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【アニメ感想】宇宙よりも遠い場所 第5話:めぐっちゃんと悪意について

再放送ではありますが、1月6日からアニメ『宇宙よりも遠い場所』が、Eテレにて放送しています。

昨日の2月3日はちょうど、第5話の放送があった日です。

非常に有名な作品で、noteでも感想はたくさんあるので、蛇足になるかもしれませんが、第5話だけは個人的に記事にしようかなと考えています。

というのも、第5話は人間の「悪意」がテーマの1つとなっており、それは私が普段注目している『葬送のフリーレン』という作品にも通じるものがあるからです。

本記事では、アニメ『宇宙よりも遠い場所』第5話に登場する、高橋めぐみ(めぐっちゃん)の心情変化を通じて、人間の「悪意」について考察したいと思います。


本記事の内容とは関係ありませんが、『葬送のフリーレン』と『宇宙よりも遠い場所』の共通点をまとめた記事を、過去に投稿しましたので、興味のある方は御一読ください。



第5話あらすじ

まず、本記事のテーマに関係する部分に絞って、あらすじを簡単に整理します。


南極観測隊への同行に向けて、学校への挨拶や荷物の整理など、着々とキマリ達が準備を進める中、南極出発の前日にめぐっちゃんから、キマリ達の悪い噂を聞きます

その噂を聞いた報瀬は激怒しますが、日向は「悪意に悪意で向き合うな」と諭され、モヤモヤした気持ちを解消するために、キマリ達はカラオケへ行きます。

その帰りにめぐっちゃんは、キマリが南極へ行きたい本当の理由が、めぐっちゃんから自立したいからだということを知ります。

そして出発当日、キマリが家を出てすぐに、待ち受けていためぐっちゃんは、今までの妨害行為はすべて自分が起こしており、それは自分がキマリとの関係に依存していたからだと告白します。

その告白により、めぐっちゃんはキマリとの絶交を宣言しますが、キマリは絶交を無効とし、南極へと出発しました。


悪意の条件

上記のあらすじの中で、めぐっちゃんは「悪意」をもった行動をしていたのでしょうか

ここで「悪意」について、Wikiには以下のような説明があります。

日常用語としての悪意(あくい)とは、相手にとって害のあることを理解した上で行動すること、他人や物事に対していだく悪い感情、または見方のことである。また、相手のよくない結果を望む、心の中に生じる意思を意味する。対義語の善意は、相手に良い結果を導こうとして行為を行う気持ちを指す。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E6%84%8F

この説明から、自分が相手に対して、害がある行動をしていると認識することで、「悪意」が生じることがわかります。

また、相手に害がある行動であると認識するためには、その行動の利害の基準を持っている必要があります

上記をまとめると、利害の基準 → 害の認識 → 悪意という順番で、「悪意」が生じると言えます。


めぐっちゃんの利害の基準

めぐっちゃんの行動の利害を理解するためには、3つの観点を考える必要があります。

①自分の利害か、相手の利害か
②意識的な利害か、無意識的な利害か
③短期的な利害か、長期的な利害か

まず、めぐっちゃんがキマリ達の悪い噂を流したりなど、南極出発を妨害する行動をしたことは、単純に「悪意」のある行動とは言えません

というのも、③の観点で言うと、短期的にはキマリが南極を目指さなくなって残念、という害が発生しますが、長期的にはキマリが大きな失敗をしなくなるという利益がある、とめぐっちゃんは考えていたからです。

つまりめぐっちゃんは、妨害行為は総合的に見て、善意の利他的なものだと信じていた可能性があります。(特に作品の序盤の方は)

ただ、キマリが着々と南極出発への準備を進め、報瀬などの同行者との時間が増えていく中で、徐々に自分の行動が長期的に見ても、キマリの害になっていることに気づいていきます。

②の観点で言うと、最初は無意識だったキマリの利害が、徐々に意識されるようになったと言えます。

そして最後に、南極出発前日でのキマリとの会話で、今まで行っていた自分の行動が、実はキマリに対して優位な立場で居続けたいという、自分の利益のための行動だと気づきます。

つまり①の観点で言うと、自分の行動が利他的なものではなく、実は利己的な目的で行われていたと言えます。


上記をまとめると、最初は善意で利他的な行動をしているつもりだっためぐっちゃんですが、最終的には「悪意」のある利己的な行動だったと気づいたのでした。


自分の悪意に気づくのは意外に難しい

作品の視聴者的には、めぐっちゃんの行動は「悪意」のある行動だとすぐにわかりますが、上記に示した①②③の観点で、利害の基準が複雑化すると、意外とその「悪意」に気づくのは難しいのかもしれません。

『葬送のフリーレン』でも、自分の行動の「悪意」に気づかない存在が登場しますが、人間とは異なる存在なので、その気づくプロセスはもっと複雑かもしれません。

『葬送のフリーレン』の「悪意」については、別の記事にてまとめていきたいと思います。


まとめ

アニメ『宇宙よりも遠い場所』第5話に登場する、高橋めぐみ(めぐっちゃん)の心情変化を通じて、人間の「悪意」について考察しました。

正直もっとキレイにまとめたかったですが、散らかった感じになってしまいました(笑)

『葬送のフリーレン』の「悪意」についての記事は、もっとまとまった感じにします。


長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。


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