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【初心者向け】iPhone 3Dスキャンパーフェクトガイド
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【初心者向け】iPhone 3Dスキャンパーフェクトガイド

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こんにちはiPhone3Dスキャンを日本中に普及させる男ことiwamaです。
2020年の10月にiPnone12Proシリーズに初めてLiDARセンサーが搭載されましたが、現在では様々な業界でiPhone LiDARを使用して3Dスキャンを行う活動が活発化しています。
そこで今回は3Dスキャンって何?iPhoneでどんな事ができるの?など基本的な事からどういう場面で活用されているのか?などを解説していこうと思います。

01.3Dスキャンについて学ぼう

そもそも3Dスキャンって何?

現実にある物体や空間をデジタル3Dデータ化する技術の事を(このnote内では)3Dスキャンといいます。
3Dスキャン技術には様々なモノが存在していますが今回はその中でもiPhoneで行える3Dスキャン技術である2種をざっくり解説していきたいと思います。

フォトグラメトリをざっくり解説

Reality Captureを使いフォトグラメトリを行っている風景

フォトグラメトリを簡単に説明してしまうと、様々な角度から撮影した写真を元に3Dモデルを作成する技術となります。
使用する機材はカメラ(スマホカメラから一眼レフカメラ、ドローンカメラ)、パソコン(ゲーミングPC推奨)、フォトグラメトリソフト(代表的なモノだとReality CaptureやMetashape)が必要となります。

LiDARスキャンをざっくり解説

LiDARはLight Detection and Ranging(光検出と測距)の略称となっており、LiDARスキャンはレーザー光の跳ね返りを元に距離を測る技術を使って3Dモデルを作成する技術となります。
LiDAR単体では色情報を取得することができない為、別途カメラ映像を用いいて色付けを行っています。

となっていますが、基本的にはカメラ(写真)から3Dモデルを作成するのがフォトグラメトリ、レーザーを飛ばして3Dモデル化するのがLiDARスキャンと考えてもらえばOKです。
※厳密に言えばフォトグラメトリは3Dスキャンとは違ったりするんですが、このnote内では3Dスキャンとして一括りにしています。

3Dスキャン技術の使用用途

3Dスキャン技術は現在様々な分野で活用されています。

  • 建設業における地形測量
    ドローンや航空機にLiDARスキャナーを搭載してLiDARスキャンしたり、ドローンに搭載したカメラを使用したフォトグラトリを行うことが多いです。最近では災害現場の現地状況を把握するのに活躍して話題になりました

  • ゲームや映画等のCGモデルとして
    例としてはFF15内の料理は現実の料理をフォトグラメトリしたデータが使用されています

  • 建物等のデジタルツイン・アーカイブとして
    老朽化した価値のある建物を解体前に3Dスキャンを行い、デジタルデータとして保存が行われています。近年では旧都城市民会館がフォトグラメトリでデジタルアーカイブされたりと多数事例が存在しています


従来3Dスキャン技術の問題点

さて現在様々な分野で活用されている3Dスキャン技術ですが、3つほど問題点があると考えています。

  1. 機材やソフトを用意するのが大変
    LiDARスキャンの場合はLiDARスキャナー・三脚・データ処理用のソフト・データ処理用の高性能PCが、フォトグラメトリもカメラ・フォトグラメトリソフト・データ処理用の高性能PCなど様々な機材・ソフトを揃える必要があります

  2. 機材やソフトが高額
    フォトグラメトリはスマホのカメラや無料ソフトである程度は行えますがそれでもある程度性能が良いPCが必要だったりと初期投資にかかります。LiDARスキャンに至ってはLiDARスキャナーだけで100万以上(普通に1000万を超えたりします)かかるなど、初期投資だけでも結構な出費になります

  3. 3Dスキャンのノウハウを構築するのが大変
    最近ではネット上でも解説されている方が増えていますが、基本的には 3Dモデル化までに時間がかかるのでトライ&エラーを積み重ねるのが大変

とこのように今までだと個人で3Dスキャンを行うハードルがかなり高かったのかな?と思います。
そんな中登場したのが誰でも使用できてかつお値段もお手頃なiPhone3Dスキャンでした

02.iPhoneで3Dスキャンが出来る時代が来た!

