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【葬送のフリーレン】構成のリフレイン:数珠つなぎ①

漫画「葬送のフリーレン」には、様々なリフレイン(繰り返し)が組み込まれています。それらを意識しながら読み進めるのも、この漫画の一つの楽しみだと考えています。リフレインの種類についての概要はリンクを参照して頂き、以下では具体例について紹介します。

対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。


本記事で紹介するのは、構成のリフレインの「数珠つなぎ」です。

「数珠つなぎ」とは

漫画「葬送のフリーレン」では、ある言葉・場面に対して、それと関連するものが一話後の話に登場していることが度々あります。

葬送のフリーレンは1話完結のストーリーが多いので、それらを多少関連付けるために、そういう言葉・場面を入れているのでしょう。

私はそれを「数珠つなぎ」と呼んでいます。

本記事では「数珠つなぎ」という構成について、具体例を紹介していきたいと思います。

「数珠つなぎ」の具体例

第1話⇒第2話

死ぬのが怖くないの?

・第1話
ヒンメルの葬式後、他の勇者一行が別れる際に、ハイターがこれで最後になるとの発言をします。長年の酒が祟ったのが原因らしく、フリーレンはハイターに「・・・ハイターは死ぬのが怖くないの?」と尋ねます。ハイターは直接怖くないとは言いませんでしたが、死後は天国で贅沢三昧できると言い、怖がっている様子は見せませんでした。

・第2話
ハイターの予想とは異なり、フリーレンとハイターは20年後に再会します。途中の流れは省略しますが、ハイターはフリーレンに、死者の蘇生や不死の魔法が記されているとされる魔導書の解読を依頼します。その依頼に違和感を持ったフリーレンは、「死ぬのが怖くないんじゃなかったの?」とハイターに尋ねます。するとハイターは、前より死ぬのが怖くなったことを告げます。フェルンという守るべき存在ができたからだと思われます。

このように、第1話での質問とほぼ同じ言葉を、第2話でもしています。ただそれに対するハイターの返答が全く逆のものになっているので、この質問によりハイターの状況が以前と変化していることが分かります。
繰り返すようですが、上記の例のように話同士を関連付けている構成を「数珠つなぎ」と呼んでいます。

第2話⇒第3話

ほどほどでございます

・第2話
色々あって、ハイターの依頼でフリーレンは、フェルンの魔法の修行を手伝うことになりました。修行を始める前に、フリーレンはフェルンに魔法は好きか尋ねました。するとフェルンは「ほどほどでございます」と返答し、それに対しフリーレンは私と同じだと呼応しました。

・第3話
上記の出来事から6年後に、フリーレンとフェルンは一緒に旅に出ました。旅の途中でフリーレンは変な魔法ばかり集めており、フェルンはフリーレンに対して本当に魔法が好きですねと言いました。するとフリーレンは「ほどほどだよ。フェルンと同じで。」と返答しました。ただフェルンはフリーレンとは少し違うと反論しました。旅で一緒に過ごすうちに、フリーレンは魔法を集める趣味に異常にこだわっていると、フェルンは感じたのでしょう。

質問者は異なっていますが、フリーレンとフェルンの魔法に対する距離感を測る質問が、両方の話で登場しています。第2話での質問ではフリーレンとフェルンも出会ってすぐだったので、特に返答に対して違和感が無かったと思いますが、付き合いが長くなってきたこともあり、第3話ではフェルンが返答に対して違和感を感じました。同じ質問ではありますが、返答が異なることで、時の流れを感じることができます。

第3話⇒第4話

ここでは2つの「数珠つなぎ」があります。

蝶々

・第3話

本当に見つけてしまうだなんて・・・
これで蒼月草の魔法が作れるよ。
なんでそんなに魔法に一生懸命に・・・理解できません。
わかるはずだよ。フェルンだって魔法使いになることを諦めなかった。
それは違います。私は一人で生きていける力さえ手に入ればなんでも良かったのです。別に魔法じゃなくたって・・・
でも魔法を選んだ。
・・・そうですね。

フェルン・フリーレン、第1巻107ページ

フェルンはフリーレンの魔法に対する執着を理解できませんでしたが、上記の会話を通じて、ハイターに魔法を教えてもらっていた頃を思い出し、フリーレンの気持ちを少し理解します。フェルンはハイターに、蝶々を出す魔法のようなものを教わったことが、下の絵から分かります。

ハイターに教えてもらった蝶々の魔法 第1巻108ページ

・第4話
色々あって、フリーレンはフェルンに誕生日プレゼントを贈りました。それは蝶々をモチーフとした髪飾りでした。

蝶々をモチーフとした誕生日プレゼント 第1話125ページ

多少形は違いますが、両方の話で蝶々が登場しました。第3話で出てきた蝶々は、フェルンの回想であるため、直接フリーレンに共有された出来事ではありません。つまりフリーレンが誕生日プレゼントに蝶々のモチーフを選んだのが、偶然だったのか必然だったのかは、はっきりしませんでした。

ただ後のエピソードにて、ハイターがフリーレンに、フェルンの好みを話していたことが分かったので、それが影響して蝶々のモチーフを選んだ可能性が高いと思われます。

私は凄くない。凄いのはハイターなんだ。ことあるごとにハイターはフェルンの好みを話していたからね。ハイターは私にフェルンの親代わりになることを望んでいたみたいだけれども、私は結局あの子の好きな物をほとんど見つけられなかった。

フリーレン、第7巻164~165ページ

酸っぱい葡萄

・第3話
話の最初の方にて、旅の途中で報酬として貰った民間魔法の話があり、その中に甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法がありました。

・第4話
話の途中に出てくる勇者一行の回想シーンにて、アイゼンの好物が葡萄で、酸っぱいほどいいとの発言がありました。

両方の話で、酸っぱい葡萄についての話題がありました。この関連性から、後に魔法を使って、アイゼンに酸っぱい葡萄を食べさせるだろうことが示唆されますが、実際にアイゼンとフリーレンが再会した時に、その魔法を使っている様子が描かれていました。

甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法を使用している場面 第1話178ページ


長くなりましたので、その他の「数珠つなぎ」の例については、以下記事にてまとめました。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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