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クリプトアート(NFT)の価値・課題・期待など

クリプトアートについて書いた記事が、じわじわと多くの皆様に読んでいただけていて、ありがたい限りです。

この記事を書いてから、クリプトアートにも使われている「NFT」が様々な分野で活用されていること、クリプトアートの価値に対する疑問の声、環境への影響など、様々なことが見えてきたので観測の範囲でまとめました。

そもそもクリプトアートとかNFTってなに?という方は、上記のリンクから私が書いた記事をご覧くださいませ。


アート以外にも使われているNFTの仕組み

NFTはゲームの世界でも使われていて、そのようなジャンルを「ブロックチェーンゲーム」というようです。

ゲームアイテムはNFTとして売買の対象にもなり、NFTのマーケットプレイスOpenseaでも、取り引きされています。日本も今年(2021年)、NFTのマーケットプレイスが始まったそうです。

同じく2021年にSKE48がNFTトレカを発売。デジタルアイテムの価値を保証する仕組みとして、NFTは一般化しつつある様子。


NFT、クリプトアートの価値に対する疑問

前回の記事でも書きましたが、同じデジタルデータがNFTありだと価値がつき、なしだとつかないというのは、なんだかモヤッとします。その価値が何億円にもなれば、なおさらのこと。

wired.jp の記事では、作家の直筆サイン入り初版本に価値があることを引き合いに出しています。確かに有名人のサインが入った物品は高値で取り引きされることもあるし、同じことをデジタルアイテムでやっているのだと言われればそうなのかもしれません。

でもやっぱり疑問が拭えないところがあります。例えば、ツイッターCEOのジャック・ドーシーさんが、自身が行ったツイッターへの最初のツイートにNFTをつけたものが、3億円近い値がついているそうです(引用元の記事公開時点)。ツイートですよ?

デジタルアートの世界でも同じようなことが起こっていて、CGの初心者でも作れる簡単な数秒の動画(クリプトアート)に数万ドルの値が付いていることに対して、無料のCGソフトBlenderのアーティストとして有名なアンドリューさんも理解し難いことをYouTubeでお話されています。同感。


暗号化通貨の環境や産業に対する影響

NFTの基盤になっているブロックチェーンは暗号化通貨を支える技術ですが、暗号化通貨のマイニングには電力が必要で、大規模施設でマイニングを行えば電力消費も莫大。

マイニングによる電力消費は知っていましたが、暗号化通貨の取り引きでもそれなりに電力を使うことは、めおさんの記事を拝見して初めて知りました。

暗号化通貨はディスクへの保存などもできますが、流通しているものは24時間稼働しているクラウドの世界に存在するので電力は必須ですよね。個人で何ができるかは難しいところではありますが、少なくともこのような課題があることは知っておくべきだと感じました。

かつてはモニターに映像や画像を映す役割だったグラフィックボードというパソコンパーツは、現在は負荷の高い計算をCPUに代わって行えるようになっており、処理速度を高めたければ、高性能なグラフィックボードは必須。

ゲーマーやCG(3DCG)クリエイターには欠かせないグラフィックボードは、マイニングにも使われます。需要の高まりからNVIDIAの最新グラフィックボードは、マイニング性能を制限するほどです。

私は今年のはじめにRTX3070というグラフィックボードを約7万円で購入しましたが、その後、同製品の価格は10万円を超え、本記事公開時点では入手困難な状況になっています。


NFTは法改正による規制も注視しておきたい

アメリカは「NFTバブル」のような印象もありますが、暗号化通貨のことで頭をよぎるのが次の記事。

以下、記事からの引用です。

「国税庁が示したルールは、『保有する暗号資産を、他の暗号資産を購入する際の決済に使った場合は、その時点での他の暗号資産の時価(購入価額)と、保有する暗号資産の取得価額との差額を所得金額とみなす』というものでした。

つまり、含み益を持つ暗号資産を他の暗号資産と等価で交換した場合、その含み益に課税するというもの。暗号資産の世界では、こうした『乗り換え』はごく当たり前の投資行動で、その意味でもこの文書は極めて重要でしたが、その存在に気づけなかった投資家は少なくないでしょう」

例えば100万円で購入したビットコインが200万円になったら、含み益は100万円。これを日本円に換金したときに課税されるのはわかりますが、この100万円の含み益でアルトコイン(ビットコイン以外の暗号化通貨の総称)を購入した時点で、現金化されていないのに利益が確定したと見なされて課税されるなんてことは、記事を読むまで知りませんでした。2017年12月に法律が変わったようです。

NFTは現時点では金融庁が仮想通貨には該当しないという見解を示しているそうですが(冒頭で引用した記事に記載があります)、ブームになると法改正によって暗号化通貨と同様の扱いになる可能性もあるので、売買を行うときはあらかじめ確認しておくのが無難といえます。


クリプトアート市場は健全に成長して欲しい

現状のクリプトアートは暗号化通貨の最初のブームと同様に、売り手も買い手も「一獲千金」を狙っていて、残念ながらアートの価値よりも「お金」な印象。

かといって「クリプトアートは胡散臭い」と一蹴するつもりはなく、NFTによってデジタルアートに付加価値が付くことは肯定的にとらえています。現在はブームの始まりで、買い手もよくわからずに(転売利益を求めて)高値でデジタルアートを購入しているのではないでしょうか。この「熱狂」が次第に冷めて、NFTがデジタルアートの正当な価値判断の基準になっていくとよいなと思っています。


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