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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第10節 いわきFC対ザスパクサツ群馬

2023明治安田生命J2リーグ第10節。いわきFCは4月16日(日)、いわきグリーンフィールドにザスパクサツ群馬を迎える。この試合の見どころについて解説していこう。

■試合の見どころ

現在、2勝2分け5敗の勝ち点8。22チーム中19位のいわきFC。負傷者が多く苦しい戦いが続く中、今節ホームに迎えるのは、現在4連勝中で勢いに乗る4位のザスパクサツ群馬。

この試合の見どころは

①相手左サイドの攻撃への対応
②ラインをどれだけコンパクトに保てるか
③攻撃の核・2シャドーへの対応

といったところだ。

まずはいわきFCの、4月8日と12日に行われた第8~9節の戦いを振り返ろう。

4月8日の第8節では3位・大分トリニータとホームで対戦。試合は前半から大分が主導権を握る展開。技術に秀でる大分の前にプレスが機能せず、前半7分に先制を許してしまう。

いわきは後半に入ってリズムをつかみ、カウンターでゴールに迫る、しかし決め手を欠き、後半20分に2点目を奪われてしまう。そしてその3分後、GKとDFの連携ミスで3点差。終了間際に途中出場のFW近藤慶一がプロ初得点を挙げ意地を見せたが、技術で勝る大分に1対3の完敗を喫した。

そして至近の第9節は4月12日。今季初のミッドウィーク開催はアウェーで14位・ツエーゲン金沢との対戦となった。

前節からメンバーを総入れ替えした金沢に対し、いわきのメンバー変更は2人のみ。高卒ルーキーのFW坂元一渚璃が初先発でFW谷村海那と2トップを組み、嵯峨理久が欠場した右SBに石田侑資。左SBは2試合連続で特別指定選手の辻岡佑真。GK高木和徹、CB家泉怜依&遠藤凌、ボランチ山下優人&宮本英治、SH永井颯太&加瀬直輝は変更なし。

前半6分に左サイドを崩されて先制を許したいわきは14分、37分と立て続けにサイドを起点に2失点。セカンドボールを満足に回収できず、前半で0対3のリードを許してしまう。後半はMF永井颯太を中心に盛り返したが、坂元に代えて途中出場したFW杉山怜央が2度目の警告を受け退場するなど無得点。0対3で今季初の2連敗となった。

ここ2試合は先制点が取れていない。そして決めるべきところを決められず、相手にはワンチャンスをモノにされるもどかしい展開が続いている。

MF岩渕弘人、山口大輝、FW有馬幸太郎、DF江川慶城、嵯峨理久ら主力選手の多くが負傷しているチーム状況。だがこの状況は、これまで出場機会の少なかった選手にとっては大きなチャンス。2試合連続で先発した左SB辻岡の他、ポスト直撃のシュートを放った特別指定選手のMF加藤悠馬、MF鏑木瑞生、FW近藤、坂元ら、伸びしろだらけの若手の成長を勝ち点へとつなげていきたい。

■戦力分析~ザスパクサツ群馬

ザスパクサツ群馬は、群馬県全域をホームタウンとするプロサッカークラブ。名称は温泉を意味する「スパ」から取ったもの。「クサツ」とは誕生の地・草津温泉を表す。

1995年に「リエゾン草津」として活動開始。2002年に「ザスパ草津」と改称。この年に群馬県リーグ1部を制して関東サッカーリーグ2部へ昇格。翌2003年に関東リーグ2部で優勝し「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」の適用を受け、第27回全国地域サッカーリーグ決勝大会に出場して優勝。関東リーグ1部を飛び級してJFLに参戦すると、翌2004年にJFLで3位に入りJ2参入を果たす。

2013年「群馬のシンボルとなるチーム・地域とともに歩むチーム」を目指し、チーム名を現在の「ザスパクサツ群馬」に変更。2017年に最下位でJ3に降格したが、2019年にJ2昇格を果たし、今に至る。

2022年は11勝9分け22敗の勝ち点42で20位。大槻毅監督体制2年目の今年は徳島ヴォルティスからFW川上エドオジョン智慧、ロアッソ熊本からDF酒井崇一、ギラヴァンツ北九州からFW佐藤亮らを獲得。

