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JPCA第18回秋季生涯教育セミナー

今月末までにオンデマンド視聴期間が延長となった上記セミナーの視聴記録です。主に自分の記録用ですが、これからみる方の参考になれば幸いです。(11/10: 追記、変更していく予定)

学会や幅広い分野に関わるセミナーに参加するときは、ある程度「今回はこの分野!」と決めていることが多いのですが、今回は見れる順番、タイミングでほぼランダムに視聴しております・・・。最近あまり評判の良くない(?)Evernoteに、WS毎にスクショをまとめてみたりしておりますが、みなさんどのように学んだものを整理されているのか聞いてみたいです。

・プライマリ・ケア医に必要なうつと不安・不眠(今村弥生先生)

精神科専門の立場から、うつの診断、治療の奥深さ、難しさについてわかりやすく話してくださっています。診断初期にSSRIなどに加えて、短期的な効果を期待してベンゾジアゼピンを処方されることもあるかと思いますが、「そもそも目の前の方に薬が必要か?」という視点から考えさせられるお話しでした。また、精神科医の先生でも面接がうまくいかない時の心構えや切り替えのコツなども聞けて面白かったです。藤沼先生のpodcastファンとしても嬉しい講演でした笑。こちらは残念ながら講義資料がダウンロードできないので、もう一回聞きたいなぁと思っています。

・診療所で診る「慢性臓器障害」のステージアプローチ(佐藤健太先生)

こちらは、今年発売になった「慢性臓器障害の診かた、考えかた(中外医学社、佐藤健太)」の内容を2時間の講義に圧縮した講義です。ちょうど、本を読んで日常診療に生かしていきたいな・・・でも、なかなか頭に入りきらないな・・・と思っていたところだったので、良い復習になりました。自分のセッティングでは、講義内で扱われている介入全てを行うことは難しいかな(積極的なリハビリ介入や検査体制などなど)とも思いつつ、考え方や取り入れられる部分は参考にさせていただきたいと思っています。プライマリ・ケアに関わる先生方は、慢性臓器障害の診療を避けて通れないと思うので、講義資料だけでも覗いてみても良いかもしれません。

・シン・鍼灸治療の活用 少しマニアックな世界も(寺澤佳洋先生、他)

鍼灸師を取得し、MBAも学ばれて活躍している家庭医療専門医の寺澤先生の「鍼灸をもっとプライマリ・ケアに広めたい!」という気持ちが詰まった講演。お恥ずかしながら、私自身が鍼灸治療に詳しくなかったので、こちらを拝見して「どんな主訴、年齢の方にも治療者として関われる鍼灸師」という認識を持てたのはとても良い機会になったと思います。日本の頭痛診療ガイドラインでも緊張性頭痛の項に鍼灸が載ってきている(推奨グレードC)ようです。当直明けのセルフケアにおすすめなツボなども講義されており、面白かったです。

・実践にも繋がるSDHについての専攻医指導(横谷省治先生、他)

ここ1、2年はSDH(健康の社会的決定因子)や多様性を取り扱ったテーマのWSはなるべく拝見するようにしています。SDHが健康に占める割合は50~60%ともされており、プライマリ・ケア従事者としてはもはや必須の視点になっていると思います。とはいえ、どこから取り掛かったらいいのか、さらにはどうやって専攻医に指導していけばいいのかに悩む方も多いと思います。講義内では、ミクロ(それぞれの医療機関)レベルでの取り組み、スクリーニングの仕方から、メゾ(地域)レベルでの実践について文献も踏まえてわかりやすく伝えてくださっています。個人でSDHに取り組もうとすると医療者の燃え尽きにも繋がる可能性があるため、関わるチームにどう伝えていくかの重要性についても触れられています。

参考図書:格差時代の医療と社会的処方(武田裕子. 日本看護協会出版会)

https://www.jnapc.co.jp/products/detail/3872

・Common disease 外来診療 診療ガイドラインとその向こう側

心不全、男女の下部尿路症状、変形性関節症についての最近のトピック、ガイドラインにそった対応について簡潔にわかりやすくまとめられています。どれも重要なトピックですが、個人的に心不全はうまく知識をアップデートできていなかったので、HFrEF に対するfantastic4の使い方などは、大変参考になりました。資料ダウンロードも可能ですので興味ある方はぜひ!

