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#2 トークシェアミーティングって何?

このnoteを始めるきっかけになったのが、2024年10月11日(金)の臨時市長記者会見でリリースした「小名浜地区トークシェアミーティング」です。

今回は、「トークシェアミーティング」ってそもそも何か?というのを整理しておこうと思います。


「トークシェアミーティング」ってどんな場?

「小名浜地区トークシェアミーティング」で掲げるステートメント

何よりもまず、トークシェアミーティングは、これまでのよくある市民意見聴取のしくみとは全く異なるアプローチとして考えている、ということです。

具体的にこういうことをやってみたいとか、まちに関わりたいとか、そういった想いがあったとして、どこかの団体に属していたり、何かの肩書きがあったりしないと、「わたし」という個人の声はどうしても上げづらいのが現状だと思います。
伝えたいこと・やりたいことは確かにあるのに、そうした人たちのポテンシャルを最大限に発揮できる状況にないとしたら、それってすごくもったいないことです。

一方で、「まちづくりをどう考えますか?」とか、「施設のあり方をどうしたら良いと思いますか?」って、大上段から訊かれると、ちょっと逃げ出したくなる人も多いのでは。
そういうのは、意識が高い人・選ばれし誰かが考えればいいし、みたいな気持ちになるかもしれません。
(もちろん、むしろそういうことをこそ考えたいんだ!って燃える方もおられるとは思いますが)

でも、「わたし」の「やってみたい」、「こうしたい」、「こうありたい」なら、誰しもの中にあるのと思うのです。

だから、この「フラットミーティング」では、敢えて、「まちのことをどう考えますか?」とか、「施設のあり方をどうしたら良いと思いますか?」といった問い方はしません。
まちのあり方を考える最初の一歩として、「普通な」「ただの」「わたし」の声こそを大切にしたいと考えるからです。

立場や肩書きを取り払った一人ひとりの「わたし」の経験や考えから生まれる声を、肩書きも立場も関係なくフラットに聴き合える場をつくる。
そして、その対話の中から、まちのあり方や施策の方向性の芽を見いだしていく。

結論ありきや締切ありきの(ものすごく穿った・悪い言い方をすれば)「市民の意見を聴いたという体裁づくり」ではなく、市が施策や計画の案をつくるよりももっとずっと前の段階に、市民の皆さんと声を聴き合いたい――それが、トークシェアミーティングです。

よくある「説明会」ではありません

行政→市民の一方的な説明でも、単純に賛成・反対を求めるものでもないのです

市が施策や計画の案をある程度固めてから市民の皆さんにお示しして、意見をお聴きする、というやり方も、必要な場合は当然あるかもしれませんが、それだけでは不十分なのではないか、という気づきがありました。
(これについては、また別の記事で書きます)

そもそも、説明会も、パブリック・コメントも、アンケートも、もっと言うなら、「なんでも・自由に・忌憚なくアイデアをください」方式のワークショップも、市民意見聴取の機会ではあるかもしれませんが、双方向のやりとりであるとは言いづらく、「対話」ではないと思っています。

人口が大きく減少し、市民ニーズが多様化する中で、「こうだったらいいなぁ」レベルの意見に対する対策を、総花的に行政が担うことは、正直もう不可能ですし、互いの判断材料というか、与条件というか、要は「意見」の裏側にある「なぜそう考えるのか」をきちんと出し合って、「こうだったらいいなぁ」ではなく、本当にやりたいこと、本当に必要なこと、本当に困っていることをゼロベースで聴き合う「対話」をこそしたいのです。

ですから、トークシェアミーティングでは、市が何かの案を提示することはありませんし、参加される市民の皆さんが市の方針に賛成とか反対とか、そういう話をするものでは全くありません。

何かを「決める場」ではありません

「議論」や「討論」は分断と対立を生みやすく、「対話」とは全く異なるものです

参加される一人ひとりの経験や考えに基づく声を聴き合う場がトークシェアミーティングですから、この中で何か決定的な結論を出す、ということはありません。
何らかの合意形成を、トークシェアミーティングの中ですることはありません。
ただただ、参加される方の「こう思う」、「こう考える」、それで良いの考えています。

誰の意見が合っているとか、間違っているとか、そういうものは一切ないですし、議論・討論の場ではありませんから、相手を言い負かそうとか、自分の意見が正義だから同調すべき、というような考えは捨てて参加してもらえれば。

「何かを要望する場」ではありません

「わたし」の「やってみたい」「こうしたい」「こうありたい」は「わたし」が叶えるものです

市職員もトークシェアミーティングには参加していますが、市民 対 市職員、になってしまっては、全く「対話」になりません。
ですから、市職員も「市職員という職業である一市民」という立ち位置で参加してもらいます。
なので、当然、所属する組織の見解と個人の考えは違うこともあるかもしれません。

また、先ほども述べたとおり、人口が大きく減少し、市民ニーズが多様化する中で、「こうだったらいいなぁ」レベルの意見に対する対策を、総花的に行政が担うことは、不可能です。
トークシェアミーティングを通じて聴き合った声は、まちづくりや施策の方向性を考える際のベースとしていく考えではありますが、すべてを叶えます、としているものではない点にはご注意を。

心理的安全性が確保された「対話」の場であるために

参加者全員で共有するルール

本当の意味での、市民の皆さんとの「対話」によるまちづくりに取り組んでいく、これが最初の一歩だと捉えています。
つまり、市民の皆さんも市職員も一緒くたに、これから「対話」に慣れていく、というフェーズにあります。

互いの言葉を、「あなたはそう思うんですね」と、賛同でも否定でもなく、ただ受け止め合える。
フラットな関係性の中で、「わたし」の考えや気持ちを率直に、安心して発言できる状態、すなわち、心理的安全性を確保した「対話」の場としてトークシェアミーティングが機能するためには、参加者全員が意識すべきルールがあります。

思っていたのと違った、と全員がならないためにも、いわき市では、「小名浜地区トークシェアミーティング」のチラシ中面にも大きくルールを掲載したほか、各回のはじめに、しっかりと意識づけを図っていきたいと考えています。

トークシェアミーティングの先には何がある?

トークシェアミーティングの出口は一つではありません

じゃあ、トークシェアミーティングに参加したら、そこで聴き合った声というのは、何にどう反映されていくのか、というと、答えは1つではないと思っています。

市の政策に反映されるものもあれば、むしろ民間の皆さんの得意分野となれば連携して事に当たるかもしれません。
場合によっては、トークシェアミーティングを通じて出会った同士で、互いの「やってみたい」ことの実現を目指す仲間になる、ということもあるかも。
出口の一つとして、どういう受け皿が必要か、という施設の話に発展する可能性もあります。

様々な年代・属性の市民の皆さん一人ひとりの「わたし」の声を通じて、多様なまちのあり方・人と人との関わり方を実現していくのが、トークシェアミーティングの目指すところです。

「対話」から行動を生み、まちを形づくっていく――。
初めての試みなので、何もかもが上手くいくとは限りません。
もっとこうしたらよかった、という反省点の方が多いかもしれません。
でも、やってみないとわからないことは、たくさんあると思っています。
だから、まずはやってみます。

こうしたチャレンジを面白がってくれる方のご参加を、ぜひともお待ちしています!