「若い起業家とつながっておくことに損はないんだよね」。DMM会長が語るIVSの魅力
IVSには、起業家を応援したい、若手からトレンドを学びたいと考えて参加される実業家の方々がいらっしゃいます。合同会社DMM.comを運営する亀山敬司会長もそのお一人。IVS2023 KYOTOにももちろん参加されるご予定だそうです。亀山会長がIVSに求めていること、期待していることなどをお聞かせいただきました。
初めてのIVSはスーツで参加。怖がられて誰も近寄ってこなかった
――初めてIVSに参加された時の感想を教えてください。
亀山 初めて参加したのは多分12年くらい前だと思うんだけど、ネクタイを締めて行ったら浮いてしまった思い出が強いかな。ほとんどの人がTシャツ姿の中、スーツでうろうろしていたら、なんだか怖がられて誰も近寄ってきてくれなかった。そんな時、チームラボの猪子寿之くんが「あ、DMM会長だ!」って話しかけてくれて、あの時は助かったな。IVSに集まっている人の格好や雰囲気を見て回って、「そうか、今の時代はこれでいいんだな」と。それからほとんどのスーツを捨てて、私服で仕事をするようになったよ。
――IVSには何を求めてご参加されたのですか?
亀山 最初は当社の役員からの誘いだったかな。「刺激があるから、会長も来たほうがいいですよ」と言うんで、ものは試しで行ってみるかという感じだったと思う。当時はゲーム業界が盛り上がっていて、IVSでもゲーム業界で起業を目指す人間が多かったね。俺はゲームをやらないし、それほど関心もなかったから、市場の大きさを知って「今、ゲームはこんなに流行っているのか」と驚いた。GREEやDeNAやサイバーエージェントががんばっているのは知っていたけど、「これは今すぐ手をつけないとダメだな」と気づかされたね。
――それを知ってすぐにゲーム業界に参入されたのですか?
亀山 すでに2年は遅れていたけれど、PCを中心にうちらしいやり方を模索して、その後「艦隊これくしょん」や「刀剣乱舞」が当たった。今では当社を支える柱の一つだからね。それもこれも、IVSがきっかけだから、足を向けて寝られませんよ。
――IVSはトレンドやアイデアを拾える場にもなっているのですね。
亀山 DMM.comは、どの会社ともコミュニケーションしないで、ひたすら石川県でマイペースに運営してきた会社だったので、他社がどんな展開をしているか、そんなに詳しく知らなかったんだよね。そんな感じで我が道を行っていたんだけど、その頃に50歳を迎えて、そろそろ事業のネタも尽きてきたなと思っていた。だから、IVSでのゲーム業界との出会いは本当にありがたかったよ。
志の高い若い起業家との出会いは、損なことが一つもない
――IVSでは登壇以外の時間はどのように過ごされているのですか?
亀山 大抵は若いスタートアップ関係者と話しながら、トレンドについて教えてもらったり、ビジネスについて意見交換したり。あとは、後々一緒に仕事をする可能性もあるから、若手にしっかりとお酒や食事を振る舞っているよ。出世したら恩返ししてくれよ、なんて言いながら。もし失敗してしまった人がいたら、「うちに来いよ」と誘うこともある。経営は事業の良し悪しだけじゃなくて、資金の計算だったり、人の管理だったりいろんなバランスの上に成り立つじゃない。だからビジネスモデルがよくても何かが欠けていると失敗しちゃうことがあるんだよね。けれど、一度でも経営に挑戦したことがあれば、サラリーマンだけをしていた人にはない力が身についている。たまに資金繰りで苦労している人から相談されるけど、その悩みを持つ時点で経営者なわけよ。そういった面では起業家を何年か経験して、失敗してもそれはそれで良い人材だから、俺としては欲しくなる。
――失敗しても、起業には意味があるのですね。
亀山 技術を持っていてリーダーシップがあっても、お金儲けが下手な場合もあるんだよ。そういう時は、お金儲けは俺に任せとけ、技術は任せるから、みたいな話になるわけ。一度起業した経験のある人間は、得意な分野で活躍してくれれば、即戦力になってくれるからね。志の高い若い起業家との出会いは、俺にとって損なことは一つもないってことだよ。
――亀山会長と名刺交換したい人は多いでしょうね。
亀山 基本的に若い起業家とはたくさんつながっていたいよね。IVSには今時のやる気のある人たちが集まっているので、刺激的な出会いのチャンスが多い。ただ俺はメディアで一切顔を出してないから、結構気づかれないことがあるんだよ。だから、すでに知っている人から「紹介していいですか」と声をかけられるパターンが少なくないかな。でも、それだけじゃもったいないから、いつもIVSには初日あたりに登壇させてもらっているんだよね。そうしたら来場している人に「ああ、亀山さんってあの人なんだ」と、顔を覚えてもらえるから。そのほうがみんなも名刺交換しやすいだろうしね。
将来的な投資として、若手にお酒をごちそうします
――この記事を読んで、亀山さんに会いたいと思う人たちは増えそうです。
亀山 なんだか怖い人に思われがちなんだけど、最近はIVSで出会った人たちが「あの人はやさしいから大丈夫」って言ってくれるから少しは変わったかな。初めてスーツにネクタイを締めて参加した時から10年以上経って、少しずつ仲間が増えて、メディアでのインタビューにも答えるようになり、信用も増してきているのかもしれない。
――少しお話ししてみると、とてもユーモラスで優しい方だとわかります。IVSで亀山会長との出会いを楽しみにしている方にメッセージをいただけますか。
亀山 最近は少し評価が高くなり過ぎているのが気になるね。下手なことを言うと「見損ないました」なんて言われそうで怖い。
参加者の皆さんには、気楽に声をかけてほしいね。とって食おうとは思わないから(笑)。VCや他の上場会社の代表とはまた違う視点で物事を語れるくらいの経験はしているつもりです。上場したい人、したくない人もいると思うけど、幅広くアドバイスができると思うので、出会えるのを楽しみにしているよ。ついてきたらお酒くらいはごちそうします。ただし、これは将来的な投資としてのお酒だからね(笑)。
ーーありがとうございました。IVS2023 KYOTOでお会いできるのを楽しみにしています。
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インタビュー協力:
亀山 敬司(かめやま・けいし)
1961年石川県生まれ。19歳でアクセサリー販売の露天商から起業家人生をスタート。 1985年にレンタルビデオ店を開業。 1999年にDMM.comを設立。現在は、DMMグループの会長として、動画配信、アニメ制作、オンラインゲーム、英会話、FX、株、太陽光発電、3Dプリンタ、消防車、救急車の製造、ベルギーでサッカーチームの運営など、60以上に事業を展開している。