ただ友達について行っただけなのに
初めに。どんな宗教でも信仰している事が悪いという訳ではありません。
これから書く内容はそういった類の話です。
高校一年の冬。
仲の良い友達に遊びに誘われた。
学校近くのロッテリアで
お昼過ぎに待ち合わせ。
中学時代、イジメを受けていた私は
友達と遊べる事に浮かれていた。
「お待たせ〜!」
見慣れた友人の顔と
どう考えても同年代でない女の人。
「え、と。…誰?」
私の問いかけに彼女は
「あぁ、知り合いのお姉さん」
「宜しくね〜、いつも仲良くしてくれてありがとう!」
底抜けに明るいテンションに
「はあ…」
としか答えられなかった。
しばらく談笑していたが、楽しいのは二人だけで私は楽しくなかった。
「私、帰るよ」
そう立ち上がった時
「ねぇ、これから違う所に遊びに行かない?車あるから」
女の人が笑みを浮かべながら言った。
その笑いが薄気味悪くて
「いや、知らない人の車に乗らないって決めてるんで」
そう言い残して帰ろうとしたら
友達がテーブルに置いてあった私の
PHS(昔の携帯)を取り上げた。
「何してるの。返して」
「付き合ってくれるなら返してあげる」
今まで見た事ない不気味な笑顔。
親から買ってもらったPHSを取られる事に恐怖を覚え 首を縦に振るしかなかった。
それから
車で連れていかれたのは雑居ビル。
部屋に通されると何が書いてあるのか分からない掛け軸の前で正座をさせられ
数珠と何やら教本を持たされ
「とりあえず読む真似しといて」
訳のわからない教本を読む行為を
1時間ほど付き合わされた。
これが後の『冨士大石寺顕正会』だ。
よく、駅前で富士山の写真がプリントされた新聞を配っているカルト宗教の一つ。
【お祈りすれば何でも願いが叶う。素晴らしい宗教】が謳い文句。
毎日朝夕5時に富士山の方角に向かって教本を唱えるだけ。
彼女は意味不明な儀式の後
興奮しながら私に言った。
あの儀式を受けると、信者として認められるのだとか。
私の事を【同じ志を持った同士】だと
かなり高めのテンションで話しかけてきて、当時の私は気持ち悪さを覚えた。
私はまだ、よかった方で
他の同級生は雑居ビルに行くのを断ると
無理やり連れていかれたり
到着した先で教本を唱えるのを拒否すると夜遅くまで帰してもらえず
帰してもらえても翌日
自宅前に待ち伏せされる同級生もいた。
しかし、その方法ではうまくいかない事が分かると
土曜日に待ち合わせを行い
教本を読ませる迄泊まり込ませる
やり方へ変えた。
私はよく分からず、渡された数珠と
教本を次のゴミの日に捨てた。
彼女とは距離を取る様になり
私は悪い事に巻き込まれた事実を
忘れる事にした。
しかし、この宗教。
迷惑なのはここからだった。
彼女は勧誘のやり方が犯罪紛いだった為
高校を辞め、私達も変な宗教に
連れていかれた事を忘れつつあった。
高校二年の秋。
この宗教の信者が私達の高校へ
頻繁にやってくる様になった。
理由は『集会の出席』そして
『献金』を募る為。
車で拉致された子や、
脅迫され親に内緒で献金を払ってしまった子もいた為、学校で騒ぎになった。
退会申立てをしに行ったが
「貴方がたは進んでこの場所に来たので
退会の申立ては受け付けません」
と門前払いを受けた。
私達に出来る事は、あの宗教から
逃げる事だけだった。
ちなみに、社会人になっても付き纏いはあり、その度に警察に相談する事になっていた。
終わりを迎えたのは父が死んで数日。
焼香に来たと言って例の彼女が
私を訪ねて来た。
最初は良かった。
半刻過ぎると私を誘い込んだ彼女は
『お祈りすると、何でも叶うんだよ!』
そう私に繰り返した。
父を亡くし、悲しみに暮れていた私を訪問してくるなり『集会の出席』『お祈り』『願いが叶う』を繰り返す彼女。
私を心配して来た訳じゃ無い。
その事に私も、相当頭にきていたので
彼女と決別するつもりで
レコーダーの録音わ始め、口を開いた。
(ここから先は、会話した内容
原文ママ書き起こしたものです)
「じゃあ、病気も治るの?」
『そうだよ!また、集会に行けば治るよ!』
「〇〇ちゃんは風邪ひいたら、お祈りして治すんだ?」
『え?普通に病院行くか風邪薬飲むよ』
「お祈りで治さないの?」
『お祈りしてる間辛いの嫌だから』
「それってさ、お祈りじゃあ治らない事分かってるよね?」
『い、いや…お祈りもするから治るんだよ』
「ふうん。何でも叶うんだよね?」
『勿論。ちゃんと集会来れば』
「じゃあ、億万長者にして下さいってお祈りしたら叶うんだよね?絶対」
『それは…。無理じゃないかなぁ。欲深いお願いは叶わないんだよ』
「何でも叶わないじゃない。嘘なんでしょ?」
『…。い、いや…』
「貴方は何でも叶うって私に言ったよね。何でもって事は欲深いお願いも叶えてくれるって事じゃないの?」
『…それ以外の事なら叶うよ』
「じゃあ、死んだ父を生き返らせる事も可能なんだね?」
『え…それは無理だよ!』
「やっぱり何でも叶わないじゃない。貴方が私に近づいて来たのは、父の遺産で献金してもらいたかったからじゃないの?」
『…。』
「沈黙は肯定って事だよね。ハッキリ言っておく。私は貴方に騙されて冨士大石寺顕正会に入った。付き纏いもされ会社をクビになった事も有った。自分の時間を理解できない集会に奪われた。どれだけ苦痛だったか分かる?分からないでしょう?」
『…』
「貴方にとって素晴らしい事でも、押し付ける様な行動や勧誘は間違ってると思う。冨士大石寺顕正会は私にとって害をなす宗教としか受け止められないし、それを信仰している貴方も害をなす者として今後軽蔑して生きます。…お帰り下さい、今すぐ。香典もお返しします」
(グチャッ!香典袋を握り締める音)
『私に向かって…そんな態度を取ると一年以内に死ぬからね。日蓮聖人様は私の味方だから。いいのね?』
「フッ…こんな事で人を殺すなら、どれだけ心の狭い方なんだろうと誉めてあげます。殺せるものなら殺せばいい。その代わり冨士大石寺顕正会が私の死に関わりがある証拠がある事を忘れないで下さいね」
(バンッ!玄関扉の音)
あれから18年過ぎましたが
私は未だにピンピンしてます。笑笑
今はさいたま市大宮区に
立派な本部を築いた冨士大石寺顕正会。
何も知らない人達を誘い込む為
毎日、駅前で新聞を配って
手ぐすねを引いている連中だ。
新聞を受け取ってしまったら最後。
しつこく話かけられ
気がついたら数人の信者に取り囲まれ
車に乗せられ拉致されます。
最初は信じられないと思っている
思考能力を洗脳によって鈍らせ
いつしか、ハマってしまっている…。
意味のない事をずっとやらされ
意味のない物を崇める事になる。
そういう宗教です。
仏教でもないし、幸せにもならない。
勧誘ノルマもあるらしいので
一度ターゲットになってしまったら
ずーっと付き纏われます。
街中の新聞配りだけではなく
あまり接点がない人なのに、
休日に遊びに行こうとか誘われたら
それは冨士大石寺顕正会を含めた
カルト宗教の勧誘かも知れません。
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