コミュニティのJoin方法を「DM待ちからの面談」にした効果の共有

この記事はDevRel Advent Calendar 2023の22日目の記事です。

こんにちは、サイバーエージェントでXRエンジニアをしています。イワケンと申します。

本業はエンジニアでありつつ、趣味活動でコミュニティ運営や活動をしています。

主宰しているコミュニティは

Iwaken Lab.
Babylon.js JAPAN
withARハッカソン
言語化コミュニティ

などです。お手伝い含めるともう少し増えます。

DevRelという職業ではないのですが、近しいことをやりつつ、日々コミュニティ運営について研究しています。

今日はその中でIwaken Lab.という学生支援コミュニティ「Join方法」を「DM待ちからの面談」にして気づいたことを話したいと思います。

12月22日にIwaken Lab.メンバーでXRKaigiに参加しました!の写真

コミュニティのJoin方法を色々

コミュニティが成功するためには、 シンプルでかんたんに利用できて直感的なアクセス方法が不可欠だ。

ジョノ・ベーコン. 遠くへ行きたければ、みんなで行け ~「ビジネス」「ブランド」「チーム」を変革するコミュニティの原則 (p.48). 株式会社技術評論社. Kindle 版.

とあるように、シンプルで簡単であることが望ましいとされています。

例えば、私が担当しているコミュニティのうち

など、パブリックなページを踏めば基本誰でも参加できます。

しかし、Iwaken Lab.のメンバーになるためには

  • https://iwakenlab.jp/ の入荷希望者向けページにアクセス

  • Xの@iwaken71にDM

  • イワケン氏と90分面談

  • 双方問題なければJoin

という流れをとっています。一見コストもかかるし、シンプルさとはかけ離れているが、50名のメンバーと共に、技術好き学生支援コミュニティIwaken Lab.は以下のような成果を出しています。

  • 国内最大のXRカンファレンスXRKaigi2023のオフィシャルパートナーに認定

  • 延べ100名以上の社会人,企業からの支援,スポンサー (総額200万円以上)

  • 大学の授業の講義に呼ばれる

  • JAXAとのつくば宇宙ARのコラボ

このような成果がなぜ生まれているのか

  • メンバー1人1人の熱量と行動力、発信力がすごい

    • Discordのtimesチャンネルの稼働率は80%

    • カンファレンス登壇、受賞、起業&資金調達など様々な活躍

なぜ、こんなメンバーが集まり、活躍していくのか

私は「DM待ちからの面談」ここにこだわっているおかげだと思っています。だからこそ、このnoteで語りたいです。

なぜ「DM待ちからの面談」なのか

そもそもなぜXのDMをしてもらうようにしているのか、Googleフォームだけじゃダメなのか。

喋ったことない人にDMするということは、行動力と覚悟がないとできないことです。
これが、のちの熱量と行動力につながります。

とはいえ、DMが来るのか…?と思うかもしれません。
そのためには「なぜこのコミュニティをやるのか」「どういう人に来てほしいか」を等身大の言葉で公開する必要があります。

どんな人に来てほしいか、なぜこのコミュニティをやっているのか、綺麗ごとの言葉ではなく、かなり詳細に言語化しています。

ここまでされていると「該当する人」は、興味を持ってDMしてくれる人が現れます。

私はこれを「言語化コミュニティ」で体感しました。言語化コミュニティの「知的欲求と言語化欲求をぶつけることが許される場所」というビジョンに共感して、参加したいという熱量がある人がDMをくれました。結果、こちらも50人ほどの参加者が集まりました。言語化コミュニティに関しては、DMをくれた人は全員Joinできる形にしました。

Iwaken Lab.では「DM」後に、さらに「面談」を90分導入しています。

ZOOMで90分

当初は「コミュニティの理念とのミスマッチを防ぐため」が目的でしたが、他にも色んな効果を実感しています。

90分の面談で話すことは

  • Iwaken Lab.の説明 (30分)

  • 希望者の好きな技術と過去のアウトプット (30分)

  • Iwaken Lab.のメンバーとして、何をやっていきたいか言語化 (30分)

だいたいこの3つです。

Iwaken Lab.の説明 (30分)
では、私の方から

  • なぜ Iwaken Lab.を始めたのか

  • 何を目指しているのか

  • 何を大事な価値観として活動しているのか

を話します。コミュニティでメンバーが恐れているのは「他のメンバーが何を考えているのかわからない」→「コミュニケーションを様子見しちゃう」というパターンだと思っています。

