スペースマーケットもIVS参加で資金調達に成功!「スタートアップ、やらなくてどうする?」
会議室はもちろん、ジムやパーティルーム、迎賓館や遊園地まで、ありとあらゆる空間の貸し借りができるプラットフォーム「スペースマーケット」。登録されているスペースの件数は2万件を越え、巨大な産業を生みだした企業として注目を集め続けています。そんなスペースマーケットもはじめは小さなスタートアップでした。IVSへの参加で飛躍的な成長を遂げたスペースマーケット代表取締役社長の重松大輔さんにお話しをうかがいました。
はじめてのIVS LAUNCHPAD登壇で準優勝。資金調達だけでなく、認知拡大につながった
――IVSにはじめて参加されたのは2014年。IVS LAUNCHPADに登壇され、見事、準優勝に輝きました。このときは何を目的にしていたのですか?
重松 実は、IVS LAUNCHPADへの登壇の3週間前にサービスを開始したところだったんですよ。当時のIVSは経営者しか入れないコミュニティでしたから、イベント自体がはじめての参加。会場の雰囲気等もわからないままでした。登壇の目的は資金調達をしたいというのもあったのですが、ブランドの認知拡大をここではかりたいと考えていました。やっぱりIVS LAUNCHPADというのはそれだけ注目されている場なので、ここで入賞することで事業や資金調達に大きくはずみがつけられると思ったんです。
――実際に、調達には到ったのですか?
重松 はい。千葉道場の千葉功太郎さんや、オプト(現デジタルホールディングス)の野内敦さんにお声がけいただき、後日調達が決まりました。※
スペースマーケットはその後もさまざまなVCさんにお声がけいただきましたが、IVS LAUNCHPADに登壇したことで創業から8カ月というとても早い段階で1億円の資金調達ができたんです。これは本当にありがたいことでした。
――ブランドの認知拡大の面では実益がありましたか?
重松 実はスペースマーケットは法人利用も多いんです。ここで知っていただいたことで、利用者の拡大につながったと思っています。指名してご利用いただく方も増えたはず。それにIVSには発信力のある人たちが集っていますからね。準優勝という情報とあわせて、ブランドのことが知れ渡っていきました。
また、採用面においてもいい影響がありました。自分たちがどんな会社を運営しているのか、どんな事業に取り組んでいるかを説明するコストは大きく減らせましたし、採用に関しても大変効果的でした。
※実際の調達は関連会社のオプトベンチャーズ(現:ボンズ・インベストメント・グループ(Bonds Investment Group=BIG))から行われた
IVSでは得られる情報はヴィヴィッド。人脈も広がりやすい
――その後もIVSとの関わりは続いているのでしょうか。
重松 はい、ちょくちょく参加させていただいます。目的はやっぱりネットワーキングですね。新しいサービスがどんどん出てきていますから、それを教えてもらうために参加しています。トレンドにしてもテクノロジーにしてもベンチャービジネスの動向にしても、やっぱり現場を経験している人から直接聞くと情報がヴィヴィッドなんですよね。オンラインでの交流では伝わりきらないものも、そこではすぐにキャッチアップできる。リリースの詳細や新規事業、採用の風潮など、わざわざアポイントをとるほどでもないけれど聞いておきたいことなどをぱぱっと相談できるので、とてもハイパフォーマンスな空間だと思います。話しがしやすいので、人脈も本当に広がりやすい。
スタートアップが増えるということは、世の中がよくなること
――重松さんが他の参加者の相談に乗ることもあるのですか?
重松 もちろんありますよ。それも楽しみの一つです。自分を育ててくれたコミュニティに恩返しをしたいという気持ちがありますから、役に立ちたいんです。
僕は、スタートアップが増えるということは、世の中がよくなることにつながると思っています。スタートアップをはじめる人というのは、社会の課題をなんとかしたいって思っているわけじゃないですか。もちろん、お金を儲けることも目的の一つではあると思いますが、ただお金儲けるためなら手段は他にもありますから。インパクトのあるビジネスをして世の中をドラスティックに変えたい。起業家ってそんなふうに物事を考えている人なんですよ。IVSにはそういった人たちが集っていると思うし、そういう人たちこそが称賛される場所だと思うんです。だからそのコミュニティをよくすること、成長させることには協力していきたいと考えています。
知っている人が半分、初対面の人が半分くらいの空間が一番面白い
――IVSの魅力はどんなところにあると感じていらっしゃいますか?
