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空の鳥を見よ

 年末に良い文章に出会った。写真は友の会の新聞である。「友の会」は、羽仁吉一、もと子夫妻によって1903年に出版された雑誌「婦人之友」(1903年)の読者の集まりから始まった。羽仁もと子は、自由学園の創立者であり、日本における女性ジャーナリストの最初の人である。友の会は、「当時の封建的な社会の中で孤立していた女性たちが婦人之友を通して友情を育み、互いの能力を生かし成長したいと願いました」という意識をもった女性の集まりといえよう(注)。
 写真の文章では「わが心まず人たるの道を求めて」が羽仁の言いたかったことであろう。友の会は家事家計を考えることが大切なことのひとつで、その中には生活を乗り切るための節約という考え方が入ってきて、重要な柱となっている。現代においても物価高は続き、経済格差はあり、私を含め老若男女節約に努めている方も多いだろう。しかし、羽仁は節約ばかりを唱えているのではない。「空を飛ぶ鳥がその生活の安危を思い煩って飛ぶことも歌うことも忘れてしまったら」と言っている。人の本分への苦心と努力を忘れてしまったら、飛ぶこと歌うことを忘れた鳥と同じになるという。人の価値がなくなるという。これは、生活を蔑ろにしろということではなく、生活は生きるための手段であり、節約自体を目的化してはならないという解釈でよいと思う。何が大切なことなのか、それぞれが深く考えることである。この文章に出てくる聖書のマタイによる福音書 6;25ー7;12は、「思い悩むな」「人を裁くな」「求めなさい」であり、多くの人がどこかで一度は聞いたことのある内容だと思う。自らを振りかえり、今後進んでいくのに役立つ文ではなかろうか。
(注)全国友の会について | 全国友の会 (zentomo.jp)

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