まず百聞は一見に如かず、iPhoneの3Dスキャンとは一体どういうものかを体験してもらいましょう!

このようにたった2分でホテル1室を3Dスキャンすることが出来たりします。
iPhoneで行える3DスキャンはLiDARセンサーを利用したLiDARスキャンとiPhoneのカメラを利用したフォトグラメトリがあります。
ここからはこの2つの技術の大まかな仕様などを説明していこうと思います。

iPhone LiDARスキャンって?

2020年10月に発売されたiPhone12Proシリーズからカメラ機能やAR機能の補助目的でLiDARセンサーが搭載されました。
しかしこちらのLiDARセンサーとApple社が提供するARkitの性能が良かったため、LiDARセンサーを利用したLiDARスキャンを行うことができます。
現在はiPhone12Pro/Max,iPhone13Pro/Max,iPad Pro(2020/2021)モデルのみLiDARセンサーが搭載されています。

iPhone LiDARスキャンを行う場合は以下の3つを覚えておく必要があります。

  1. LiDARの照射距離は5m
    iPhoneに搭載されているため産業用のLiDARスキャナーよりも照射距離が大幅に短くなっている(バッテリーの消費軽減等で)

  2. 固定型のLiDARスキャナーに比べて精度や品質は落ちる
    移動しながらLiDARスキャンを行うという仕組み上どうしても固定型より精度や品質が落ちてしまいます。
    ※ここから下は蛇足
    LiDARスキャンの自己位置推定にはVIOという技術が使用されており、カメラの映像情報(とLIDARの深度情報も使ってるかも)とIMUユニットの情報を元に自己位置を推定している(イメージ的には人間が地図を作成するのと近いかも)
    ※蛇足終わり

  3. LiDARの照射密度が低い
    レーザーの照射密度が低いので電線などの細かいモノは3Dスキャンすることができません。

という注意点があります。
じゃあiPhone LiDARスキャンの良さって何?と思われますが、後ほど解説しますので少々お待ちください!

iPhoneフォトグラメトリって?

2021年にAppleが開催したWWDC21でObject Captureという代物が発表されました。 このObject CaptureはApple公式から提供されるフォトグラメトリAPIとなっており、Macデバイスで使えば無料でフォトグラメトリができてしまうというものでした(ただしソースコードで提供されるため普段使っているGUI形式での操作はできません)
現在ではiPhoneだけでフォトグラメトリを行えるアプリが増えてきていますが、その大半がこのObject Captureを利用していると言っても過言ではありません。(自分が調査した限りで独自のフォトグラメトリが行えるのは3アプリほどしかありません)

iPhoneでフォトグラメトリを行う場合は以下の3つを注意する必要があります。

  1. 撮影できる枚数に制限がある
    アプリ側の仕様で100枚~300枚が撮影枚数の上限となっています。そのため冒頭で紹介したような広い範囲のスキャンなどは難しいと思われます

  2. スキャン品質は他フォトグラメトリソフトより劣る
    これはiPhone自体のカメラ性能がやはり一眼レフカメラ等に劣るのと、Object Captureの性能が他のフォトグラメトリソフトより低いという理由があります(コストパフォーマンスを考えたら一概に劣るとは言えませんけどね)

  3. 基本的にはアプリ上で写真を撮影する必要がある
    一部のアプリ(Trnioシリーズ)を除いた全てのアプリでフォトグラメトリを行う場合は、そのアプリ内で写真撮影を行う必要があります。その為マニュアル設定で各種調整を行ったり、外部で撮影した写真を使ってフォトグラメトリすることは出来ません

iPhone3Dスキャンのメリットは?

