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請求する?しない?

娘が中学校に在学中は、養育費を請求しようとは思わなかった。
何故なら、娘が不登校になっていて(これで2回目)その対応に
追われていたからだ。

それどころじゃなかったと言った方が正解かもしれない。
それ以外にも、踏み切れなかったのには理由がある。
法改正があって、請求しやすくなったというのにだ。


今までは自分で裁判所に行って、養育費の請求を行わなくてはいけなかった。
それが、令和2年の法改正で風向きが変わった。

2020年(令和2年)4月1日。改正民事執行法が改正。
今まで養育費の未払いに対して、滞納している相手に対して差し押さえを容易に行えるようになった。

その前の月。2020年3月までの民事執行法では、養育費の支払い滞納をしている相手側の財産を特定しないと強制執行はできなかった。
私が、以前諦めていたのも財産把握をすることがかなり難しいからだった。

改正された民事執行法では、相手の財産把握をするために「財産開示手続き」の他に「第三者からの情報取得手続き」が設けられたからだ。

つまり、養育費の請求代理会社を使って取り立てができるようになったという事。

養育費の滞納(養育費未払い)があった場合には、強制執行によって相手の財産を差し押さえて、強制的に回収することが可能になった。

その改正法を聞いた時。私も娘も請求する気なんてサラサラなかった。
なんでしょうね。
養育費を受け取る義務が娘にあることは、理解できていたんだけど。
ヤツの金を受け取る事が汚い金を受け取るようで。
どうしても、請求に踏み出せなかった。

あと、ちょうどこの年。
改正法の発表に合わせて、とある有名人が養育費回収会社を立ち上げた。
その会社の内容が、【回収にかかる料金も頂きます】という文言に
『お金が足りなくて困っている人間から金とるの?億単位の収入があってSNSで金持ちアピールしてるのに、その金を弱い人間に使わないんだ?』
という金持ちに対しての嫉妬も絡み、素直に受け止められなかったからだ。

そもそもその方がやっていた、バラマキに対しても良い感情を持っていなくて
『金持ってんだぜ!ほらほら欲しいだろ、ハイエナども!』
と言っているようにしか聞こえなかったから。

その会社だけが、回収できるわけじゃなかったし、その方だってその方なりに弱い立場の人達を救うために必死で動いていたのも事実なのに。

嫉妬とは、本当に恐ろしい。

まあ、そんな話はさておき。
そんな凝り固まった考えを破壊する出来事が起きて
養育費の請求に踏み切ることになった。

その出来事とは、中学校でいじめに遭い不登校になっていた
娘が「高校に行きたい」と言ってくれた。
しかし…不登校児で学校の学習にもかなりの遅れが生じているこの子を
面倒見てくれる高校が果たしてあるのだろうか…?

それでも、希望を叶えてあげたかったので、先生と受け入れてくれる学校を探した。
その中で、公立高校はやはり出席日数の関係と持病が悪化した時の対応が
難しいとの理由で受け入れ先が見つからなかった。

となると。
残された道は私立高校しかなかった。
この私立高校に行くことも、茨の道だった。

私はこの時、事故によって左足に麻痺が残ってしまった。
今までのように働くことが出来なくなり、生活費もよりカツカツ。
月収16万程度しかなく、収入が少ないため教育ローンも組めない。
高等学校授業料無料の制度(高等学校就学支援金)も使っていたとしても
かなりの金額が残り、請求がのしかかる。

飛鳥未来きずな高等学校なら、国の奨学金をうまく利用すれば入学時の持ち出しが少なくて支払いもできると思い志望することになった。

体験入学も何回も参加して、あとは入試と支払いのハードルを超えれば
高校生になれると思っていた矢先。

国の奨学金が断られた通知が私たちの元に届いた。

届いた時は12月。
受験まで残された期間が少ない状態で、絶望に落とされた。
娘も高校に通うことを楽しみにしていたのに。

奨学金が断られた事を娘に伝え、希望している高校には入学できない事も伝えた。
娘は…泣く事もなく。ただ静かに「わかった」と言って、その後
「私、アルバイトして家計を支えるよ!」と明るく言ってくれた。

本当に申し訳なくて。
なんで、私の元に生まれてきてしまったのか。
娘は親ガチャを失敗してしまったんだと、数日泣いて過ごした。

その時にふと頭をよぎったのは
【あいつが養育費をきちんと支払ってくれていれば…。】だった。
今からでも、請求すれば間に合うだろうか。
いや、そんな簡単に支払うような男ではない。それは一番私が知っている。
娘に申し訳がなくて、死んでしまいたいと思った。
でも、自殺をしても生命保険金が支払われず娘を路頭に迷わすだけなので
なんとか堪えた。

その時に使っていたTwitterにそのことを呟くと
今娘がお世話になっているN・S高等学校に通う生徒さんが声をかけてくれた。

「もしかしたら、うちの学校のネットコースなら通えるかも知れないよ」

すぐにドワンゴ学園にコンタクトをとり、資料請求。
授業料を確認すると、高等学校支援金の先引きを利用することができると
記載があった。
飛鳥未来きずな高等学校は立替払いしかなかったので、驚いたのを覚えてる。
ネットコースだけなら先引きを利用して10万円弱の支払いで済む。
そのくらいなら、貯金で十分賄える。
N・S高等学校に受験をして、無事合格。
晴れて、ネットコースではあるけれど高校生になれた。

しかし、実際に高校に入学した時。
私たちに欲が出てしまった。
入学式に参加できるとメールが来て、実際のキャンパスに行った。
私たちの家から通えるキャンパスの雰囲気の良さ、カリキュラムの魅力。

通学コースも通いたい・通わせたいと思ってしまった。
その時に通学コースに通学するための授業料を確認すると
73万円と記載があった。

この金額は私が逆立ちしても支払える自信がない。

通学は諦めるか…とキャンパスに話をした時
「うちの高校は入学時期は4月だけではありません。入学月前に受験していただいて合格すれば、通学コースにも参加ができます。」
そう案内を受けた。

その時だった。
私と娘があの男に養育費を支払うように請求する事。
私たちに対しての名誉毀損のツケを支払ってもらうことに決めた。


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