その怖さを取り除くために、こういう価値観に賛同して全員Joinしてもらっている、という安心感を与えるためにも全員面談しています。さらに、希望者とは全員面談していることを伝えます。つまり、共通儀式による、共通認識を行うことで、非同期な共通体験を作ります。

例えば、Iwaken Lab.では

- 技術と人間の可能性を「面白がる」
- 「勝手に」学び、シェアする
- 自分と他人を「プロデュース」する
- 「ときめき」ドリブンで「充足感」を大事に
- 自分の人生に「オーナーシップ」を持つ

大事にしている価値観

を大事にしている価値観としています。面談では、これが具体的にどういうことなのか、既存メンバーがどのように実行に移せているのかなど示しながら説明します。

すると「Iwaken Lab.メンバーになる人は、少なくともこの価値観に賛成している人しかいない」という前提を作ることができます。

こういったことが、Joinしてからの安心感につながると思っています。

希望者の好きな技術と過去のアウトプット (30分)

では、とにかく発言を受け止めながら聞きます。どんなにぶっとんだことでも「この人は聞いてくれた」という体験を作ります。なので、変に茶化して笑っていてはいけないと思っています。前向きに感心したり、キラキラした目で面白がる態度であることを意識します。

また、この話のメモから、次の「何をやっていきたいか言語化」のサポートをします。聞きながら、この人がやりたいことを自分なりにも言語化していきます。

Iwaken Lab.のメンバーとして、何をやっていきたいか言語化 (30分)

ココが一番大事かもしれません。本人が腹落ちするまでフレーズ化します。
例えば

「歴史のデジタルアーカイブ」を3D/AIで実現したい!
アイアンマンに登場するようなARをOSから作る
XR・NeRFを使って,誰もが魅了する作品・映像を作りたい!!!

メンバーのやりたいこと言語化の例

などが、メンバーのやりたいことの言語化の例です。

前提として「人類は言語化が苦手」という前提で話します。なので「本質的にやりたいことを言葉にできていない可能性がある」からこそ「この表現ってこういうニュアンスであってる?」と確認しながら進めます

本人の叩き台ワードを聞きながら

  • 目的と手段が正しく言語化されているか

  • 正しい解像度、スコープの表現になっているか

  • その人らしさやアイデンティティを表している表現になっているか

などを突っ込みながら、腹落ちワードを一緒に作り上げていきます。

このフェイズを経て「自分のためにコミュニティを活用する」というマインドを作っています。

熱量と行動力は「自分がなぜ行動するのか」が腹落ちされて初めて発揮されます。そういう人が「コミュニティに貢献したい」「コミュニティを活用したい」と思うから、コミュニティが活性化されていくのだと思います。

このフェイズを妥協してしまったメンバーは、Join後もコミットメント率が低いように私からは見えています (本人による本人のための活動の発信が少ない) 

弱点は数が増えると崩壊すること

「DM待ちからの面談」手法の弱点は、数が増えると崩壊することだと思います。特に今は私一人がやっていますので、1ヶ月に100件面談が必要となると崩壊します。

現状は

1ヶ月に1~4名程度DM。
DM申し込みから面談になるのが9割。
面談からJoinする人も9割。

くらいの認識です。落ちる人は、条件であるアウトプットをほぼしていないパターンや好きな技術について語れないパターンです。これはコミュニティで決めた基準をベースに判断しています。

なので

  • 外から見て一定のハードルを作る

    • DMによる応募

    • メンバーの活躍によるハードル増加

  • ミスマッチが起きないようにする

    • 明確なJoinメリットを可視化しない (ペルソナだけにぶっささるホームページ

    • 自分たちの理念を細かく言語化、発信 (XやYoutubeなど)

最近Youtubeを始めたおかげで「Youtubeから知りました!」という人と「もうYoutube見たので把握しています!」という人が増えてきました。

まとめ

メンバーのコミットメント率を高めたいコミュニティの場合は「DM待ちからの面談」によるJoinはいいぞと思っています。
ただ、これを成立させるためには、様々な前提があるので、注意が必要です。
一番のポイントは「本人が覚悟を決め、なぜこのコミュニティで頑張りたいか言語化し、受け止められる体験をする」これを実現することが大事で、これができるとコミットメント率が高まりやすいということです。

Iwaken Lab.では、技術好き学生を支援するコミュニティでありながら、コミュニティ運営の実験台として色んな手法を試しています。また別の機会でシェアできればと思います。ではまた!



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イワケン
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