「【ギンコ・ビローバ】樋口円香」を見てあげた悲鳴の日本語訳
おおむねタイトル通り。
「ひぃっ!」とか「あ゛~~~~!!!!」とか「ひ゛く゛ち゛ま゛と゛か゛ァァ!!!!」とか言ってたものを、何とか日本語に置き換えて整理したものです。
ですので、本記事は考察や感想といったまとまったものではなく、そのシーンごとで出てきた感情の羅列に近いです。
当然の話なんですが、一応注意。
この記事には「【ギンコ・ビローバ】樋口円香」のコミュやホームボイスはもちろん、関連カードのネタバレを含みます。
この先の解釈等含め、気を付けてお読みください。
以下、目次
1.カード名について
カード名が分かった瞬間、知らない言葉だったのでググりました。
【ギンコ・ビローバ】とは、イチョウの学名「Gingko biloba」のことでしたね。
「Gingko」は“銀杏”という日本語での読みをそのまま使っているそうです。ちなみに、綴りは誤記が採用された等の小話があるそうですが、ここでは割愛。興味がある人は調べてみると面白いと思います。
「biloba」はラテン語による造語だそうです。「Two lobes(二つの裂片)」の意。
コミュの内容を鑑みるに、話の本筋として関係がありそうなのは「biloba」の方だろうなと思います。たぶん。
2.コミュタイトルについて
【ギンコ・ビローバ】のタイトルは漢字一文字で統一されています。
それぞれ「囀る」「信じる」「噤む」「偽る」といった動詞で使われることが多い文字ですね。
True endの「銀」は、イチョウの別名である“銀杏”に由来しているものでしょう。ここだけ名詞なのは個人的に気になっている部分です。
【閑話】では樋口円香の内心が重点的に描かれていますが、彼女の心の中の言葉のほとんどは、コミュタイトルのように端的で比喩的な表現が多く登場します。
樋口円香のコミュタイトルは、彼女の内心での言葉に近いのではないでしょうか。
3.囀
昼休みのPが、料理番組のスタッフに教えてもらったマフィンのレシピでお菓子作りをしている話。
軽快に唄いながら作っている姿を樋口に見られ、めっちゃ慌てて言い訳しているPが見れます。残念ながらPの歌声は聞けませんが、選択肢次第では樋口が歌ってくれます。
選択肢左の「よかったら円香も」を選んだ場合、
という樋口の言葉に
と返す場面が登場します。
また、その続きであるこちら。
肩書ではなく、行動に重きを置くのは、共通コミュの「心臓を握る」でも登場した話題です。
最後の一言は、まだPの行動が樋口を信じさせるには足りていないという意味合いではないでしょうか。
ちなみに、この話題については、この後のコミュ含め度々登場しますので彼女との物語の中で大きな要素になるものの一つと考えられます。
選択肢中の「もうすぐ焼きあがるから」を選んだ場合、
と、親の顔より見た皮肉が飛んできます。
またこの選択肢の最後は、
やはりPの行動を未だに認められていない彼女の姿が垣間見えます。
選択肢右の「持って行ってくれ」を選んだ場合、
と、お菓子作りを終えた後の話になります。
この後の
というやり取りですが、「もうすぐ焼きあがるから」で焼き上がりを待たなかったことから、完成したマフィンを持っていくつもりだったことがうかがえます。まあ、当のP本人は慌てているため忘れていますが。
樋口が出た後で差し入れのことを思い出すPと、外に出てから歌を口ずさんでいる樋口。
部屋を出る前の沈黙が「お菓子差し入れるのを忘れるけど、それをわざわざ言うと楽しみにしていたようで嫌だ」といった逡巡ではないかと思えます。
4.信
電車の中で昔の同級生と出会った樋口と、一緒にいたPの話。
シャニマスは登場するアイドル達に対して否定的な言葉を口にする人が登場する機会がありますね。そういう話です。
こうした樋口に対する発言に、Pは別車両へ移動しようと考えますが、『余計な気遣い』と断じられます。噂話を止めることなどできないから、と。
選択肢左の「『気にしないからって』」を選んだ場合、
アイドルとしてやっていく上で、こうした言葉や感情からは逃げられません。それはノクチルのイベント“天塵”でも登場した内容です。
全てから逃げ出すことはできずとも、向き合う必要はないという処世術的な言葉ですが、
と言われます。
