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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第1節 いわきFC対藤枝MYFC

いよいよ開幕する2023明治安田生命J2リーグ。いわきFCは2月18日(土)、いわきグリーンフィールドに藤枝MYFCを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。

■試合のポイント

待ちに待ったJ2初戦。ホームで迎えるこの試合で、注目すべきポイントは

①新しくなったホームスタジアム
②アタッカー陣のメンバーと組み合わせ
③SB陣の再編成
④藤枝の両WGをいかに抑えるか

だろう。

まず大きな見どころは、スタジアムだ。

今年のホームゲームを行うのは改修を済ませたいわきグリーンフィールド。観客席を増席し、夜間照明設備と電光掲示板を新設。ピッチを整備するなど、ライセンス取得に向けた暫定運用を行い、5000名強を収容する専用スタジアムへと生まれ変わった。

次に注目すべきはメンバー構成だ。

2023年度のチームは昨年末に始動。徹底的なストレングストレーニングで身体を作り上げる「鍛錬期」を経て、1月29日から2月3日まで鹿児島で合宿を行い、チーム力を向上させてきた。

今年も展開するのは、90分間止まらない・倒れない「魂の息吹くフットボール」。Jクラブ屈指の充実した施設で徹底的に鍛え上げたフィジカルを前面に押し出し、今年もパワーと走力で勝負、平均年齢22.9歳というJリーグ屈指の若さを武器に、J2の舞台で旋風を巻き起こす。

昨年のチームからGK坂田大樹(→アビスパ福岡)左SB日高大(→ジェフユナイテッド千葉)、FW鈴木翔大(→鹿児島ユナイテッドFC)らが去り、新たに特別強化指定選手3名を含む13名が加入した。

ポイントとなるのがFWとSH、そしてSBの編成だ。

FWは昨年のJ3 MVP & 得点王そしてベストイレブンの有田稜、数少ないJ2経験者である有馬幸太郎、主に後半からの途中出場で存在感を示した谷村海那、負傷復帰が待たれる吉澤柊に加え、報徳学園から坂元一渚璃、特別強化指定選手として名古屋学院大から近藤慶一が加入した。

システムの要となる両SHは、昨シーズン途中に負傷から復帰してチームを支えた山口大輝、ドリブラー永井颯太、スピードスター杉山伶央が残留。そこにファジアーノ岡山から1年間の期限付き移籍で宮崎幾笑、流通経済大から加瀬直輝、そして特別強化指定選手として拓殖大から加藤悠馬が加わった。昨シーズン31試合に出場して10得点を挙げた右SH岩渕弘人は昨年終盤の負傷により、シーズン半ばの復帰見込みとなっている。

このアタッカー陣の中で、開幕戦のスターティングメンバーの座を勝ち取るのは、果たして誰なのか。

そしてSBの再編成は、今季最大のポイントだろう。

3年目の嵯峨理久を軸に、ガイナーレ鳥取から石田侑資、大阪体育大から河村匠が入団。左右をこなす嵯峨が左に回り、石田が右に入るのか。それとも嵯峨が従来通り右に入り、左に河村または石田が入るのか。

さまざまな組み合わせを試す中、村主監督が導き出す答えに注目したい。

■戦力分析~藤枝MYFC

初戦の相手は、昨年J3で2位に入り、ともにJ2に昇格を果たした藤枝MYFC。ホームタウンは元日本代表の中山雅史、名波浩、長谷部誠の出身地である静岡県藤枝市、そして島田市、焼津市、牧之原市、吉田町、川根本町。「サッカーの街」藤枝初のJクラブを目指して2009年に創設され、2011年に「shizuoka.藤枝MYFC」として東海リーグ1部を連覇。第35回全国地域サッカーリーグ決勝大会で準優勝を果たす。2012年に登録名を藤枝MYFCに変更してJFLに参戦。2014年のJ3と同時にJリーグへと参入した。

躍進を見せたのが須藤大輔監督体制2年目の2022年。開幕から波に乗れず第6節まで2勝1分け3敗と低迷。6月には松本山雅、FC今治に連敗を喫した。しかしチームはここから立ち直り、6月下旬から6連勝。さらに9~10月に11戦負けなしで一気に上昇気流に乗り、いわきFCに次ぐ2位に入り、初のJ2昇格を成し遂げた。

須藤監督体制3年目の今季。昨年、再三の好フィードで躍進の大きな原動力となったGK内山圭がサガン鳥栖に完全移籍した以外、主力メンバーがほぼ残留。昨年J3で旋風を巻き起こした面々をベースにJ2の舞台へと乗り込む。

目指すのは「サッカーの街」藤枝を象徴するアグレッシブで先進的なプレースタイル。3-4-2-1を基本にハイライン&ハイプレスを徹底。攻撃ではピッチを広く使い、前線の3人と左右ウイング、ボランチの7人が連動。ダイナミックなアタックを仕掛ける。

