それでも子は育つ
最初に「それでも子は育つ」を体感したのは妊娠中のことだった。
どんなに仕事で忙しくしてこちらの状況がカオスでも、夫婦喧嘩で精神的に参っていても、構わず約40週の"工期"を全うしようと子宮の中でひたすら工事が行われていく。
天気が雨だろうが暴風だろうが構わず息子は育ち続け、無事生まれた。
妊娠・出産時ほど"運命"を強く感じたことはない。
私はどちらかというと難産だった。予定日を1週間過ぎても生まれる様子がなく、前入院して子宮口を開くものすごく痛い処理をし、一晩入院して翌8時から陣痛促進剤を打って8時間陣痛を頑張るも全く子宮口が開かず...(子宮口が開かないとまず分娩台にもいけない)1時間心打ちひしがれての休憩の後、促進剤を再開。そこからまた日をまたいで18時間、陣痛に付き合った。
計27時間。「もう死んでるのに死ねない感じ」を味わった。
息子は太陽がその力をより発揮する正午付近に生まれた。
8月の真昼の太陽。都内は40℃届きそうな猛暑。灼熱の獅子座ボーイである。
前入院中、世の中はちょうど夏のオリンピック。リオ・デ・ジャネイロで体操日本団体が金!とるか!?とらないか!? の真っ最中だった。
「4年後はこの子(お腹をさすりながら)4歳なのか〜。"前のオリンピックの時はママと病院で頑張ってたよ〜"って4年後話すのかな」なんて思っていた。
まさかその4年後のオリンピックがさ...延期になるなんてね。
息子に対しては「子供だからまだ分からないだろう」といって物事の説明をあやふやにしないという信念がある。
この前東京に住んでいるパパが久しぶりに長野に面会に来る予定だったのだが、それも昨今の騒動でなくなった。
息子は久々のパパとの面会を非常に楽しみにしていたのだが、事態を彼なりに呑み込んだのか、おじいちゃんおばあちゃんに同じ日の晩には「ころなうぃるすでね、パパこれなかったんだー」と特に悲しげな様子もなく淡々と説明していた。
とはいえ彼の胸中は分からない。寂しかっただろう。あんなに会いたがってたんだから。
こんなに言葉が達者になっている息子である。
知能の発達は著しい。そしてこちらが想定しているよりも事態や人の気持ちの把握はできているのだろう。なんというか、愛おしすぎる...!!!
いや、あの...愛おしすぎる。実に尊いのである。
世界は今、ピンチだ。これは紛れもない事実。
しかし息子は息子でトイレトレーニングを頑張っていたり、新しい言葉や感情を覚えていったりで日々自然界のプログラム通り人間3歳の工程を辿って日々成長しているのだ。
世界がどうなろうがなんだろうが、彼は育つ。
この事実を突きつけられた時、私は世の動向を知る努力はしたとしても、世の動乱には巻き込まれんぞ!という気持ちに駆られた。
なぜなら、巻き込まれていたら息子の日々の宝物のような成長過程を見逃してしまうからだ。
出来る限りの対応策をして、その時出来る最善を尽くして。
そして今日も息子の排泄物に一喜一憂するのである。
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