・診療所での女性診療〜ピル&更年期ケア〜 (川島篤志先生、他)

JPCAセクシュアルヘルス委員会企画で、委員である柴田綾子先生、遠見才希子先生がトピックについて講演してくださっています。かなり具体的に「月経移動」「緊急避妊薬処方」「更年期ケア」について解説されています。川島先生がまさかの患者役を演られる模擬外来も個人的には面白かったです笑。副作用の注意点(ACHES)、処方してこんなときどうする?のQ &Aなど具体的に聞くことができます。一女性としてはどれも大事だなと思いつつ、低容量ピルや緊急避妊薬を処方できる環境に今現在いないのですが、視聴後、まずはプラバノールを院外採用してもらえるように働きかけてみたいなと思いました。こういった分野の熱量の高い講義を聞けるのも大変ありがたいです。

参考資料1:WHOファクトシート 緊急避妊法

https://kinkyuhinin.jp/wp-content/uploads/2021/09/WHO_ECP_2018ver5%E6%9C%80%E7%B5%82%E7%89%88.pd

参考資料2:厚生労働省 オンラインに係る緊急避妊薬の調剤可能な薬局一覧

https://www.mhlw.go.jp/stf/kinnkyuuhininnyaku.html

・作成過程から読み解く診療ガイドライン推奨の真実(南郷栄秀先生)

腎機能障害患者に対する尿酸効果薬の使用を具体例として、診療ガイドラインの作成手順、GRADE systemを基にしたガイドラインの読み解き方のポイントを解説してくださっています。「どういった時に推奨グレードが下がるか(グレードダウンの指標)」が記載されているかどうかも、チェックすると良いというのはなるほどと思いました。また、最近よく見かけるようになってきたアカデミックCOIなどについても解説されておりますので、ぜひ聞いてみてください!

・発達障害〜専門医としてプライマリ・ケア医師・薬剤師に求めること〜(斎藤 まなぶ先生)

日本での発達障害の有病率など、疫学的にも重要なお話が聞けます。2016年時点で、5歳児のASDの調整有病率は3.22%(男女比 1.83:1)1)で、特別支援教育対象者は年々増加傾向(10年前の3倍)なのだそうです。このような状況下で発達障害の方達に対する早期介入の有効性を伝えてくださっています。適切な支援を受けることで、成長過程での二次障害の発生(環境への慢性的な不適合→失敗や挫折感の累積・怒りや疲弊⇨引きこもりや精神症状の発生)を抑制することができるそうです。プライマリケア従事者も①早期の気づきの重要性②早期支援の重要性③適切な紹介ができる、ことで切れ目のない支援の一助になれそうです。自治体によっては「かかりつけ医等発達障害対応能力向上研修」が実施されているようです。テキストもネットで見ることができるようなので、チェックしてみたいと思います。

1)Saito, M., Hirota, T., Sakamoto, Y. et al. Prevalence and cumulative incidence of autism spectrum disorders and the patterns of co-occurring neurodevelopmental disorders in a total population sample of 5-year-old children. Molecular Autism 11, 35 (2020). https://doi.org/10.1186/s13229-020-00342-5

参考資料:

https://www.ncnp.go.jp/mental-health/kenshu/dd_taioryokukojo_H29.html

他、試聴しましたが書けてないWS、これから見たい内容複数です・・・。

7・新型コロナワクチン デルタ前とデルタ後

10・ケースでまなぶマルチモビデティ

13・ダウン(Down)症候群の診療のポイント〜移行期医療シリーズ〜

20・そうだったのか!患者中心の医療

26・子どもの発達はどう診る?乳幼児健診での極意と事後健診


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