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ランチタイムの出会いが1億円の調達に。Omiai創業者が語るIVSのすごさ

婚活中の人ならほとんどが知っているマッチングアプリ「Omiai」。運営する株式会社ネットマーケティングは、主力サービス「Omiai」のサービス開始から5年で上場企業となり、急成長したスタートアップとして注目されました。実はこの急成長の裏側にはIVSでの出会いがあったのです。
株式会社ネットマーケティング創業者であり、現在はエンジェル投資家として活動している宮本邦久(みやもと・くにひさ)さんにお話しをうかがいました。
 
 
IVS2012 Spring、ランチタイムでの出会いが未来を変えた
 
――宮本さんはIVS2012 Fall KyotoのIVS LAUNCHPAD※に出場されています。このときのピッチが影響して調達に成功したのですか?
 
宮本 IVS LAUNCHPAD出場はとてもいい経験でしたが、調達に結びついたのは実はその前に開催されたIVS2012 Springでの交流がきっかけです。当時、株式会社リクルートホールディングス CEOだった峰岸真澄さんがいらっしゃっていて、ランチタイムのときにお見かけしたのでご挨拶させていただきました。
 
実はそのころには「Omiai」は軌道に乗りはじめていて、さまざまなVCが興味を示してくださっている状況でした。どこから出資をいただくのが一番会社を成長させられるか悩んでいたのですが、峰岸さんのお姿を見てピンときました。リクルートさんであれば間違いないと。
 
――なぜ、リクルートであれば間違いがないと思われたのですか?
 
今でこそ当たり前になったマッチングアプリですが、当時はまだまだ「いぶかしいもの」と思われていました。世間からの評価は冷たかったんです。だからこそ、すでに社会の信用を得ている企業からの後ろ盾が必要でした。そうなるとリクルートさんは理想的な相手。ご挨拶の後、峰岸さんはグループ会社・株式会社リクルートインキュベートパートナーズに話をつないでくださり、約半年後には1億1220万円の資本参加を受けることになりました。

※IVS LAUNCHPADは、日本最大級のスタートアップピッチコンテスト。次世代の起業家の登竜門とも言われており、厳しい選考を経て選ばれた決勝進出者は、投資家・経営者・起業家から選出される審査員の前でプレゼンテーションを行い順位を競います。過去の登壇社数は430社以上、資金調達額は3000億円以上にのぼっています。
過去のIVS2022 LAUNCHPAD NAHAの様子はこちらよりご覧いただけます

想いを伝えられるIVS LAUNCHPAD。スポットライトが当たる経験は刺激的


――「Omiai」のサービス拡大で、ネットマーケティングは急成長していきます。IVS2012 Fall KyotoのIVS LAUNCHPADへの出場は資本参加を受けた直後ですが、このときは何を目的として出場されたのですか?
 
宮本 この勢いのままでいけば優勝できるのではないかと思ったからです。目標には届きませんでしたが、いい経験ができました。あとは先ほども申し上げたとおり、当時はマッチングアプリのイメージがまだあまりよくなかったので、安全安心なサービスであることを多くの人に伝えたかったんです。日々、どんな姿勢でサービス提供に取り組んでいるかが示せればと。同時に、どのような見せ方をすれば「Omiai」が安心できるサービスだと思ってもらえるのかを探りたいとも考えていました。さらには、サービスの認知度の割に社名が知られていなかったので、これも広めたいなと。このように複数の意図があって参加しました。
 
――IVS LAUNCHPADの登壇は、相当プレッシャーがかかったのでは?
 
宮本 代表がみずから人前に出て汗を流す姿を社員に見せられてよかったですよ。「代表がこんなに頑張ってPRをしているんだ」と感じてもらえれば、社員は「一緒に頑張ろう」と思ってくれるはず。社内のモチベーションアップにつながりました。
あとですね、なんだかんだ経営って地味なことが多いんですよ。スポットライトが当たる日なんてめったにない。そんな日々のなかで、IVS LAUNCHPADは刺激的な出来事でした。楽しかったですね。大人になってここまで緊張する機会はなかなかありませんから。
 
次世代を育てるエコシステムを日本に築きたい
 
――宮本さんは2022年12月にネットマーケティングの代表を辞して、エンジェル投資家になりました。IVS2023 LAUNCHPAD SEEDでは審査員を務めていただいています。
 
宮本 過去の経験を生かして、事業や経営者の育成に携わっていきたいと考えています。アメリカでは事業に成功した経営者がエンジェル投資家となって次世代を育てていくエコシステムができあがりつつありますが、日本国内でもそんな循環をつくっていきたいですね。
 
――宮本さんは長年IVSにご参加されていますが、どのような目的を持って参加されているのですか?
 
宮本 事業を拡大しようとしていた2011年までは、ネットワーキングが主な目的でした。たくさんの人と名刺交換できるように励んでいましたね。このときに知り合った方々とは今も友人としての付き合いがあります。プライベートで遊んだり、旅行へ行ったり。気軽な付き合いがきっかけで仕事に発展していくこともありますよ。敷居が低い方が、商談に入りやすいのだと思います。
2012年以降はセッションを聴くために参加するようになりました。まだ知らないサービスやテクノロジーのことを知ることができるので、視野が広がるんです。セッションはものすごく集中して聞いていますよ。大抵、最前列に座っています。本気で勉強をしにいっているんです。
 
身体に響きわたる重低音がモチベーションを高めてくれる
 
――IVSにはどんな魅力があると感じていますか?
 
宮本 人脈が広がること、IVS LAUNCHPADなどに出場すればブランディングが築けることなど多数ありますが……あえていうなれば「音響」をあげたいですね。これはあまり言及する人はいないと思うんですけど。IVSは音響にいつもこだわっていて、IVS LAUNCHPADのときなどズンズンすごくいい重低音が響き渡るんですよ。地鳴りのような、身体に響いてくるサウンドです。それがモチベーションを高めてくれる。「やるぞ!」という気持ちになれる。これはリアルな空間で行われるカンファレンスの強みですよね。
 
――IVS2023 KYOTOには何を期待していますか?
 
宮本 投資家になったばかりなので、投資に役立つ情報を集めたいですね。どんどん新しいことをインプットしたいです。投資家との人脈を広げていきたい。どんな熱狂に出会えるのかを楽しみにしています。
 


チケットのご購入やイベントの概要はこちらから
https://www.ivs.events/ja/2023

IVS2023 LAUNCHPAD KYOTOの詳細はこちら
https://www.ivs.events/ja/ivs2023launchpad

 

インタビュー協力:
宮本邦久(みやもと・くにひさ)
2004年株式会社ネットマーケティング創業。2012年にリリースしたマッチングサービス「Omiai」が大ヒットし、2017年に東証JASDAQ市場に上場させる。2022年末に同社を退任し、エンジェル投資家に。これまでに15社に2.46億円を投資している(2023年5月末現在)。


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