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いわきりなおとの国宝漫遊記 第一回「国宝風神雷神図屏風」の巻

**◎琳派はオシャレな作風

「風神雷神図」京都・建仁寺所蔵**

 日本各地には千件以上の国宝がある。これまでに約600件の国宝美術を鑑賞してきた漫画家のいわきりなおとさんと、国宝をめぐる旅に出よう!
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 京都市東山区の建仁寺が所蔵する国宝の「風神雷神図屏風」は、17世紀前半に絵師俵屋宗達の作品です。風神雷神図の良さはズバリ、「構図がかっこいい」ということです。

 向かって左側の雷神と右側の風神が、それぞれ画面からはみ出すように描かれています。中央に空間を広く取った斬新な構図で、今にもふんわりと動き出しそう。作家の三島由紀夫は「奇抜な構図」と評したそうです。

 日本美術の絵師といえば世界的にも人気がある葛飾北斎や、近年ブームの伊藤若冲などが有名ですが、江戸時代から現代までずっとブームなのが、俵屋宗達を代表とする「琳派」と呼ばれる絵師たちです。

 人気の理由は、作風がオシャレだから。北斎や若冲が、優れたデッサン力を生かして画面せましと情報を詰め込んだ絵を描くのに対し、琳派は大きな画面に最小限のモチーフを配して、空間の余白や、粋な配置を楽しませる作風です。

 現代風に言えば画家よりも、「デザイナー」の方が近いかもしれません。

琳派の絵はシンプルなので、着物の模様や小物など、いろいろオシャレな展開ができるところも人気です。

 その琳派の始まりの絵師が俵屋宗達で、後の絵師たちが手本にしまくったのが風神雷神図です。18世紀頃に尾形光琳が模写したものは、重要文化財に指定されています。

 現物は京都国立博物館に寄託され、建仁寺ではレプリカを見ることができます。
(談 いわきりなおと/記事編集 共同通信 近藤誠) 

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