カギとなるのは両ウイング。攻守に運動量を求められるこのポジションはチームの生命線。右に久保藤次郎、左に榎本啓吾が入る。昨年は久保が10得点、榎本が4得点を挙げており、両翼は強力。また昨年13得点を挙げ、今年から10番を背負うシャドーの横山暁之も要注意だ。彼らにスペースを与えず、自由を奪えるか。いかに後ろ向きでプレーさせるか。カギとなるのはそこだ。

いわきと藤枝は昨年2回対戦。初戦はホームで2対2で分けたが、2戦目のアウェーで3対0で完勝。いわきは藤枝のビルドアップに積極的にプレッシャーをかけ、3バックの背後をロングボールで狙い、藤枝に攻撃機会をほとんど与えずにシャットアウトした。

今季は両チームともメンバーの変更は少ないだけに、新たな2の舞台で、昨年の戦いを再現するのか。攻撃スタイルこそ真逆だが、球際の激しさや攻守の切り替えの速さは両チームの共通の特徴。噛み合う相手だけに、開幕戦から激闘となることは間違いない。

■「J2だからといって、何かを変えるつもりはない」村主博正監督

「まず、いわきグリーンフィールドの改修に携わってくださった皆様に、厚く御礼申し上げます。多くの方のご協力のもと、予算を取り、短期間で施工をしていただきました。

観客席の増設や電光掲示板の設置に加え、芝もとてもいい状態に整備していただきました。そしてうれしいのがロッカールーム。J1レベルの素晴らしい改装をしていただき、選手達のモチベーションも上がっています。彼らの熱いプレーを通じて、皆様への感謝の気持ちをお伝えしたいと思います

シーズン開幕に向け、まだまだ積み上げが必要な部分が多くあります。昨年在籍していた選手はある程度計算が立ちますが、新加入の選手はまだまだ、やらなくてはいけないことが多々あります。

開幕戦のスタメンはすでに7~8名は決めていますが、数名はまだわかりません。特に新加入の選手は個々で成長スピードが異なりますし、試合を重ねながら成長させていきたい。

ですから、このタイミングで今年のチームのすべてを決めることはありません。開幕戦のメンバーは木曜日の紅白戦の出来を見て決断するつもりですが、今いる選手の中で、どの選手をどう配置するかは流動的。リーグ戦を戦っていく中で、いい形を見つけていきたいと考えています。

大事なのは、日々のトレーニングと試合を通じて選手達を成長させること。昨年から戦術の変更は今のところ考えていませんが、システムは選手あってのもの。相手に合わせて何かの形に選手を当てはめようという気持ちはありません。まずは、自分達のあるべき型をしっかりと磨き込みたいと思います。

J2に昇格したからといって、何かを変えることはありません。そしてどんな立ち位置であろうと、90分間止まらない、倒れない『魂の息吹くフットボール』を展開すること変わりはない。『RELENTLESS~容赦なく、挑み続けろ』というスローガン通りのアグレッシブな戦いを見せます。皆さんぜひ、一緒に戦ってください」

■群雄割拠のJ2。優勝・昇格争いの行方は?

例年にないレベルの拮抗が噂される今年のJ2リーグ。2024年シーズンに控える各リーグ20クラブへの統一に伴い、J1昇格枠は3枠。上位2クラブが自動昇格し、3~6位で行われるプレーオフを勝ち上がった1クラブがJ1に昇格。下位2クラブがJ3に降格する。

今シーズンのJ2は22クラブ中、11クラブがJ1経験を持つ。2022年のJ1から降格してきたのは清水エスパルス、ジュビロ磐田の2クラブ。加えて大分トリニータ、モンテディオ山形、ベガルタ仙台、徳島ヴォルティス、東京ヴェルディらが虎視眈々とJ1返り咲きを狙う。

またファジアーノ岡山、FC町田ゼルビアといったJ1未経験クラブも手強い。特に町田は青森山田高で長年の指導実績を持つ黒田剛監督を迎え、ワールドカップで活躍したオーストラリア代表FWミッチェル・デューク、横浜F・マリノスで活躍したブラジル人FWエリキら有力選手を大量補強。開幕前のトレーニングマッチでも好調ぶりを示し、J1昇格最有力候補へと躍り出た。

上記クラブ以外も含め、例年になく手強いクラブがそろう今年のJ2リーグ。絶対的本命はおらず、混戦になる可能性が高い。そんな中、初参戦のいわきFCはどれだけ戦えるのか。注目が集まる。

明治安田生命J2リーグ第1節・藤枝MYFC戦は2月18日(土)14時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

待ちに待ったシーズン開幕戦。ぜひご注目を!

(終わり)

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