銀閣寺4

いわきりなおとの国宝漫遊記 第13回国宝「銀閣寺」の巻

漫画家のいわきりなおとさんが、京都市にある国宝の慈照寺(銀閣寺)を紹介します。
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 室町幕府の8代将軍足利義政は、応仁の乱を引き起こしたり、土一揆に悩まされたりするなど、政治能力に欠けていたとされていますが、文化面では大きな功績を残しました。茶器や美術品をたくさん収集し、現代に残っているコレクションの多くが、国宝や重要文化財に指定されています。

 義政は、祖父である3代将軍義満が建てた鹿苑寺(金閣寺)を参考に、京都の東山に慈照寺を造りました。銀色でないのに銀閣寺と呼ばれるのはそのためです。

 室町幕府の全盛期に建てられた金閣寺は、金ぴかで豪華絢爛。一方の銀閣寺は、地味で渋い。しかし、この静けさの中に美を感じる「わびさび」こそが、日本ならではの美意識だと思います。

 私は子どもの頃、銀閣寺の創建当時は、銀箔が張ってあり銀色だったと思っていました。ところが最近の調査で、一度も銀箔が張られていないということが明らかになりました。

 私はその結果を知った時、さすがは最高の目利きである義政だと感心しました。
義政が「これが日本の美意識のお手本だ。銀色にしなくとも美しいのだ」と主張していると、勝手に感じ取ったのです

 財政難で銀箔を張れなかったなどの俗説もありますので、義政好みの〝銀色の銀閣寺〟を見てみたい気持ちもあります。

 義政が中心となって発展させた文化を「東山文化」といい、現在に続く日本的な美をたくさん生み出していきました。その東山文化の代表的な建築が、銀閣寺なのです。(談)

(談 いわきりなおと/記事編集 共同通信 近藤誠) 
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