さてここまではiPhone3Dスキャンの注意点などを説明してきたので、iPhoneで3Dスキャンする良さが伝わっていないと思います。
ということでここからはiPhoneで3Dスキャンを行うメリットを3つ紹介します!!!

  1. iPhoneであること
    iPhone一つで撮影(スキャン)→データ処理→データ閲覧&共有が行える上に、ポケットに入るのでどこにでも持ち運び可能と今までの3Dスキャナーでは絶対に不可能なことが行えてしまいます。超お手軽です

  2. 誰でも簡単に3Dスキャンができる
    2章冒頭にLiDARスキャンをしている風景の動画がありますが、あのような感じで動画を撮影する感じで3Dスキャンを行えば即3Dモデル化ができます。
    フォトグラメトリに関しても動画を撮影する感じでスキャンできるアプリや撮影のアシスト機能が搭載されたアプリがあるので普通にフォトグラメトリをやるより簡単に行えると思います

  3. コストがかなり安い
    iPhoneで3Dスキャンを行うということは3Dスキャンを行わない時には通常のiPhoneの機能が使えるという事です。
    単体のデバイスでLiDARスキャンもフォトグラメトリも出来る上に通常のiPhone機能が使えて12~20万円程度で購入可能なのは超魅力的ですよ!

iPhone LiDARスキャンの特徴

iPhoneフォトグラメトリの特徴

03.iPhone3Dスキャンアプリ

メッシュ?点群?何が違うの?

iPhoneで3Dスキャンを行う場合、メッシュスキャン、点群スキャンの2種類に分かれます。メッシュ、点群どちらも3Dモデルデータにはなりますが、それぞれに特徴があるので、まずはその特徴を紹介していきましょう。

メッシュ(ポリゴンメッシュ)

メッシュ(ポリゴンメッシュ)は皆さんが良くゲームや映画などのCGでみるタイプの3Dモデルです。複数の面が連結して3Dモデルが出来ています。

点群

点群は3次元座標を持った点の集合体です。1つ1つの点にXYZ値とRGB値が存在しており、それらが千点、一万点、百万点の集合することで3Dモデルを形成しています。

結局点群って何?となりそうですが、メッシュでスキャンしたデータであっても後から点群データに変換することが出来るので困ったらメッシュスキャンを行うことを推奨します。

色々種類があるiPhone3Dスキャンアプリ

上記画像の様に主要な3Dスキャンアプリだけでも現在は9種存在しています。(発展途上や更新が途絶したアプリも含めたら20種類ぐらいは存在するかも…)
今回はこの画像の中から初心者にもオススメな無料(1つは超低価格)なスキャンアプリ3つを紹介していこうと思います!

Scaniverse

スキャンタイプ:メッシュスキャン
価格:無料
スキャンモード:LiDARスキャン/フォトグラメトリ(動画)
対応機種:iPhone12Pro/13Proシリーズ、iPad Pro(2020以上)
出力形式:メッシュ USDZ,FBX,OBJ,GLTF,STL/点群 PLY,LAS
3Dモデル共有機能:あり
アプリのリンク:https://apps.apple.com/jp/app/scaniverse-lidar-3d-scanner/id1541433223
公式サイト:https://scaniverse.com/
公式Twitterアカウント:@Scaniverse

無料で使える超優秀なLiDARスキャンアプリ。
元々は有料のアプリでしたが、2021年8月にNianticが買収したことによって無料で使えるようになりました。
推しのポイントとして優秀なLiDARスキャン性能、ローカル処理可能なフォトグラメトリ、メッシュの自動スムージング機能が存在しています。

動画の様に他の有料スキャンアプリと比べても劣らないレベルでLiDARスキャンできます。またエッジ部分の表現に関してはScaniverseが全アプリでも一番優れているように思えます。

