して一番驚いた!
開店当初の夜はそこそこ賑わっていましたが、オープン1ヶ月も経たない間に、姫路ひろめ市場の夜間営業は閑古鳥になったのです?????
また、職場帰りのサラリーマン数名が立ち寄っても一人はビール・一人はウーロン茶・コーラと、料理はほとんど取らず、わずか30分ほどで帰っていく????
私はこの人達(グループ)が特別に見えたのですが、その後、これがここでは普通の光景だったのです。(早く家に帰る・・・習慣・文化?)
さらに、驚いたことは、高知の人間は知り合いを探し、一緒に飲んで食べて楽しむ事が習慣ですが、姫路では「顔を指す」との事で知人に会うことを嫌う慣習があります。
その為か、街中の料理屋では個室対応が多く、まさに間逆の客対応が姫路ひろめ市場だったのです。(高知の常識が姫路では非常識)・・・生活して初めてわかる問題点でした。

4、出店者の商人魂(競争主義と平和主義)
高知は闘犬や箸拳・軍鶏の喧嘩・女郎蜘蛛相撲・・・と勝負事が大好きな高知人
もちろん酒も飲み比べ(土佐の座興『べく杯』)、また全国的に有名になった「よさこい祭り」も各チームは競い合い、他より目立ち,評価される為の競い合いが、毎年繰り返され年々豪華に派手になっています。まさに「隣の人間には負けない」競争DNAが標準装備しているのです。そこで、私は高知ひろめ市場の店舗レイアウトを考えた時に「高知の競争気質」を利用した思い切ったレイアウトを考えたのです。
名づけて「よさこい式 あんたが大将計画」・・・
客席を共有化させ集客数を多くし、中央にお客を集めその周囲を囲い込む形式で店舗を配置する。このお客は何処の店で注文するか?お互いの店舗が確認できる、まさに競技場方式!注文をとるためには「大きな声」で店の存在をアピールし合う。競争が活気を賑わいを演出するのです。
この方式が、見事に当たり、高知・土佐人気質(競争商法)が高知ひろめ市場の特色になり、県外からのお客さんが「もっとも高知らしい場所」として観光地としての存在感も出来たのです。(自然体)
店は互いに競争して「声」を出し、お客は高知気質で知り合いを集め楽しく過ごす。そこに県外から知らない人が来ても「どこから来たの?」「まぁ一杯呑みや!」と他人から知人に、知人から友人に変化していく・・・不思議な場所が高知ひろめ市場なのです。

ところが、姫路の出店者は・・・
何事に対しても「問題に、争いに」ならない事を望むのです。
ましてや・・・客の取り合い合戦などは、『もってのほか!』まったく「掛け声」も出さず、ただ待ち続ける。しかも、文句も言わず・・・

高知の場合「どうして客が来ない!」 「同じもの売るなぁ!」「私が呼んだ客ダァ!」と叫んでいます。(姫路人は腹の中は判りません)
すくなくとも、隣の店より売り上げ上げる!・・・意気込みは高知の店が商売魂を感じましたね。

さて、ここまででお判りの様に・・・
高知のひろめ市場は高知の土風・習慣・環境・気質が生み出した、産物です。
他県で、同じ方法や同じ考えで、事業化をしてもうまくいかない事実が、お判りでしょう。
よさこい祭りも日本全国に広がりました…が、近年どこも頭打ち、今までの勢いが無くなり、徐々に衰えて来ています。(例外として、YOSAKOIソーランやど祭り・スーパーよさこいなどは別!?)
最近は、本場高知で踊る県外チームが多くなって来ています。おそらく高知ひろめ市場が高知に在って楽しく・面白い様に・・・その土地でしか出来ない商業文化(土風)がきっと存在していて、その時代にタマタマ いろいろな経験・体感した私が、タマタマ考えた商業施設が、タマタマ協力者が居て出来た、偶然の産物かも知れません。

この、タマタマが、偶然が、出会いが、経験や体験が・岩目が・・無ければ、「高知ひろめ市場」は存在していない事になると思います。

この高知ひろめ市場を事前に計画し、計算し、準備し、実現しても・・・・
所詮ものまね、命が宿ることが無く、直に息絶える・・・事になる。

私は、商店街も商店も、商業施設も・・・全て人が命を与え、活力・活気をつくりだしていると思っています。

まさに今の高知のひろめ市場は活気にみなぎり成長している時期かも、でも、やがては必ず衰えて来るでしょう。「長く・元気に・若く・・」居続ける為には、いつも新しい挑戦と進化する事を止めない事・・・・です。
まさに。回遊魚!止まれば死が・・・・来るのです。(現在の商店街の様に)

お役に立つか・・・?
心配ですが、まとまりの無い文書でごめんなさい!
全国の商店街や商店の為に・・・すばらしい卒論を期待しています。

                    岩目 一郎

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