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Nikon Z9 高効率RAWは使えるのか

 ニコンが満を持して2021年末に発売したミラーレス一眼、Z9。高速連射や高速AF、8K動画撮影など様々な最新機能を搭載したフラッグシップ機だ。世界初や世界最多などの華々しいワードで彩られるZ9だが、使えば使うほど有難さを感じるスルメ機能がある。それが高効率RAWだ。

 この高効率RAW、つまりはRAW画像を撮影したときにデータを圧縮してファイルサイズを小さくしてくれる機能であるが、この圧縮率が凄まじいのである。ファイルサイズは以下の通りだ。(Z9公式ページより引用)

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 通常のロスレス圧縮RAWが約55MBに対して、高効率RAW★は約33MB、高効率RAWは約22MBしかない。高効率RAWは2400万画素クラスのNikon Z6のロスレス圧縮と同等のファイルサイズで、もはやJPEG (FINE)と比べても小さくなっている。このなかに4500万画素の14bit階調が格納されているなんで信じがたいし、さすがに画質もそれなりだろう、と思っていた。

 しかし、高効率RAWの画質はかなり評判がいい。十分に実用に足る画質だというのだ。高画素かつ高速連射機であるZ9ではファイルサイズが膨大になり、いとも容易くメディアやハードディスクの容量を食いつぶしてしまう。もし高効率RAWが十分に高画質で、かつサイズも大幅に小さくなるのであれば渡りに船だ。今回は、私の主戦場でありレタッチ耐性が必要な星景写真で比較・検証を行った。

 手持ちの機材はNikon Z9とZ6のみなので、これらで撮影して比較した。使用したレンズはNIKKOR Z 85mm f/1.8 S、露出設定は ISO 6400, f/1.8, SS 5秒である。いずれも固定撮影の1枚撮りだ。

撮って出し比較

 RAWで撮影した後、Lightroom Classicでホワイトバランスのみを整えてJPEGに変換した。

Z9_RAW比較_撮って出し

Z9_RAW比較_撮って出し拡大

レタッチ後比較

 基本的には普段のようにレタッチしたが、今回は差が分かるようにノイズ軽減はしていない。また、Z9の画像はいずれも設定をコピーして全く同様のレタッチを行った。Z6の画像はZ9に近くなるよう、若干設定を変更している。

Z9_RAW比較_レタッチ

Z9_RAW比較_レタッチ拡大

 ファイルサイズから予想すると、画質は比べたときに「Z9 ロスレスRAW>Z9 高効率RAW★>Z9 高効率RAW」となる。しかし、正直に言うと高効率RAW★はロスレスRAWとの違いが私には分からない。また、高効率RAWはロスレスRAWよりも少しだけ輪郭が甘くなる印象を受けたものの、拡大してよく見比べないと分からないレベルだ。これだけの画質であれば文句はない。ちなみにZ6は明らかにノイズが少なく色の乗り方が良いが、これは低画素機の特権だろう。

 画質をほぼ落とさずにロスレス圧縮の約4割というファイルサイズを実現した高効率RAW。最終的な判断は読者に委ねたいが、このファイルサイズでこれだけの画質が実現できているのであれば常用待ったなしのユーザーは多いはずだ。


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