重松 新しいことにどんどんチャレンジしているカンファレンスだと思っています。昨年からはCrypto系の人たちを集めていますよね。若く勢いのある人たちを取り込んでいることは素晴らしいと思います。ある程度の人材の流動は必要ですから、こういった流れは大切ですね。
――IVSは今年初めて招待制を撤廃しました。これについてはどのような感想をお持ちになりましたか?
重松 僕がはじめて参加した2014年ごろは優秀な経営者たちによる強固なコミュニティという印象でした。飛び込んだころは、皆さんを見上げるような気持ちでいましたね。「登りつめてやろう」と思える、モチベーションが上がる場所でした。けれど、招待制の撤廃もまた面白い判断だと思います。毎回同じような人とばかり会うよりも、知っている人が半分、初対面の人が半分くらいの空間が一番楽しいですから。
――IVS2023 KYOTOにもご参加いただけるのですか?
重松 残念ながら今年は行けないのですが、妻(株式会社iSGSインベストメントワークスの取締役・佐藤真希子さん)が参加することになっています。うちは夫婦で手分けしてさまざまカンファレンスに参加しているんです。妻はVCの人間なので、IVSで勢いのある起業家に出会えることを楽しみにしていますよ。素敵な投資先がみつかるといいのですが。IVSの土産話を楽しみにしています。
失敗のリスクは小さくなっている。今こそ起業しなければもったいない
――IVS2023 KYOTOには、重松さんのような起業家になりたいと考えている人も多いと思います。起業を考えている若手の皆さんにメッセージをお願いします。
重松 スタートアップがずいぶん増えてきたとはいえ、日本の起業率はいまだアメリカや中国に比べると低い状態にあります。これは別にアメリカや中国の人々が特段優秀だからというわけではない。日本人がチャレンジしないからなんです。実は今の日本って10年前と比べると起業のリスクがとても低くなっているんですよ。万が一失敗したとしても、チャレンジャーを雇ってくれる企業はたくさんあるし、借金まみれになるということも少ない。ダウンサイドには落ちにくいようになっているんです。国内のスタートアップの資金調達額は、いまや10年前の10倍ですよ。チャレンジできる環境が整っているんです。起業をしなければもったいないですよね。
だから商売のアイディアがあるのであれば、ぜひやってみるといいと思います。自分自身にアイディアがないのなら、それを持っている人と一緒にやってみたらいい。自分で考えて自分で稼ぐという経験を早いうちに積むといいと思いますね。本当にいい環境があるんですから。
――実際にスタートアップを始めている人たちに対してもメッセージをお願いします。
重松 スタートアップってすぐに結果が出るわけでもないし、金銭的にも肉体的にも精神的にも辛く厳しい時期が長く続くこともあります。従業員がいなくなっちゃったり、取引先に出し抜かれたり、競合が出てきたり……本当にジェットコースターに乗っているようにいろいろなことがあるのですが、それを乗り越えれば全部いい思い出になる。何より、必死に生きることができるんですよ。もがきながらも一生懸命チャレンジして、日本や世界をよくしたいって頑張るわけです。かっこいいじゃないですか。これからも熱い思いを大事にして邁進してほしいと思います。
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IVS2023 LAUNCHPAD KYOTOの詳細はこちら
https://www.ivs.events/ja/ivs2023launchpad
インタビュー協力:
重松大輔(しげまつ・だいすけ)
株式会社スペースマーケット代表取締役社長。1976年千葉県生まれ。千葉東高校、早稲田大学法学部卒。2000年 東日本電信電話株式会社に入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。2006年 株式会社フォトクリエイトに参画。一貫して新規事業、広報、採用に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。2013年7月 同社にて東証マザーズ上場を経験。 2014年1月 株式会社スペースマーケットを創業。2016年1月、シェアリングエコノミーの普及と業界の健全な発展を目指すシェアリングエコノミー協会を設立し代表理事(現在、理事)に就任。
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