Scaniverseは現状唯一ローカルフォトグラメトリが可能なアプリとなっています。動画のような小さい物体をiPhoneで3Dスキャンする場合はクラウドで処理する必要がありましたが、Scaniverseはローカルで処理が可能です。
またScaniverseのローカルフォトグラメトリはクラウド処理型に比べて品質は劣りますが、モデル構築速度がかなり速いことが特徴です。

Scaniverseは自動でメッシュ数を削減してくれる機能が存在しており、画像の様にデータ容量で半分以下、スキャン後の処理時間も3分の2程度まで短縮されています。他のアプリにもメッシュ数を削減する機能はありますが、手動設定が必要だったりとワンステップ必要な為、Scaniverseより難易度は高くなっています。

WIDAR

スキャンタイプ:メッシュスキャン
価格:無料
スキャンモード:LiDARスキャン/フォトグラメトリ(写真及びクラウド)
対応機種:LIDAR:iPhone12Pro/13Proシリーズ、iPad Pro(2020以上)
//フォトグラメトリ:iOSが最新バージョンのiPhone,iPad、android
出力形式:メッシュ USDZ,FBX,OBJ,GLTF,STL/点群 PLY,XYZ
3Dモデル共有機能:あり
アプリのリンク:https://apps.apple.com/jp/app/id1574012258?mt=8
公式サイト:https://widar.io/
公式Twitterアカウント:@WIDAR_3D

日本発の3Dスキャンアプリ。
フォトグラメトリを含む全機能が無料で使える凄いアプリ。
推しポイントとしては無料で使えるアプリとしては唯一android版に対応している点、複数の3Dモデルをアプリ内で組み合わせることが出来る点、動画出力時の見た目をこだわることが出来る点、フォトグラメトリが200枚まで撮影可能という点です。

まず1つ目の推しポイントであるandroid版。こちらも勿論無料でフォトグラメトリを行う事が出来ます。(LiDARスキャンはできません)
現状androidで3Dスキャンをしたい場合はWIDAR一択といっても良いぐらい性能が良いんですよ!

こちらもWIDARオリジナルな機能です。他のユーザーがスキャンしたデータを自分のスキャンモデルに配置することが出来ます。

被写界深度やカメラフィルター等でシーンをカスタマイズすることが可能になっています。同じ3Dモデルでもフィルターを変更するだけで印象がかなり変わるのでこだわるのも良いかも?

Trnio

スキャンタイプ:メッシュスキャン
価格:610円(買切り)
スキャンモード:フォトグラメトリ(撮影補助機能付き動画及び外部インポート)
対応デバイス:iOS11.3以上のiPhone/iPadに対応(推奨:iPhone6S以上)
出力形式:メッシュ:OBJ
3Dモデル共有機能:アプリ内のみあり
アプリのリンク:https://apps.apple.com/us/app/trnio/id683053382
公式サイト:https://www.trnio.com/
公式Twitterアカウント:@TRNIO

Trnioは2013年から提供されている最古のフォトグラメトリアプリです。
現状唯一フォトグラメトリのアシスト機能を搭載したアプリの為、フォトグラメトリに慣れていない方にオススメです。
また後程詳しく説明しますが、外部で撮影した写真のフォトグラメトリを行える唯一のアプリにもなります。
現在はTrnioの強化版であるTrnioPlusも提供されているのでTrnioを気に入った方はそちらもオススメします。

TrnioにはOBJECTモード、ARKITモード、外部写真のインポートの3つのスキャンモードが存在していますが、個人的には上記動画の様にスキャン対象の周りをぐるっと1周するだけで3Dモデルが作成できるARKITモードがオススメです。

04.iPhone3Dスキャンで3Dスキャンしてみよう!

さてここからは実際に3Dスキャンする場合の注意点やコツを説明していこうと思います。…がその前に一番重要な部分であるスキャン時の安全確認を最初に説明させてください!

3Dスキャンは安全第一!ヨシ!