彼女がPに対して、どういった関係を望んでいるかはここからだけでは分かりません。気持ちというものが目に見えず分からないものである以上、それを同じにすることはできないでしょう。
彼女は、彼女自身とPが同じ場所にいること(同じ気持ちでいること)に対して、複雑な感情を抱いているように思います。これに対しては、他の様々なコミュも含めての考えですので、また後程詳しく触れます。
選択肢中の「『でも』……」を選んだ場合、
先でも出ましたが、言わせておけという考えと同時に、面と向かう必要はないという話になります。
そして、大事なのがこの後。
釈明も反論もしない。
これについては、この後の選択肢や「噤」のコミュで補完される項目も多いので、そういうやり取りがあったという話だけ載せておきます。
選択肢右の「……『そうだな』」を選んだ場合、
先ほどと同じ対応ではあるものの、少し変わった話になります。
問題は、しばらくして女子高生達が電車から降りていった後のやり取り。
先の選択肢でもありましたが、樋口は女子高生達には釈明する気も何もありませんでした。しかし、Pに対しては本当のことを知っていてほしいと思っています。ですが、その気持ちは本人にちゃんと言うものではなく、寝ている彼に対して呟くようなものでした。
共通コミュや【カラカラカラ】の「掴もうとして」等から伺えるように、樋口は本当のこと(努力や本心)を隠すように振舞いますが、それは完全ではありません。王様の耳はロバの耳というわけではありませんが、たまに漏れる彼女の本音を、きちんと拾ってくれるPはいいですね。
こうした“本当”をこっそりと伝えたいと思うのが、彼女なりの「信」なのだろうと思います。
5.噤
Pと樋口の二人が映画の試写会に招かれた後の話。
彼女はどこか上の空な様子ですが、そこで映画の制作関係者と話をする場面になります。
Pに対しては淡白ですが、関係者に対しては対面よく丁寧かつ詳細な感想を述べます。
映画の内容に関しては、Pのことを暗示しているようにも見えますが、どうでしょうか。Trueのコミュに触れますが、ピアノ(Pの心情や)に触れた樋口の世界が金色(イチョウの葉)に染まるという構図は、無関係と単純に断ずることもできないように思います。
そして、こうした試写会後の語らいが終わって帰る場面まで時間が進みます。
選択肢左の「予定より長引いて悪かった」を選んだ場合、
と理解しつつも、内心はあまり肯定的ではない話をして終わります。
選択肢中の「映画、楽しめたようでよかった」を選んだ場合、
という独り言ともつかない言葉が飛んできます。
試写会後に彼女がどこか上の空だったのは、映画の余韻に浸っているからだったのだと、ここでようやく分かります。
今回のコミュの「噤」というタイトルは、「口にしない」「言葉を発さない」という映画の楽しみ方についてのものであり、「本音を表に出さない」といったアイドルとしての対応についてのものでもあるように思います。
選択肢右の「映画、好きなのか?」を選んだ場合、
少し話題が変わりますが、おそらくPにとって今回の試写会には“円香が好きになれるものを探す”という思惑が少なからずあったのだと思います。
Pの「あれ……そ、そうなのか……」には、試写会後の反応から手ごたえが空振りだったことに対する戸惑いではないでしょうか。
そして、円香の好きになれるもの(円香がやりたいと思える仕事・アイドル)を探してほしいというお願いの後。
大切なことは他人に言わない。
樋口円香にとって他人に知られないようにしているもの(噤んでいるもの)は、努力や本心といったものが挙がります。先の映画の感想もそうでしたが、口にしない(相手に伝えない)ことこそが彼女の大切にする方法なのでしょうか。
少し婉曲的ではありますが、彼女の言動の意味を教えてくれるコミュだったと思います。
6.偽
樋口が気落ちしていたアイドルを励ましてあげ、元気になったアイドルを見送った後のPと二人の会話。小声の内容は音量を置きくしてみると、テキストでは表記されていない部分も把握することができます。
この時、テキストに載っていない部分で「負けてもいいと思えないほどアイドルに真剣だから」といった話も出てきます。
これに関しては共通の「心臓を握る」を思い出しました。
負けることに対して恐怖を感じている彼女は、自信を失っているアイドルと同じように負けることをどうでもいいとは思えていません。
