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【葬送のフリーレン】構成のリフレイン:時間経過コマ

漫画「葬送のフリーレン」には、様々なリフレイン(繰り返し)が組み込まれています。

それらを意識しながら読み進めるのも、この漫画の一つの楽しみだと考えています。

リフレインの種類についての概要はリンクを参照して頂き、以下では具体例について紹介します。

対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。


本記事で紹介するのは、構成のリフレインの「時間経過コマ」です。

「時間経過コマ」とは

漫画「葬送のフリーレン」では、話の中での重要な場面の間で、移動や時間経過などを表現するコマを挟む構成が、繰り返し登場します。

私はそれを「時間経過コマ」と呼んでいます。

例えば、以下のようなコマを指します。

ヒンメル達と再会するまでの50年の時間経過を表すコマ 第1巻17ページ

この構成は、箸休め的な役割を持っており、葬送のフリーレンを読む際に、独特のリズムを付与しています。

また、ちょっとした伏線回収が表現されている場合もあり、それを発見するのが、葬送のフリーレンの楽しみ方の1つでもあります。

本記事では「時間経過コマ」という構成について、個人的にお気に入りな例を紹介していきたいと思います。

「時間経過コマ」の具体例

第7話 魂の眠る地

第7話では、フリーレン一行とアイゼンが出会ってから、フォル盆地のどこかにあるフランメの著書を見つけるまでに、以下の「時間経過コマ」があります。

フランメの著書を探す際の時間経過を表現している 第1巻178ページ

個人的に好きなポイントは2つあります。

1つ目は、焚き火の前で葡萄を食べているシーンです。

話は戻りますが、第3話にて、甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法を、旅の道中で手に入れたことが描かれています。

また第4話にて、アイゼンは葡萄が好きで、酸っぱいほどいいとの発言がありました。

このことから、今後アイゼンへ上記の魔法を使うだろうことが推察できますが、それが第7話の「時間経過コマ」にて描かれており、無事伏線回収できました。

甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法の登場シーン 第1巻80ページ
アイゼンは酸っぱい葡萄が好き 第1巻123ページ

2つ目は、フリーレンとアイゼンの寝相がめちゃくちゃ悪いシーンです。

フリーレンの寝相が悪いことは、この話以前にも描かれていましたが、アイゼンも寝相が悪いことが、この話で判明しました。

また、第78話に登場する、勇者一行の他愛のない日常の回想シーンにて、上記と同様に2人の寝相が悪いことが描かれていました

フリーレンと同じエルフであるクラフトは、そんなに寝相が悪くなかったので、種族というよりかは、2人の個性だと思われます。

フリーレンとアイゼンはめちゃめちゃ寝相が悪い 第9巻17ページ
クラフトは普通の寝相 第4巻129ページ

第28話 僧侶と後悔

第28話では、フリーレン一行がザインを仲間に勧誘する様子が、「時間経過コマ」として描かれていました。

フリーレン一行がザインを勧誘する様子 第4巻6ページ
フリーレン一行がザインを勧誘する期間にあった、収穫祭の様子 第4巻7ページ

個人的に好きなポイントは3つあります。

1つ目は、シュタルクとザインが森の前で並んで座っているシーンです。

何をしているかは明確ではありませんが、シュタルクが草を持っているのと、後にザインが草刈りについて言及しているシーンがあるので、2人で草刈りをしていたと推察されます。

あと細かいですが、フリーレンが草むらに突っ込んでいるのも可愛いです。

小さい鎌で草刈りしようとしていたザイン 第4巻10ページ

2つ目は、シュタルクとザインが身包みを剥がされているシーンです。

これは第27話でも描かれており、その時と同様にポーカーで負けたのだと考えられます。フェルンの冷たい目も面白いです。

シュタルクの身包みが剥がされている 第3巻193ページ
ザインの身包みも剥がされている 第3巻193ページ

3つ目は、村の真ん中に収穫された食料が山積みにされているシーンです。

第27話にて、フリーレン一行とザインが初対面した際に、村が収穫祭の準備で忙しいことが言及されており、おそらく上記のシーンは収穫祭の様子を描いていると考えられます。ちょっとした伏線回収ですね。

村は収穫祭の準備で忙しい 第3巻183ページ

第49話 迷宮と魔導具

第49話では、フリーレン一行が迷宮を攻略している様子が、「時間経過コマ」として描かれていました。

ほとんどの「時間経過コマ」はセリフ無しで描かれていますが、この例はセリフがあります。

ただ、テンポよく進行しているので、「時間経過コマ」に分類しています。

フリーレン一行が迷宮を攻略している様子 第6巻28ページ

個人的に好きなポイントは3つあります。

1つ目は、ガーゴイルに対処するシーンです。

フリーレン一行は動き出す前に倒すようにしていますが、デンケン一行はガーゴイルに気付かれた上で対処しているので、フリーレンの迷宮上級者っぷりが良く描かれています

デンケン一行はガーゴイルに気付かれた 第6巻23ページ

2つ目は、フリーレンが正規ルートに気付いて引き返すシーンです。

魔王討伐の時代での、ヒンメルの迷宮攻略の考え方を受け継いでいますが、フェルンはその考え方に納得していないみたいなので、継承はここで途絶えそうですね。

ヒンメルの迷宮攻略の考え方 第6巻14ページ

3つ目は、ミミックに引っ掛かったフリーレンを、フェルンが助けるシーンです。

ミミックからの引き抜き方は、その直前のシーンに登場しているので、おそらく2回目の実践シーンだと思われます。

もうフェルンは手慣れた感じがあるように思います。

第6巻27ページ

上記に関連して、ミミックに引っ掛かったシーンや、草むらに突っ込んでいるシーンを、総称して「頭隠して尻隠さず」と呼び、それをまとめた記事がありますので、時間があれば御一読ください。


まとめ

漫画「葬送のフリーレン」では、「時間経過コマ」という構成が繰り返し登場します。独特のリズムの形成に貢献したり、ちょっとした伏線回収を表現したりする役割があります。上記で紹介した具体例の他にも、たくさん「時間経過コマ」は登場しますので、読み返す際には多少それに注目してみると楽しいかと思います。


長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。






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