3Dスキャンを行う場合は以下の3つを徹底しましょう!

  1. スキャン前に周囲の確認を行う
    スキャンする前にスキャン対象とスキャン対象の周辺を確認し、人が立ち入る危険性がないか、転倒・転落の危険性がある場所はないか、足場が滑らないか等を確認することが重要です。万が一危険性を取り除けない場合はスキャンを諦めることを強く推奨します。

  2. スキャンすることで他人に迷惑がかかる場合はスキャンを中止する
    3Dスキャン行為は他から見ると若干怪しい動きになります。その為人通りが多い場所や近くに小さな子供がいる場合などはスキャンを中止する方が良いと思われます。

  3. スキャン時にスキャン画面を注視しない
    スキャン中はやはりスキャン画面を確認しながらスキャンしたい所ですが、動きながらスキャン画面を注視するのは事故の元です。歩きスマホだめ、絶対。

iPhone3Dスキャンに向いていないモノ

  1. 透明・半透明なオブジェクト
    フォトグラメトリは写真に写っているものが全てです。そしてLiDARスキャンもレーザー光線の反射を利用して3Dスキャンするので写真に写らないorレーザーを透過させてしまうガラスや半透明なプラスチックを復元することはできません

  2. 表面に光沢が存在していたり反射率が高いもの
    磨かれた金属、滑らかな陶器、鏡、水面などが該当します。これらの物体をフォトグラメトリする場合、表面に映る景色や模様が角度によっては違ってみえます。そうすると違う物体と認識されてしまい正常に処理できなくなります。またレーザーを乱反射させてしまうため正常にLiDARスキャンが行えなくなります

  3. 細かったり薄かったりするもの
    電線や糸、葉っぱや紙などは正常に処理できない場合が多いです(特にLiDARスキャンは不可能に近いです)。フォトグラメトリの場合は、アップにして複数の角度から撮影すると上手くいく可能性もありますが、上手くいかない場合の方が多いです

  4. 表面色が単色や特定のパターンが連続するオブジェクト
    まず複数の写真でパズルすると想像してください。色々な模様が入っているものは並べやすいですが、牛乳パズルのように無地のものを並べるのはほぼ不可能ですよね?フォトグラメトリも同じで模様などに変化が無いと正常な処理が出来ません
    LiDARスキャンの場合はiPhoneの自己位置推定に色の変化を利用しているため自己位置の認識がおかしくなり正常にスキャンできない場合があります。

  5. 形状が特に複雑なもの
    特に境界線があるという訳ではありませんが、形状が複雑なプラモデルなどは失敗しやすいです。写真の枚数を増やすことで綺麗にスキャンすることもできますが、iPhoneフォトグラメトリには最大300枚という撮影枚数上限があることに留意してください
    LiDARスキャンの場合もiPhoneのLiDARセンサーの限界から複雑なものをスキャンすると潰れてしまったり合体してしまうことが多いです。

  6. 動いている動物や子供、走行中の乗り物などの動的物体
    3Dスキャンは基本的に位置やポーズが固定されていることが必須条件になるので、これらをスキャンするのは不可能です

LiDARスキャン前の準備

  • 表面が反射するものには出来る限りシーツなどを被せることでより品質の良いスキャンが行えます。特に鏡をシーツで遮ることはゴースト(不要なメッシュ)の発生を抑制できるためオススメです

  • 同じ模様や色が続く場所はマスキングテープなどで色の変化点をつけることでトラッキング(自己位置推定)精度を向上させることができます

  • テレビやモニターは電源を落とすか静止画を表示させることを推奨します

  • 3Dスキャンする空間が丁度よい明るさになっているかを確認してください。この時暗すぎても駄目ですが明るすぎても白飛びする危険性があるので丁度よい明るさに設定する必要があります

