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【葬送のフリーレン】構成のリフレイン:数珠つなぎ②

漫画「葬送のフリーレン」には、様々なリフレイン(繰り返し)が組み込まれています。それらを意識しながら読み進めるのも、この漫画の一つの楽しみだと考えています。リフレインの種類についての概要はリンクを参照して頂き、以下では具体例について紹介します。

対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。


本記事で紹介するのは、構成のリフレインの「数珠つなぎ」です。

本記事は、以下の記事の続きになります。


「数珠つなぎ」とは

漫画「葬送のフリーレン」では、ある言葉・場面に対して、それと関連するものが一話後の話に登場していることが度々あります。

葬送のフリーレンは1話完結のストーリーが多いので、それらを多少関連付けるために、そういう言葉・場面を入れているのでしょう。

私はそれを「数珠つなぎ」と呼んでいます

本記事では「数珠つなぎ」という構成について、具体例を紹介していきたいと思います。

「数珠つなぎ」の具体例

第4話⇒第5話

旅の目的

・第4話

この話の終盤に、フェルンがフリーレンに、旅の目的について尋ねました。

それに対しフリーレンは、魔法収集の趣味の旅であることと、ヒンメル達との冒険の痕跡を辿る旅だと答えました。

フリーレンの旅の目的 第1巻127ページ

・第5話

前の話で旅の目的を聞いたフェルンは、目的の村に着いた際に、また変な魔法を収集するのか、とフリーレンに尋ねました。

しかしフリーレンは、今回は違うと答えました。

実際はその村の近くに、クヴァールの封印場所があり、その封印が近いうちに解けるため、クヴァールの討伐をしに来た、というのが目的でした。

前の話でフリーレンが別の意味で言った、風化する前にね、という言葉が、今回の目的と少し関連しています。

フェルンが想定していた目的とは違っていた 第1巻134ページ

このように、両方の話にて、旅の目的についての会話が行われています。

ただ第4話でのフリーレンの返答が先入観になって、第5話にてフェルンは旅の目的の予想を外してしまいました。

繰り返すようですが、上記の例のように話同士を関連付けている構成を「数珠つなぎ」と呼んでいます

第5話⇒第6話

魔法史の勉強

・第5話

この話の冒頭では、フリーレンとフェルンが、現代にて使われている攻撃魔法や防御魔法の実践訓練を行います。

訓練の後に、フェルンは防御魔法の強力さについて疑問を持ちますが、それに対してフリーレンは、フェルンが魔法史の本を読んでいないであろうことを指摘します。

フェルンは魔法史の勉強をしていない 第1巻133ページ

・第6話

この話で訪れた村にて、フリーレンは大魔法使いフランメの著書を報酬として、海岸の清掃の依頼を引き受けます。

依頼主が去った後にフェルンは、フランメの著書は偽物だと指摘します。

それに対してフリーレンは、言われた通り勉強しているね、とフェルンを褒めた後に、著書が偽物であると認めます。

この勉強というのは、前の話で出てきた、魔法史の勉強のことを指していると考えられます。

フェルンは魔法史の勉強をしてきた 第1巻152ページ

このように、両方の話で魔法史の話題が登場します。

第5話では、フェルンは魔法史の勉強をしていませんでしたが、第6話では、しっかり勉強をしてきたところが、「数珠つなぎ」の構成です。

第6話⇒第7話

大魔法使いフランメの著書

・第6話

先述したようにフリーレンは、大魔法使いフランメの著書に本物無し、という定説を認めていました

・第7話

この話では、フリーレンはアイゼンと再会し、何か手伝えることはないか、とアイゼンに伝えました。

それを受けてアイゼンは、大魔法使いフランメの手記を探してほしいと依頼しました。

それがフォル盆地のどこかにあることは、ハイターが事前に調べて割り出していました。

最終的にはその手記を探し当て、フェルンが本物かどうかフリーレンに尋ねると、本物だよと答えました

本物のフランメの著書は存在した 第1巻183ページ

このように、両方の話でフランメの著書の話題が登場します。

第6話では、著書に本物は無いとの定説を、フリーレンは認めていましたが、第7話にて、例外が示されたところが、「数珠つなぎ」の構成です。

まとめ

漫画「葬送のフリーレン」では、「数珠つなぎ」という構成が繰り返し登場します。

話同士に関連性を持たせ、一つのストーリーの流れを感じるのに役立つと考えています。

上記で紹介した具体例の他にも、たくさん「数珠つなぎ」は登場しますので、読み返す際には多少それに注目してみると楽しいかと思います。


長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。


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