前後関係は分かりませんが、樋口とアイドルの関係が、Pと樋口の関係に重ねられています。つまり、樋口にとってPは“そういう”存在なのでしょう(ここに関してはTrueで)。
と、そんなアイドルを見送った後、Pが樋口に声を掛けます。
選択肢左の「……円香は優しいよ」を選んだ場合、
といった樋口に対するPの認識が明確に書かれている場面に繋がります。
この選択肢自体は直後、樋口に一笑に付されて終わるわけですが、確かにそうだと思います。
樋口は全体を通して嘘は言ってないんですよね。このコミュの共通部で出るように「願いは叶わない」「適当に生きるのが楽」というのは、樋口自身の気持ちとして確かにあるのでしょう(後者は【閑話】で強調されている)。しかし、同時に「願いは叶う」といった気持ちがないわけでもない。
そうしたことに対する樋口の回答は
ですが、こうした余計に見える一言(「たぶん」「どうでもいいけど」)を付けるときは、どこか肯定的なように思います。
それだと肯定したくないけど、強く否定する気もない。みたいな。
選択肢中の「それでも、よかった」を選んだ場合、
と続きます。
問題はこの後の樋口が漏らす言葉。
ここで言及される寒さは、周囲から向けられる感情や言葉のことでしょう。特に、電車で聞いたうわさ話や、トレーナーに言われる言葉。否定的でアイドル達を傷つけるようなもの。
アイドルだけがテレビや雑誌といった矢面に立ち、スタッフやプロデューサーは裏側にいる。共通コミュの「二酸化炭素濃度の話」をはじめ、若い少女達が傷つく様をたくさん見てきた樋口だからこその言葉のように思います。
選択肢右の「……大丈夫」を選んだ場合、
先の二つの選択肢で出たような内容です。
願いが叶うかどうかは分からなくて、叶うと思うか叶わないと思うかに正解はありません。何度もオーディションを受けて合格するかどうかという恐怖を抱えていく樋口にとって、ダメだから。これで終わるから、という諦観はある意味で必要な心の守り方なのだと思います。
全力ではない。本気ではない。そういった彼女の発言の裏にあるのは、やはり「心臓を握る」や「風穴」でのやり取りでしょう。
7.銀
True Endです。商店街に寄った帰り道で、周囲からのPに対する評価を目にした樋口の話になります。
商店街の人との繋がりといった部分では、放クラのイベントシナリオ「階段の先の君へ」を見るといいのではないでしょうか(心は死ぬが)。
実際、ある程度シャニマスをやっていると、自己評価の低さや過労で体調を崩す、あるいはアイドルの内心を上手く汲み取れずに悩む場面も見受けられるものの、かなり優秀なプロデューサーであるように感じます。
P自身は相手の気持ちを気にする人です。仕事先で教わったお菓子のレシピを実践したり、アイドルによって距離感を明確に変えている。それはP自身が行動によって相手の信頼を勝ち取ろうとしているからだと思います。
そして、それは根本的にアイドルのためです。彼女達が望む空へ羽ばたけるようにするため、アイドル自身や仕事先の相手との対話を無理してまで頑張ります。
そんな彼は、樋口からの評価に対して「スーツを脱いだら、そんなにできた人間じゃないからさ」と否定を返します。プロデューサーではない彼の姿自体はめぐるの【小さな夜のトロイメライ】や、透の共通コミュ(中高生の頃ではありますが)で登場しますが、彼のプライベートの姿に迫るには少し難しいかもしれません。
そして、それを聞いた樋口円香の心情。
はは……。
「偽」の時に少し出た話をしますが、樋口とアイドルの関係は、Pと樋口の関係の比喩になっています。あの落ち込んでいたアイドルにとって、樋口とは“願いは叶うと応援してくれる理想のアイドル”のようだったことでしょう。
Pが素の自分を明かすことはありませんが、彼の素はプロデューサーである彼のものとは違っています。あのアイドルが樋口の本当の姿を知ることがなかったように、樋口もPの本当の姿を知りません。
このコミュの時点では、彼女はPのことを信用していません。それはまだ、彼女がPのことを測り切れていないからでもあります。
樋口円香は、プロデューサーの本心が知りたいと思っている。
「銀」の最後の彼女の独白は、普段とは違うアイドルとしての自分を抱えている樋口円香のように、周囲からすごい人だと思われているプロデューサーの本心の部分を知りたい。素のプロデューサーが剥き出しになればいいという感情によるものだと推察します。