  • 3Dスキャンするルートを予め設定します。特に障害物がないか、移動経路に無駄がないかをしっかりと確認することでスキャンに集中することができます

  • カメラ及びLiDARセンサーに汚れがないかを確認してください。汚れが原因でモデル品質が悪化する場合があります

  • 屋外で3Dスキャンを行う場合は曇りの日がベストです。晴れの日に3Dスキャンする場合は出来る限り日暮れ前や正午等のの影が少ないタイミングを狙うと良いでしょう

LiDARスキャン時のコツ

  • デバイスとスキャン対象までの距離は0.5m~3.0m以内、特に1.5~2.5m程度がベストです。より詳細な形状やテクスチャを得る場合であっても0.5m以上近づけてはいけません。近づけすぎた場合、十分なトラッキング情報を取得できず「ドリフト」と呼ばれるスキャンのズレが発生してしまいます

  • スキャン時はゆっくりと慎重に移動及びデバイスを動かすことが重要です。急激な視点移動や高速移動はトラッキング精度に悪影響をあたえ、カメラのモーションブラーが発生する原因となるため注意しましょう

  • デバイスはスキャン対象に対して正対するように保持することがポイントです。地面をスキャンする場合はデバイスとスキャン対象の内角が30度になるよう意識すると良いでしょう

  • 屋内スキャンの場合は床から天井までゆっくりとデバイスを動かしてスキャンすることが望ましいです。イメージとしてはペンキローラーで壁にペンキを塗る感じです

  • 1回のスキャンで同じ場所を複数回スキャンすることは避けた方が良いでしょう。複数回スキャンするとその部分だけメッシュが重なって表示されてしまう場合があります

  • スキャン中は出来る限り特徴がある場所(ポスターや部屋の角などのエッジがある場所)をカメラフレームに入ってるようにしてください。単色の壁や草などの特徴が少ない場所やノイズが多い場所はトラッキング精度が著しく悪化する場合があります

  • スキャン中のカメラフレームに水平面が出来る限り写り込んでいるようにすることで品質の向上が望めます

LiDARスキャン時の注意点

  • 可能な限りスマホカバーを外してからスキャンを行ってください

  • 屋外で長時間や連続してスキャンを行う場合は別途外部冷却装置(スマホクーラー)の使用を推奨します

  • 高温環境下や連続してスキャンを行う場合、スキャン前にデバイスが十分に冷却されているかを確認し、発熱している場合は日陰やスマホクーラー使用し冷却する必要があります

  • 熱暴走状態でスキャンした場合CPUの処理性能が抑制されるため、スキャン品質が極端に悪化する場合があるため注意してください

  • デバイスのバッテリーが50%以上ある状態でスキャンすることを推奨します

  • 太陽や蛍光灯などの光源にカメラを向けないでください。逆光によるトラッキングエラーが発生する場合があります

  • スキャン対象を斜めからスキャンしている場合テクスチャの品質が低くなる場合が多いため注意してください

フォトグラメトリする場合の方法

iPhoneでフォトグラメトリする場合、大体3つほど選択肢があります。

1.オブジェクトを中心にカメラを移動して撮影する方法
これはスキャン対象を中心にカメラ自体を動かして撮影する方法です。基本的にはスキャン対象を中心に円を書くようにして撮影を行います。一番手軽でオーソドックスな撮影方法ですがスキャン対象周辺のスペースをある程度確保する必要があるのが難点です。

2.ターンテーブルを使用して撮影する方法
こちらは1と違い、カメラではなくスキャン対象自体を回転させる方法です。用意するものはターンテーブルと呼ばれる回転する土台(電動がオススメ)と撮影用簡易スタジオ呼ばれる撮影ブースです。 ターンテーブルを使用する場合はスキャン対象を撮影した場合の背景が黒や白等の単色で表現されるようにしてください。背景に模様がある場合は失敗します。 カメラを固定しながら撮影できるので手ブレなどをなくし高品質な撮影ができますが、その分必要な機材が多いため慣れてから始めると良いかも知れません。 ※Scaniverseではこの方法が使えないことに留意してください