今季は開幕5試合で1勝2分け2敗と苦しいスタート。しかし第6節で清水エスパルスに3対1で勝利して勢いに乗り、栃木SC、V・ファーレン長崎に勝利。至近の第9節はFW平松宗のゴールで大宮アルディージャに1対0で競り勝ち、12年ぶりとなる4連勝中。特徴は勝負強さ。ワンチャンスを確実にモノにして、1点差のゲームを競り勝っている。

フォーメーションは4-4-2。第9節のスタメンはGK21櫛引政敏、DF36中塩大貴/3畑尾大翔/24酒井崇一/19岡本一真、MF5川上エドオジョン智慧/15風間宏希/38天笠泰輝/10佐藤亮、FW28長倉幹樹/23平松宗。

特徴は可変システム。攻撃時は3-4-2-1に変わり、中塩/畑尾/酒井で3バックを形成。そして1トップに23平松、2シャドーに28長倉と10佐藤が入る。

スキルの高い選手をそろえる群馬の攻撃のストロングは左サイド。大事なのはまず、得意の左サイドでいい形を作らせないこと。いわきの右SH&右SBの対応がカギとなる。

その上で核となるのが28長倉/10佐藤の2シャドー。技術の高い彼らに前を向かせると厄介だ。そのためにはポストプレーに長け、背後へのランニングも上手い1トップ・FW23平松にスペースを作らせないこと。いわき守備陣はラインをコンパクトに保ち、2シャドーの自由を奪いたい。

■「今は我慢の時期」村主博正監督

「前節のツエーゲン金沢さんとのゲームは非常に残念でした。金沢さんはメンバーを入れ替え、フレッシュなメンバーを起用してきました。前半30分を耐えられればよかったのですが、勢いにやられました。ゲームの入りの所でミスをして、自ら勝利を手放してしまった印象です。負傷者が多いチーム状況ではありますが、我慢すべきところで我慢し切れなかったし、取らなくてはいけないところで決められなかった。

その中でも金沢戦に初先発させたFW坂元や、特別指定選手のFW近藤、MF加藤、DF辻岡など若い選手が試合経験を積めている。まだまだ積み上げが必要ですが、大卒1年目の選手も含めて、彼らの成長が今後の勝ち点につながってくると思っています。

ザスパクサツ群馬さんは技術が高いチーム。連勝中で勢いもありますし、いいサッカーをしています。彼らのよさを発揮させないためにも、普段通りのプレースタイルでストレスをかけていきたい。

負傷者が多く出ている今は我慢の時期。新加入の選手達がシステムにしっかりと慣れ、能力を発揮できるようになるには、もう少し辛抱が必要です。J2という厳しい舞台で経験を積み、少しずつでも自信をつけさせたい。そして彼らの成長を、勝ち点に結びつけていきたいと思います」

■躍進のチャンスはまだまだ十分。

4月1~2日の第8節では、首位を走るFC町田ゼルビアがブラウブリッツ秋田に敗戦。連勝は6でストップした。そして秋葉忠宏新監督が指揮を執る清水エスパルスが、ホームで東京ヴェルディに2対1。待望のリーグ初勝利を挙げた。

4月12日の第9節では、首位・町田がジュビロ磐田と分け6勝2分け1敗の勝ち点20。前節いわきに勝利した大分トリニータがレノファ山口FCに3対1で勝利し、7勝1分け1敗の勝ち点22で3連勝。首位に浮上した。6勝1分け2敗の勝ち点19で3位につけるのは秋田に競り勝ったヴェルディ。4位は今節、いわきと戦う群馬。5位は4勝3分け2敗の勝ち点15で秋田。6位は4勝2分け3敗の勝ち点14でV・ファーレン長崎。

上位チームが徐々に抜け出しつつあるとはいえ、下位チームとの勝ち点差はそれほど開いていない。2勝2分け5敗の勝ち点8で19位のいわきFCにも、躍進のチャンスは十分残されている。

明治安田生命J2リーグ第10節・ザスパクサツ群馬戦は4月16日(日)14時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

思うような結果が出ていない今、待たれるのは新たなヒーローの誕生だ。Jリーグ随一のハードトレーニングで鍛えたパワーと走力を武器に、救世主となるのは誰だ。伸びしろだらけの選手達が繰り広げる熱き戦いを見届けに、日曜日はぜひスタジアムへ!

(終わり)

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