コミュタイトルの「銀」とは、“二つの裂片”というイチョウの別名“銀杏”になぞらえた、引き裂かれてしまえばいいという独白。そして、悲観主義的で性悪説的な彼女のプロデューサーの毒(悪性)をはっきりと見つけたいという願いでもあります(銀は毒に反応するとされます)。
樋口からすれば、プロデューサーは自身と同じことをしている人物で、それも自分よりも完璧にやり切っています。樋口は自分の内心をプロデューサーに漏らす場面も多々ありますが、その逆といえる機会はない。
今回のコミュは共通コミュ後半で描かれているような“アイドルとして輝く魅力を抱きながらも、失敗したくないと恐れる少女”樋口円香ではなく、共通コミュ前半で描かれる“対面的には誠実そうなプロデューサーの内面を暴き立てたい少女”樋口円香が主軸になっているように思います。この点は、【カラカラカラ】のTrue end「エンジン」とは対照的な部分だったように思います。
8.思い出アピール
思い出アピールの「ゲン」や「[フ]ゲン」は、素直に考えれば「言」「[不]言」になると思います。
大切なものは口にしない樋口にとって、親愛度が高いことこそが「不言」なのは納得できる部分が大きいように思います。
9.ホームボイスについて
ガチャに付属するホームボイスですが、無凸状態でも聞けるものと1凸で聞けるもの、それぞれに私服とライブのボイスがあります。計4種です。
当然の如くイチョウに対するセリフです。
ここで「散りすぎていること」をどう認識しているかだと思うのですが、個人的には「噤」での映画の内容を下地にしてみると「眩しい」の比喩ではないかと思います。
男がPの比喩であるのなら、散っているイチョウはPの感情が溢れ出したものだといえます。Pがわずかに零した(世界へとあふれだした)心情の比喩であるイチョウの輝きやあり方に対して「輝きすぎている」「眩しい」とこぼしている台詞。もっと散らない(色付かない)でいいと思っているように感じました。
風の寒さは「噤」にも出てきましたが、アイドルとしての厳しさに対しての言葉です。
イラストを見ると、足元の水たまりから青空であることが確認できますが、その水たまりの存在から雨上がりであることも分かります。
ライブ時の台詞である以上、こことはライブの場、アイドルとしての場のことでしょう。
詳しくは次のボイスも含めてまとめていきます。
小鳥が歌うのは、というのは「囀」で言及されています。
樋口円香はありのままの自分でアイドルをしません。小鳥のように自由に歌うわけではなく、義務として、仕事として歌う。
アイドルとしての場にいるのは、樋口円香個人ではなく、ただ一人のアイドルをしている女の子であるかのようです。
10.まとめ
ここは樋口円香の魅力であり面倒な部分なんですが、相反する価値観が共存するんですよね。
変わりたくない幼馴染の関係を憂いながらも、変わっていくアイドルとしての日々に魅力を感じる。願いは叶わないと嘯きながら、叶ってほしいと思っている。今回もPの人柄を信頼しつつも、その内面には汚いものがあるのだと思っている。
共通コミュで“アイドルに対して否定的だった少女がアイドルとして輝くことに魅力を見出していく”という物語があり、【カラカラカラ】で“お互いに相手のことを測りながら一緒の場所を目指す”という補強がなされていました。
これまでは主にPの視点で一方的に描かれていたわけですが、今回の【ギンコ・ビローバ】では“相手の内面を暴き立てたい”という形で、二人の距離の縮め方や内面を今までとは違った方向から描いてきたように思います。
11.最後に
ここまで感情を垂れ流して瞬間瞬間の話しかしていないので、どっかで矛盾が生じていることがあるような気もします。それに関しては考え不足などが指摘されますが、そもそも悲鳴の日本語訳なので間違ってても、まあそんなもんじゃないですかね。たぶん。
今までfusetterで漏らしていたものをnoteに初めてまとめましたが、これ結構いいですね。いつかは、今までまとめたノクチルのfusetterの内容をnoteにまとめ直すとかもしたいですね。こういうのは、今後もやるかもしれませんので、皆さんも書いて。僕はみんなの考察が見たいよ……。
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