3.Object Maskingを使用し、モデルを回転させる方法
現在スキャンアプリでこのObject Masking機能を使用できるのはMetascan、Polycam、WIDARのみとなっています。 この方法は撮影する写真ごとに手動でモデルを回転させ撮影する方法です。必要な機材がなく、かなり小スペースで撮影を行える利点がありますが、スキャン対象や撮影場所によっては上手く機能しない場合もあるので注意してください。

フォトグラメトリ時の撮影のコツ

フォトグラメトリ時の撮影のコツ
フォトグラメトリを行う場合は写真同士の重なり(オーバーラップ)を意識することが重要です。

Apple公式ドキュメント

Apple公式ではオーバーラップが50%以上、理想的な写真は70%以上のオーバーラップが必要としているため、基本的には70%以上のオーバーラップを確保するようにしましょう。
また慣れない内は撮影する枚数を多めにするように意識するのが良いと思われます。

上記画像はフォトグラメトリした写真の善し悪しを表した図です。 左の場合は写真同士のオーバーラップが存在していないため確実に失敗します。 中間の場合はそれぞれにオーバーラップが存在していますが、手ブレや角度が悪かったりとどれか1枚の写真が使えない場合、適切なオーバーラップを確保することができないため失敗してしまう可能性があります。 右の場合は撮影枚数は多くなりますが、1~2枚撮影に失敗しても他の写真でオーバーラップを確保することが出来るため成功する可能性が高くなります。

撮影後はすぐにデータ処理を行うのではなく、一度撮影した写真を見返すと良いでしょう。特に手ブレが発生している写真はデータ処理に悪影響を与えるため削除する必要があります。また追加撮影も可能なので手ブレ写真を削除した後は同じ角度から撮影をすることをオススメします。

05.スキャンしたデータの共有方法

①3Dモデルを動画にして、SNS等で共有

共有方法で一番簡単な方法がこの動画を共有する方法です。 動画自体はアプリ機能を使うことで誰でも簡単に動画化できます。ただ自分の好みのアングルや動きがない場合は3Dモデル画面を動かしている姿をiPhone標準機能にあるキャプチャを使うことで対応することも可能です。

②アプリのクラウド共有機能を使用する

2番目に簡単な共有方法がこのクラウド共有機能を活用する方法です。

クラウド共有機能の共通事項としては、各アプリのクラウドサーバーに3Dモデルをアップロードし、それをブラウザで閲覧する共有リンクが発行されるため、それをSNS等で共有します。
Metascanのみですが、Oculus Quest2のブラウザで共有リンクを開くことで簡単にVR表示が可能になります。

③Sketchfabにアップロードする

Sketchfabは世界最大級の3Dモデルプラットフォームです。 ほぼ全てのアプリでSketchfabに直接3Dモデルをアップロードすることが出来ます。
ただしアップロードにはSketchfabのアカウントとデータサイズ制限(3Dスキャンモデルの場合ほぼ影響なし)、データが誰でもダウンロードできる状態(無料アカウントの場合)となってしまうので注意してください

④STYLYにアップロードする

STYLYは日本の会社が運営するVR/AR/MRクリエイティブプラットフォームです。STYLYは直接スマホからモデルをアップロードすることは出来ませんが、チュートリアル記事が豊富で、誰でも簡単に綺麗な3Dモデル空間を作成可能になります。
他に比べて自分の世界の一部にスキャンモデルを活用する等色々な活用方法があります。

世界一分かりやすいSTYLYの使い方はこちら↓から
各アプリの使い方からSTYLYまでのアップロード方法が丁寧に解説されています。

⑤DOOR NTTにアップロードする

DOOR NTTの特徴としてはVR空間で直接3Dモデルをアップロードすることが可能という点です。 そのためDOOR NTT内で打ち合わせをしながら3DスキャンしたモデルをVRで見るという他では出来ない活用ができたりします。 自分も3Dスキャン講座を実際にDOOR NTTで開きましたが、その時はスキャンしたモデルをDOOR NTT内に直接召喚して説明しました。

