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甲子園決勝

今日は夏の甲子園の決勝。優勝候補として注目されてきた大阪桐蔭高校と、秋田の金足農業高校との対戦である。明確に特徴の異なる両校のゲーム、どうなるかとても興味深い。

端的に言って、この決勝は「現代的価値観への転換を果たしつつある大阪桐蔭」と「甲子園という価値観を貫いて戦ってきた金足」という2チームの対戦だ。

かねてより高校野球は絶対的なエース投手が獅子奮迅の活躍をみせるさまが賞賛されてきた。江川、桑田、松坂… このスタイルを貫いて勝ち進んできたのが、これまで何度も甲子園に出場し、プロ野球選手を複数人出している秋田の強豪校、金足農業。今年は好投手、吉田を擁する。

たいして、大阪桐蔭は3投手を併用し、ひとりの選手にかかる負担を軽減する戦略。エース格の柿木をロングリリーフとしてスタンバイさせ、二番手根尾、三番手横川の両投手を先発させるという試合があった。エースの体力を温存し、かりに根尾、横川が崩れても、柿木の投入で試合を作り直すことのできる、リスクヘッジの選手起用をとる。

また、金足農業のベンチ入り選手がすべて地元、秋田県出身者であるが、大阪桐蔭は全国からスカウトしてきた選手の混成チームである。都道府県の代表として、地元を背負って戦うという甲子園のスタイルが濃厚な金足に比して、大阪桐蔭はそういう要素が薄い。

大阪桐蔭は、全国から有望選手をあつめて作ったチームであるので、強いのは当然だ。その手法に賛否はあるだろう。しかし、単なる質的優位にとどまらず、個々の選手が最も高いパフォーマンスを出すための戦略が敷かれていて、それが強さに拍車をかけている。

金足農業に関しては、これまでチームを牽引してきた吉田投手と、粘り強く戦ってきた打線が、決勝でもどれだけ辛抱できるか、ということだろう。リスクを配分してこなかったため、消耗度は比べ物にならないが、気合、根性、忍耐においては大阪桐蔭を凌駕しているかと思う。精神力で上回れば、勝機がみえるだろう。

しかしながら。非現実的であることを承知でいうと、吉田投手には今日のマウンドにはあがってほしくない。甲子園にて吉田投手の投球数はすでに749。1990年~2018年までのあいだに夏の甲子園で700球以上投げた投手は10人いるが、その後プロに入って活躍できたのは松坂大輔投手ただひとりしかいない。半数近くがその後故障している。

948球投げた斎藤佑樹投手はプロに入ってから右肩の関節唇損傷、783球の島袋洋奨投手は左肘鏡視下関節内遊離体摘出術を受けている。773球の大野倫投手などは甲子園の試合中に右ひじを疲労骨折して投手生命を絶たれ、閉会式にもひじが曲がった状態で参加している。甲子園でフル回転した投手の将来は暗い。吉田投手は今日の投球いかんによっては900球に達する。秋田の盛り上がりに水を差すようで申し訳ないが、非常に危険な状態だろう。他人事ながら無事を祈るのみだ。

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