【葬送のフリーレン】言葉・場面のリフレイン:想いは言葉にしないと伝わらない
漫画「葬送のフリーレン」には、様々なリフレイン(繰り返し)が組み込まれています。
それらを意識しながら読み進めるのも、この漫画の一つの楽しみだと考えています。
リフレインの種類についての概要はリンクを参照して頂き、以下では具体例について紹介します。
対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。
本記事で紹介するのは、言葉・場面のリフレインの「想いは言葉にしないと伝わらない」です。
「想いは言葉にしないと伝わらない」について
漫画「葬送のフリーレン」では、言葉で伝えるのが苦手な登場人物が多いので、何度も認識ギャップが生まれます。
そういう状況に誰かが気づき、「想いは言葉にしないと伝わらない」と伝えたり、それに類似した言葉を伝えることで、その状況を解決へと導きます。
本記事では、上記の状況が発生する場面と、それをどのように解決したかの具体例を紹介したいと思います。
「想いは言葉にしないと伝わらない」の具体例
第3話 蒼月草
この話では、フリーレンとフェルンの間に、認識ギャップが発生します。
この頃は旅が始まってすぐであり、フリーレンに本音を伝える仲までには至っていなかった時期です。
その中で、頑なに蒼月草を探そうとするフリーレンに対し、フェルンが不満を持ち、そのことを薬草家のおばあさんに相談します。
その際に、おばあさんから「想いを素直に伝えればわかってくれる」と背中を押され、フェルンはフリーレンに本音を伝えることとなり、結果認識ギャップはある程度解消されました。
何気ない出来事ですが、個人的には重要な場面だと思っていて、このまま本音を伝えられないままだと、最悪の場合フェルンが旅から離脱していた可能性もあります。
実際には、フェルンはバリバリに本音を伝えられるようになり、以下の場面のようにフリーレンの行動を変えるほどまで、主張を通すことができるようになりました。
第7話 魂の眠る地
この話では、フリーレンとヒンメルの間に、認識ギャップがあることがわかります。
フリーレンはヒンメルの葬儀の際に、ヒンメルを知っておけばよかったと口にしました。
アイゼンはそのことについて、可哀相だと思い、知っておけばよかったという言葉を、ヒンメルに直接伝えるように提案します。
直接伝えるといっても、魂の眠る地にいると思われる、ヒンメルの魂に会って伝えるというもので、それが認識ギャップの解消に繋がるかどうかは、今後に期待したいです。
第26話 戦士への贈り物
この話では、シュタルクとアイゼンの間に、認識ギャップがあることがわかります。
シュタルクはフリーレンから、誕生日プレゼントとして馬鹿みたいにでかいハンバーグを貰います。
シュタルクはそれを見て、理由はわからないが、師匠のアイゼンもハンバーグを作ってくれたことを思い出します。
それを聞いたフリーレンは、「想いっていうのは言葉にしないと伝わらないのに」と言い、アイゼンから聞いたハンバーグの意味を、シュタルクに伝えます。
それは、精一杯頑張った戦士を労うための贈り物とのことでした。
この話の面白いところは、シュタルクとシュタルクの兄(シュトルツ)にも、認識ギャップがあったところです。
シュタルクは故郷の村で、魔物と一度も戦えていないことに対して、失敗作とのレッテルを貼られており、村に居場所がないと感じていました。
ただ兄のシュトルツだけは、剣技の稽古を見守ってくれていて、誕生日にハンバーグを贈ってくれていました。
つまりシュトルツは、シュタルクが精一杯頑張っている戦士であることを認めており、そのことをシュタルクは今になってようやく気付くのでした。
戦士というのは、言葉で伝えるのが苦手なようですね。
第29話 理想の大人
この話では、フェルンとシュタルクの間に、認識ギャップが発生します。
この日はフェルンの誕生日でしたが、シュタルクがプレゼントを用意していなかったことに対して、フェルンが怒ってしまいます。
シュタルクも、フェルンがきつく当たったことに対して、部屋から出ていきます。
フェルンはフリーレンの助言で、シュタルクを追いかけますが、話しかけることができず、帰り道に商店の前に居たザインに声を掛けます。
ザインはフェルンとの会話の中で、以前にフェルンがシュタルクの誕生日プレゼントを、一緒に選んだ思い出を、フェルンが大切にしていることを察し、仲直りして一緒にプレゼントを選ぶよう諭します。
最終的に、ザインの助言通りフェルンとシュタルクは仲直りし、一緒にプレゼントを選ぶこととなりました。
ザインが言った「想いってのは言葉にしないと伝わらないんだぜ」という言葉は、以前自身が兄へ想いを伝えてこなかった後悔からきており、フェルンとシュタルクにはそれは避けて欲しいとの想いがあったのでしょう。
第60話 旅立ちと別れ
この話では、ゼーリエとその弟子のレルネンの間に、認識ギャップがあることがわかります。
ゼーリエは多くの弟子を取っていますが、歴史に名を残したのはフランメのみだと、レルネンは言います。
悠久の時を生きるゼーリエがフランメ以外の弟子のことを忘れ、未来で孤独になることを想い、レルネンはたとえ悪名であろうと名を残すために、フリーレンに攻撃を仕掛けます。
フリーレンはその行動を見て、ゼーリエが素直に気持ちを伝えられない、子供みたいな人だと言い、ゼーリエが以前言っていたことを伝えます。
ゼーリエは普段弟子に対して、やはり弟子は取るものではない、などの厳しい言葉を伝えますが、ゼーリエはそんな弟子であっても、取ったことに後悔はなく、一人一人の性格も好きな魔法も鮮明に思い出せるとのことでした。
数千年以上生きていても、不器用さは直らないみたいですね。
おまけ
上記で紹介したのは、想いを伝えなかった例ですが、以下はオルデン卿が息子のムートに、君は努力家であるとの想いを伝えすぎた例であり、その結果息子は調子に乗って、剣術がなかなか上達しなくなりました。
想いを伝えすぎるのも良くないですね。
「想いは言葉にしないと伝わらない」まとめ
上記の具体例全体を通じて、旅の後半になるにつれて、フリーレンが他者の関係の不器用さに気付く場面が増えていることがわかります。
それは元を辿れば、ヒンメルとの関係性について、もっと言葉で想いを伝えればよかったという後悔が、その原動力としてあると考えられます。
その後悔をきっかけとして、フリーレンが他者の感情の機微を感じ取ることができるようになってきたことに、なんだか感慨深いものを感じます。
まとめ
本記事では、葬送のフリーレンに繰り返し登場する、「想いは言葉にしないと伝わらない」場面について紹介しました。
他にも繰り返し登場する言葉・場面があると思いますので、今後まとめていきたいと思います。
長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
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