DOOR×3Dスキャンの活用方法が詳しく解説された神サイトはこちら↓から

06.iPhone3Dスキャンの活用事例

1.東京都デジタルツイン実現プロジェクトでの活用

まず活用事例の前に東京都デジタルツイン実現プロジェクトの概要を説明させていただきます。(説明は下記の東京都公式noteを参照にしてください)

デジタル空間上に現実空間の東京都を再現することが東京都デジタルツイン実現プロジェクトの概要かと思いますが、そのためにはまず東京都の地形や建物をデジタル空間上で再現する必要があります。
(画像)
そしてこのデジタル空間上に東京都を再現するのは、iPhone LiDARの親分と呼ぶべき産業用のLiDARスキャナーを使用しておこないます。この産業用LiDARスキャナーで3Dスキャンされた東京都の3Dモデルをベース点群と呼びます。
ここで問題なのが現実空間の東京都は改修工事や建替え工事などで時が進むに連れてどんどん変化していきます。ただ変化するたびにベース点群をスキャンするには莫大な資金が必要となり現実的ではありません。また東京都全域を穴なく3Dスキャンするのも現実的には不可能なためスポット的にスキャン漏れが発生してしまいます。
そこで多少の変化やスキャン漏れの部分を、産業用LiDARスキャナーではなくiPhoneのLiDARセンサーを使用して3Dモデルの取得・更新を行う取り組みが実証実験としてされています。


上記画像は東京都で撮影したベース点群となります。トイレや林部分はしっかりと3Dスキャンできていますが、トイレ横に一部スキャン漏れがあることがわかります。

この一部のスキャン漏れをiPhoneで3Dスキャンを行うことで、欠損部分を補完することができます。

2.建設業における活用事例


現在建設業界(主に土木業界)ではドローンや産業用のLiDARスキャナーを使用して地形等の形状を計測する3次元測量が活発に行われています。ただしこれらのドローンや産業用LiDARスキャナーは高価なため地方の中小企業は中々手が出せない状況が続いていました。
そこで国の施策として今まで高価だった3次元測量の一部をiPhone等のモバイル端末で代替えする取り組みが始まりました。

このようにスキャン範囲に制限はあるものの従来の3次元測量と同程度の精度で3Dスキャンを行えるため、中小企業での3次元測量導入のきっかけになることが期待されています。
※建設業におけるiPhone3Dスキャンの可能性はこちらでまとめています


3.低予算で行うデジタルツイン

こちらはアメリカのイリノイ工科大学がSiteScapeというアプリを使用してキャンパスのデジタルツインを行った事例です。 従来では高価な産業用LiDARスキャナーが必要だったことも、iPhoneと無料アプリのみで行えるようになり、デジタルツイン用のデータ取得が容易になってきたと言えると思います。


4.思い出の記録として活用

こちらは誰でも簡単に3Dスキャンが行えるという利点をフル活用している事例です。例えば旅先で食べて料理や宿泊したホテルなども短時間で3Dモデル化できるため、今までとは違った形で思い出を記録することが可能となりました。
また3Dスキャンした3DモデルをVR空間に配置したり、ARで表示させることが可能と、従来の写真よりも表現や活用の幅が広がったのかなと思います。


あとがき

今回のnoteは2021年10月に執筆したiPhoneで始める3Dスキャン生活の改訂版となっています。上記noteから8ヶ月が経過し、自分の持つノウハウやアプリの性能が向上したため、記事の一部を修正するより新しく書き直した方が早いと判断し、新規に作成しました。
みなさんもこのnoteを機に3Dスキャンというものに興味をもっていただけたら幸いです。
1万字を超える長文となりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。


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iwama
iPhoneで3Dスキャンするアレコレを解説してる人(だと思う)